犬の病気と予防

【犬の胆泥症】治療法や手術のタイミングなど3つのポイントを解説!

【犬の胆泥症】治療法や手術のタイミングなど3つのポイントを解説!

「犬が健康診断で胆泥症と言われました…」

「胆泥が貯まっていると言われたけど、どうすればいいの?」

「胆泥が貯まっているので、低脂肪食にしてくださいって言われたけど…」

など「犬の胆泥症」についてよく分からない…という飼い主様は非常に多いです。

トラまりも
トラまりも
どんな病気でどうすれば治るの?…って不安になっちゃうよね。

この記事では、犬の胆泥症について、

  • 胆泥症ってなに?
  • どうすれば治るの?治療は?

など「犬の胆泥症」に関する様々な疑問を分かりやすく解決していきます。

トラまりも
トラまりも
「胆泥がある=病気」ではないよ!

3分で読める記事なので、さらっと読んでみてくださいね。

トラまりも
トラまりも
この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

犬の胆泥症は、胆のうにどろっとした液体が貯まっている

犬の胆泥症は、胆のうにどろっとした液体が貯まっている

肝臓には「胆嚢(たんのう)」という袋があります。

その袋には、本来さらさらの胆汁という液体が貯まっているのですが、何らかの原因でどろっとした液体になってしまうことがあります。

胆嚢収縮能の低下が最も有力な原因と考えられています。

胆汁がどろっとしたものを胆泥と言います。

大体の子が、

  • 健康診断で偶発的に見つかる
  • ALPやALT(肝臓の数値)が高いため、エコー検査をして見つかる

など、検査をして見つかることが多いです。

【胆汁(たんじゅう)】

肝臓で作られる黄褐色の液体で、食事中の脂肪の消化吸収に関わっています。

胆汁は濃縮されて、胆嚢に貯蔵されています。

犬の胆泥症の3つのポイント

犬の胆泥症の3つのポイントは、

  • 治療するべきか
  • 何(薬や食事)で治療するか
  • 手術する(胆嚢を取る)ことはあるのか

です。

以下で詳しく説明していきますね。

【ポイント1】胆泥症は治療するべきか

「胆泥が貯まっている=病気」ではないです。

犬において、単純な胆泥は病気ではなく、加齢に伴う所見なので治療はいりません。

トラまりも
トラまりも
なので、胆泥が貯まっているだけで、積極的な治療はしないことが多いよ。

猫においては、胆泥の存在は肝胆道系疾患と関係している場合が多いです。

また、その背景に病気がある可能性があり、精査して治療することが必要です。

ただし、ALPやALTなど肝臓の数値が上昇している場合には、肝臓に疾患がある可能性もあるので精査が必要です。

胆泥が貯まっているだけで、血液検査で肝臓の数値が高くなることはないです。

治療ではないですが、低脂肪のごはんにすることはとてもいいです。

トラまりも
トラまりも
胆汁は脂肪の消化吸収に関わっているから、胆嚢の負担を取るためにも、低脂肪のごはんにするといいよ。

「高脂血症と胆泥症との間に関連性が認められている」、「高脂血症の胆嚢粘液嚢種の犬が、低脂肪食にして半年後に改善している」という論文があります。

Tsukagoshi T.,Ohno K.,Tsukamoto A.,et al.(2012),Kutsunai M.,Kanemoto H.,Fukushima K.,et al.(2014),Aguirre A.L.,Center S.A.,Randolph J.F.,et al.(2007)

おすすめの低脂肪のごはんは、こちらから▼

ロイヤルカナン 消化器サポート 低脂肪

脂肪制限が必要な犬のために、脂肪含量を減らし、その分の必要なエネルギーは食物繊維の含量で調整しています。

 

ヒルズ i/d ローファット

ヒルズのi/dローファットは、低脂肪で消化が良く、オメガ3脂肪酸やショウガを配合し、消化器の健康に役立つことが科学的に証明されています。

【ポイント2】治療するなら、どんな薬やサプリですべきか

胆泥があり、血液検査で肝臓の数値が高い場合は、薬やサプリを使用することが多いです。

トラまりも
トラまりも
胆泥の治療というわけではなく、胆嚢が原因で肝臓の数値が悪いのなら、胆泥以外の胆嚢疾患があるということで治療をするよ。

また、

  • 胆泥の貯留が重度
  • 非可動性(動かない)の胆泥貯留

のときは、胆嚢疾患へと移行する可能性もあるので、この場合も薬を飲むことが多いです。

そして、

  • 甲状腺機能低下症
  • クッシング症候群

などの基礎疾患が原因で胆泥貯留がある場合は、その治療を行い経過をみていきます。

犬の甲状腺機能低下症についてはコチラを参考にどうぞ▼

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では、胆泥症の時の「具体的な治療薬」をみていきましょう。

※ご紹介する薬やその量は一例です。先生ごとに内容や処方量は異なります。

ウルソデオキシコール酸

ウルソデオキシコール酸は胆汁酸製剤であり、もともと胆汁中に含まれる成分です。

利胆作用(肝臓での胆汁合成・分泌を促進する)があるので、胆汁の粘度を低下させる可能性があります。

また、肝細胞障害性のあるデオキシコール酸やケノデオキシコール酸などの肝臓内での割合を減らすことにより、肝保護作用が期待できます。

トラまりも
トラまりも
肝臓や胆嚢の治療薬として、ウルソを飲んでいる子は多いよ。

用量:5-15mg/kg(体重1kgあたり、5-15mg投与) po(経口投与) BID(1日2回)

トレピブトン

胆汁分泌作用とOddi(オッディ)括約筋の弛緩作用があります。

【Oddi(オッディ)括約筋】胆嚢は腸に開口しているのだが、その開口部にある筋肉。その筋肉が、ゆるんだり収縮することで、胆汁が出たり止まったりします。

用量:1-2mg/kg po BID~TID(1日3回)

メチオニン製剤

メチオニン製剤は、抗酸化物質の産生に関与していて、活性酸素を中和させる役割があります。

トラまりも
トラまりも
メチオニン製剤は、SAMeなどサプリとしていろいろな種類が市場にはあるよ。

エリスロマイシン

低用量のエリスロマイシンは、モチリン様作用(消化管や胆嚢を収縮させる作用)があります。

胆泥は「胆嚢の収縮能力の低下」が原因ではないかと言われているので、モチリン様作用のあるエリスロマイシンが使われることもあります。

用量:1-5mg/kg po BID

抗菌薬(メトロニダゾールなど)

消炎作用もあるメトロニダゾールは、胆嚢疾患に使われることもあります。

用量:7.5mg/kg po BID~TID

クエン酸モサプリド

胃腸運動改善薬ですが、胆嚢の運動性も改善させることができます。

ただし、実際の胆嚢疾患のある犬に投与を行ったデータはないので実態は不明です。

【ポイント3】胆泥症で、胆嚢を取る手術をすることはあるのか

胆泥が貯まっているだけで、手術で胆嚢を取ることは、おおよそないでしょう。

胆嚢疾患でなぜ手術を考慮するかというと、

「胆嚢が破裂すると大変なことになる」からです。

【胆嚢って手術で取っても大丈夫なの?】

大丈夫です。

胆嚢は、胆汁の貯蔵庫です。胆汁自体は肝臓で絶え間なく作られているので、胆嚢を取ってもそれほど深刻な影響はないです。

ただ、胆汁を濃縮して貯蔵する場所がなくなるので、小腸に脂肪が入ってきたタイミングで多量の胆汁を一気に出すことができなくなるので、脂肪がうまく分解できず、下痢をしてしまう事はあります。

胆泥の外科的治療に関する統一された見解や適応基準はないので、いつ手術すべきかは、主治医の先生の見解によるところが多いです。

ただ、

  • 胆泥の内科的治療(薬やサプリなど)を行っているにも関わらず、胆石や胆嚢粘液嚢種に発展する場合
  • 臨床症状が出る場合
  • 胆嚢疾患が原因で肝臓の数値がどんどん悪くなる場合

などは手術を検討すべきです。

トラまりも
トラまりも
もちろん、胆嚢破裂や肝外胆管閉塞などは手術適応だよ。

犬が胆泥症になったらこうする

定期的に超音波検査をして、胆泥の量が増えていないか、血液検査で肝臓の数値は適正かなどを確認します。

食事は低脂肪のものに変え、必要に応じて薬やサプリを飲むとよいでしょう。

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