「愛犬が急性膵炎と診断されました…」
「急性膵炎ってどんな病気なの?」
「急性膵炎って再発するの?食事とかどうするの?」
など犬の急性膵炎について疑問や不安を持っている飼い主様は、とても多くいらっしゃいます。
先日以下のツイートをしました。▼
犬の急性膵炎はある日突然やってきます💥
原因が分かってないので予防できない病気です。
・肥満
・基礎疾患(糖尿病、クッシング等)
・運動不足
はリスク因子⚠️
今はブレンダZという良く効く薬もあるけど、再発しやすく怖い病気。
定期検診+おやつ控えめ+適度なお散歩で予防😊
#犬のいる暮らし pic.twitter.com/YyTfbF78GO— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) January 18, 2021
犬の急性膵炎はある日突然やってきます
原因が分かってないので予防できない病気です。
・肥満
・基礎疾患(糖尿病、クッシング等)
・運動不足
はリスク因子
今はブレンダZという良く効く薬もあるけど、再発しやすく怖い病気。
定期検診+おやつ控えめ+適度なお散歩で予防
■本記事の内容
- 犬の膵炎の原因や症状
- 膵炎って治る病気なの?
- 治療法や治療期間ってどれくらい?
- 膵炎の食事管理【これだけ気をつければOK】
愛犬が急性膵炎と診断されて不安だな…という飼い主様は、ぜひ読んでみてくださいね。
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目次
犬の急性膵炎はある日突然やってくる
犬の急性膵炎はある日突然やってきます。
突然ガクッと具合が悪くなり、動物病院に行くと「急性膵炎です」なんてことはよくあります。
膵炎とは膵臓に炎症が起きることで、急性膵炎と慢性膵炎とがあります。
膵臓は食事に合わせて消化酵素を分泌している器官なのですが、突然消化酵素が活性化され、膵臓自体が消化されてしてしまうのが急性膵炎です。
軽度であれば命に関わることはないですが、重症化すると合併症が起こり死亡してしまうこともある怖い病気です。
ただ治療がうまくいけば、急性膵炎は治る病気です。
一方で慢性膵炎は、死亡してしまうようなことはないものの、膵臓に少しずつ炎症が起こり治らない病気です。
膵臓の機能が徐々に低下することで、うまく消化ができない膵外分泌不全という病気に移行することがあります。
犬の急性膵炎の原因は不明
犬の膵臓には、
- 消化酵素を分泌する(外分泌作用)
- 血糖値を下げるインスリンを出す(内分泌作用)
という役割があります。
前者の外分泌作用がうまくいかなくなる代表的な疾患が膵炎です。
犬の膵炎の原因自体は分かってはいないですが、基礎疾患が関与しているとも言われています。
好発品種
どの犬種でも発生しますが、
- トイプードル
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- コッカー・スパニエル
- ヨークシャーテリア
- ミニチュアシュナウザー
などが好発品種です。
ストレスでなる?
人の場合はストレスで膵炎になることもあると言われています。
でも犬の場合は、いわゆる精神的なストレスで膵炎になることはありません。
ただし、季節の変わり目や環境の変化、食事の変化などのストレスは発症に関わっているかもしれません。
犬の膵炎の症状は嘔吐や食べないなど様々
膵炎の症状は、
- 食欲や元気がない
- 何度も吐いてしまう
- 下痢や血便
- おなかの痛み
- 震え
などがあり、重度の場合には黄疸や呼吸障害がみられることもあります。
また、腹痛があるときは、祈りの姿勢(前足を延ばして胸を床につける姿勢)をとることもあります。
ただ、症状がいまいちパッとしないこともあるので、いつもとどんなところが違うのか?をしっかり確認するようにしましょう。
震えているときは、どこかの痛みなど他の病気の場合もあります。▼
お腹キュルキュル=膵炎?
「お腹がキュルキュル言っています。膵炎ですか?」っていうのもよく聞きます。
結果から言うと別にそういうわけではないです。
キュルキュル鳴るのは、腸の蠕動運動なので基本的には正常です。
ただ、おなかが痛いときに鳴ることも当然あるので、他の症状と合わせてみてあげましょう。
犬のお腹がキュルキュルいうときの正常か病気かの見極めは、こちらの記事を参考にしてください▼
膵特異リパーゼの測定で診断
犬の膵炎は、
- 症状や稟告
- 血液検査(白血球など炎症の数値、脱水の程度など)
- エコー検査
などで総合的に判断していきますが、犬膵特異リパーゼ(c-PLI)という項目で診断ができます。
膵特異リパーゼの測定は、簡易キットでも可能で、院内で迅速に診断ができます。
ただし膵特異リパーゼは、他の疾患から二次的に高くなることもあるので注意が必要です。
犬の急性膵炎の治療、治療期間
残念ながら犬の急性膵炎の特効薬はありません。
膵炎の治療は対症療法(症状に合わせた治療)が基本となります。
つまり、脱水やミネラルバランスの改善のために輸液を行い、加えて、
- 吐いているなら吐き気止め
- 痛みがあるなら鎮痛剤
- 炎症がある場合は抗炎症薬
- 感染が疑われる場合は抗菌薬
- 食べられないなら栄養点滴
…などと状況に合わせて行います。
吐き気がなければ、早期に食べさせる(場合によっては経鼻カテーテルで)ことで、胃腸の活動停止を最小限に抑えることができます。
ブレンダZ
ブレンダZは抗炎症作用を持つ膵炎の治療薬(動物用医薬品)で、最近ではよく使用される薬です。
ブレンダZは、サイトカインという炎症を起こす生理活性物質を阻害することで、炎症反応を抑えることができます。
膵炎以外でも炎症を起こす様々な疾患に使用でき、効果が期待されています。
犬の急性膵炎は再発が多い~低脂肪食を推奨
犬の膵炎は治ったとしても再発が多い病気です。
膵炎の再発を予防するためには、
- 低脂肪食を与える
- 太りすぎない
ことが大切です。
でも、何となく低脂肪食を食べておいた方がいい!ような気はします。
おすすめ低脂肪食は、
- ロイヤルカナン 消化器サポート低脂肪
- ヒルズプリスクリプションダイエット i/d LowFat
- 日清 ダイエティクス ダイジェストエイド
などがありますので主治医の先生とご相談ください。
低脂肪なら「ささみとむね肉」がおすすめ
療法食に食いつきが悪い場合やトッピングとして用いるなら、ささみとむね肉がおすすめです。
鶏肉は牛肉や豚肉に比べて脂質含量が少ないのでおすすめですが、中でもずば抜けてささみとむね肉の脂肪量は少ないです。
鶏肉の部位別脂肪量ランキング▼
部位名 | 脂質(100gあたり) | タンパク質(100gあたり) |
ささみ | 1.1g | 24.6g |
むね肉(皮なし) | 1.9g | 24.4g |
もも肉(皮なし) | 4.8g | 22.0g |
むね肉(皮あり) | 5.9g | 21.3g |
手羽(皮あり) | 10.4g | 23.0g |
もも肉(皮あり) | 14.2g | 16.6g |
部位別脂肪量ランキング(ねとらぼアンサーより引用)
膵炎を予防する方法はない
残念ながら、犬の膵炎を予防する方法はないです。
ただ、
- 太りすぎ
- おやつの与えすぎ
などは膵炎発症のリスクが高まるので、「ダイエット+おやつ控えめ」にするようにしましょう。
うちの子って太ってるの?って思う方は、この記事を読んでみてください▼
【まとめ】犬の急性膵炎の原因や症状、治療法について
犬の急性膵炎はある日突然やってきます。
ただし、
- 太っていたり
- おやつや人の食べるものを与えすぎていたり
- 基礎疾患があったり
と膵炎になるリスク因子はあるので、健康診断を受けたり適正体重を保つようにして膵炎を予防しましょう。
【参考雑誌】
- GO-VET 2019,07,なぜ起こる 犬の膵炎
- 犬の治療ガイド2020,辻本元,interzoo,2020