暑くなってくると心配な熱中症。
「どんな症状が熱中症なの?」
「熱中症のときはどうすればいいの?」
など、猫の熱中症に関わる不安や疑問は多いと思われます。
■本記事の内容
- 猫の熱中症の原因
- どんな症状が出るのか?
- 熱中症の対処法と予防する方法
熱中症は亡くなってしまうこともある怖い病気です。
原因や症状、対処法をあらかじめ知っておくことが予防につながります。
目次
猫の熱中症の原因は『暑いところにいた』
猫の熱中症とは、高温多湿の環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調整がうまくできなくなったりして発症する病気です。
熱中症になってしまう原因として、
- 高温多湿下に長時間いる
- 暑い中での過度の運動
- 長時間お水が飲めない…
- 体にこもった熱がうまく抜けない…
などがあり、
- 短頭種(ペルシャ、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤンなど)
- 長毛種(ペルシャ、ラグドール、メインクーンなど)
- 高齢、若齢
- 心疾患や呼吸器疾患、腎臓病がある
- 太っている
といった子たちが熱中症になりやすく、より注意が必要です。
「うちは室内飼いだから大丈夫!」というのは全くなく、室内でも熱中症になることはあります。
猫の熱中症の症状は、分かりづらく、たくさんある!
ネコちゃんの熱中症の症状としては、
- 体が熱い
- 嘔吐や下痢
- ふらふらで歩けない、立てない
- よだれがすごい
- 落ち着きがない
- ドキドキがすごい
- 意識がない
- けいれん
など、様々あります。
なんとなく元気がない、ぐったりしている、いつもと様子が違う…など分かりにくい症状である場合もあります。
猫の熱中症の診断は、暑いところにいた+体温が高い
暑いところにいて、体温が高ければ(40.5℃以上)熱中症の可能性があります。
わきの下や体を触った感じで熱っぽい…という飼い主様もいらっしゃいますが、基本的には体温(直腸温)を測らなければ診断はできません。
家にペット用体温計を用意しておくことは大切ですし、いざというときのために日頃から測っておくことも重要です。▼
猫が熱中症になったときの対処法は『とりあえず冷やす』
まずは、クーラーの効いている室内に連れて行き、水が飲める状態の場合は、積極的に飲ませてあげましょう。
ふらふらで意識レベルが低下している場合には、タオルをかけてその上から水道水の汲み水をかけます。
そして、扇風機やうちわで仰ぐなどして風を送ってあげます。
タオルの水はぬるくなってしまう、また乾燥してしまうために、何度か交換するようにしましょう。
特に氷水である必要はありません。
むしろ冷たすぎると、皮膚表面の血管が収縮して、熱放散がうまくできなくなってしまい逆効果です。
体温計を使いながら、過度の冷却による低体温症にも注意しましょう。
猫の熱中症の予後、死亡率は分かっていない
犬と違い、猫の熱中症の予後や死亡率は分かっていません。
ただ、意識障害があるなど、症状が重い場合には、死亡率も高くなる傾向があります。
猫の熱中症予防~涼しく!+水をたくさん!
熱中症の予防はクーラーや扇風機を使って涼しくすることが最も重要です!
室温は28℃程度(←エアコンの設定温度ではなく、あくまでも室温)にするといいですが、体型や年齢・環境によっても異なるので、ネコちゃんの様子を見て決めるようにしましょう。
夏場の室温に関しては、こちらの記事をご参照ください。▼
加えて、
- 水をいろんな場所に配置する
- 玄関やお風呂場など涼しい場所に行けるようにする
- ペットカメラで留守中でも愛猫の様子を見る
ようにするとより安心です。
また、停電などで電気の供給が絶たれる可能性もあるので、冷却マットやアイスノン(誤食に注意)、冷凍ペットボトルなども用意しておくといいでしょう。
そして、水を飲んでもらうこともとても大切です。
ただ、「暑いと思って水を出すけど、全然飲まないんです…」というのは実によくあります。
基本的に、
- 元気や食欲があって
- 排便、排尿をしっかりしていて
- 水があるのに飲んでいない
という場合は、単純に欲してないことがほとんどです。
それでも、なんとか水を飲んでほしいですよね…
そんなときには、こちらの記事をご参照ください。▼
さっそく暑さ対策をして、快適に夏を過ごしましょう!
【参考資料】
- Cudney SE, Wayne A, Rozanski EA. Clothes dryer-induced heat stroke in three cats. J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2021 Nov;31(6):800-805. doi: 10.1111/vec.13131. Epub 2021 Sep 9. PMID: 34499793.
- 辻本元,小山秀一,大草潔,中村篤史,猫の治療ガイド2020,EDUWARD Press,p75-p78