「健康診断でALPが高いと言われました…」
「ALPが高いけど経過観察と言われました」
「ALPが高いとき食事はどうすればいいの?」
など犬のALPが高いと言われたときは、なんで高いのか、どうすれば下がるのか不安になってしまいますよね。
この記事では、
- 犬のALPって何?
- ALPが高いって大丈夫なの?
- 食事など、自宅でできることってあるの?
などを分かりやすく説明するとともに、ALPを下げる方法を解説いたします。
目次
犬のALPとは誘導酵素の一つ
ALPはアルカリフォスファターゼと言われる誘導酵素の一つです。
ALKPと表記されることもあります。
犬のALPの基準値
ALPの基準値は、
- 犬:50~250IU/L
程度で、検査機関や検査装置によって多少のばらつきがあります。
犬のALPが高い理由は9つある
ALPは肝臓や胆管、腎臓、骨、腸など全身の諸臓器に分布しています。
そのためALPが高いときは、
- 肝臓の病気
- 肝臓以外の病気
- 内分泌疾患
- 良性結節性過形成
- 薬剤の投与
- 品種における特発性
- 子犬や子猫など若齢の動物
- 妊娠している
- 食事の影響
など様々な原因が考えられます。
では各々説明していきますね。
①肝臓の病気
ALPが高い値のとき、真っ先に思い浮かぶのが肝臓の病気だと思われます。
ALPは肝臓で作られ、胆汁とともに小腸に放出されます。
なので胆汁がうまく流れないとALPが増加する傾向にあります。
肝疾患が原因でALPが高くなるときは、
- 胆汁うっ滞
- 急性・慢性肝炎
- 肝不全
- 胆管肝炎
- 胆石
- 腫瘍
といった病気が考えられます。
②肝臓以外の病気
ALPは骨にも多く存在するため、骨折や骨腫瘍などの骨の疾患でも上昇することがあります。
また、膵炎や膵臓の腫瘍、悪性リンパ腫などでも高くなることがあります。
③内分泌疾患
ALPが高くなる原因としては、内分泌疾患(ホルモンの異常)によるところも多いです。
- クッシング症候群
- 糖尿病
- 高脂血症
- 甲状腺機能亢進症(猫)
などの病気で高値になることがあります。
それぞれの疾患については、こちらを参考にしてください▼
④良性結節性過形成
良性の結節性過形成とは肝臓の良性腫瘤のことです。
中高齢の犬でよくみられる病変で、特に症状もなく、血液検査ではALPが高くなることがあります。
⑤薬剤の投与
薬剤の投与でALPが高くなる時があります。
- ステロイド
- NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)
- フェノバルビタール
などの薬を投与すると、ALPが高くなることがあります。
⑥品種における特発性
スコティッシュ・テリアやシベリアンハスキーなどは、遺伝的にALPが高くなる傾向があります。
⑦若齢動物
ALPは骨からも出る酵素なので、成長期にある子犬や子猫では基準値よりも高くなる傾向があります。
⑧妊娠している
ALPは胎盤からも出るので、妊娠している場合は高くなります。
⑨食事の影響
高脂血症に関連してALPが高くなることがあります。
そのため、おやつや高脂肪の食事を与えている、肥満などの場合にはALPが上昇することもあります。
ALPが高い=必ずしも重篤な疾患があるというわけではない
健康診断などで、偶発的にALPの高値が分かることはよくあります。
上記でお伝えした通り、ALPはいろいろな場所から出され、また高くなる原因はたくさんあります。
おやつのあげすぎや食事、薬の影響など病気ではないことでも高くなることがあるので、今一度確認してみましょう。
とはいっても、あまりにも高い場合(1000とか3500とか)だと「大丈夫かな…」と心配になってしまいますよね。
そんなときは、ALPアイソザイムを測定すると、どこからALPが出ているのかを知ることができます。
ALPアイソザイム
ALPはお伝えした通り、いろいろなところから出る酵素なので、どこから出ているのかを知りたいときは「ALPアイソザイム」という項目を測定します。
ALPアイソザイムを測定することで、
- 肝臓が原因か(L-ALP)
- 骨が原因か(B-ALP)
- ステロイドが原因か(C-ALP)
のおおよその検討をつける事が可能です。
- L-ALP 56.5~100
- B-ALP 0~5.1
- C-ALP 0~42.3
ALPだけでなくGPTやGOTも高いときは問題
GPT(ALT)やGOT(AST)が高いときは、肝臓や胆嚢の障害をそのまま反映しているので問題となります。
これらは肝臓の細胞が破壊されると血液中に漏れ出てくるため、高値の場合は異常です。
ALPだけでなくGPTやGOTも高いときは、
- 肝炎
- 肝臓腫瘍
- 胆管肝炎
- 循環障害
- 感染性疾患
などが考えられるので、レントゲンやエコー検査、肝生検などを合わせて判断していきます。
犬のALPを下げる方法
犬のALPを下げるためには、まずは原因を見つけることです。
原因に合ったそれぞれの治療を行い、改善があるかをみていきます。
特に臨床症状がなくてもあまりにも高い場合は、薬や食事による治療を行うことが多いです。
薬による治療
実際に使うことが多い薬は、
- ウルソ(ウルソデオキシコール酸)
- スパカール(トレピブトン)
- メチオニン製剤
- エリスロマイシン
- 抗菌薬(メトロニダゾールなど)
- クエン酸モサプリド
といった肝臓薬を使うことがあります。
それぞれの薬の説明はコチラの記事を参考にしてください▼
食事による治療
ALPはおやつや食事の影響を受けることから、
- おやつをやめる
- 低脂肪食やダイエットフードにする
といったことで効果がある場合もあります。
食事に関して詳しく知りたい方は、コチラの記事を参考にしてください▼
【まとめ】犬のALPが高いときの理由や下げる方法
犬のALPが高いときは、病気の場合とおやつや食事などの影響(病気でない場合)があります。
優先すべきは、原因にあった治療を行うことです。
様々な検査をしても特に異常がみられない場合は、減量や低脂肪食を与えながら様子をみていきます。
ALPの異常な高値=必ずしも重篤な疾患があるというわけではないですが、あまりにも高い場合は薬を使用することもあります。