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【猫の黒い便(メレナ)】注意すべき黒い便の原因や症状、対処法を獣医師が解説!

【猫の黒い便(メレナ)】黒い便をする原因や症状、対処法を獣医師が解説!

「愛猫の便の色が真っ黒です…」

「黒っぽい便をしたのですが、緊急性はありますか?」

「黒い便は異常なのですか?」

愛猫が黒い便をしたら、「大丈夫かな…」と不安になってしまいますよね。

トラまりも
トラまりも
黒い便は危険!と覚えておいた方がいいよ。重篤な病気がある可能性が高いんだ。

先日、犬猫の便の状態について、以下のツイートをしました。▼

犬猫の便の状態チェックは大切です。
正常は黄~茶色、こげ茶色で、つかめる位の硬さです。
黒い便は胃腸で出血している可能性もあり、すぐの受診が必要なことが多いです。
肉やレバーを食べたり、薬用炭や鉄剤を服用しているときは正常でも黒くなります。
異変を感じたら便を持っての受診がスムーズ

■本記事の内容

  • 黒い便をする原因とは?
  • 検査内容や診断方法
  • 黒色便の治療法

真っ黒な便をしたときは、すぐに動物病院に連絡をしたほうがいいことが多いです。

愛猫の便が黒いかも…という場合には、あわてず読んでみてください。

猫の黒色便(メレナ)とは?

猫の黒色便(メレナ)とは?

愛猫の便が黒い色の場合には、胃や腸などの消化管から出血をしている可能性もあります。

この黒色の便は血便の一種で、黒色便(こくしょくべん)やメレナ、タール便(タールべん:コールタールに似ていることから)とも言われます。

みなさまご存じの通り、健康な猫の便の色は、黄色~茶色orこげ茶色です。

消化管内で出血が起きると、血液中に含まれるヘモグロビンが消化液と反応することによって、ヘモグロビンに含まれる鉄が酸化をします。

ヘモグロビンが酸化されるのにはある程度の時間がかかるため、便が黒色に変化する場合は、

  • 口や鼻、のど
  • 十二指腸
  • 小腸

などの『上部消化管からの出血』が疑われます。

トラまりも
トラまりも
大腸や肛門など出口付近の出血は、排せつまであまり時間がかからないため、赤い色の便が出るんだ。

そのため、黒い便が出たときは、基本的には異常であり、すぐに動物病院に連絡をした方がいいと思われます。

薬や食事の影響で黒い便が出ることもあります。

  • 肉類やレバーを食べた
  • 腎臓病や誤食などで薬用炭を飲んでいる
  • 鉄剤を飲んでいる
  • ビスマス剤(下痢止め)を飲んでいる

主治医の先生から「薬の影響で黒い便が出ますよ」と説明があった場合には、もちろん異常ではありません。

明かな赤い血が混じる血便については、こちらをご参照ください。▼

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黒色便(メレナ)の原因とは?

黒色便(メレナ)の原因とは?

黒色便を示すときは、上でお伝えした通り、上部消化管からの出血が考えられます。

出血の原因としては、

  • 感染症がある(カンピロバクター、クロストリジウム、サルモネラ、パルボウイルス、ジアルジア、コクシジウム、こう虫など)
  • 異物や中毒物質(殺鼠剤など)を食べてしまった
  • 炎症がある(膵炎、食道炎、胃腸炎、炎症性腸疾患、出血性腸炎など)
  • 外傷(口や鼻、のどや肺などの外傷)、交通事故
  • 消化管の異常(胃拡張、胃捻転、胃潰瘍、腸重積、ショックなど)
  • 腫瘍(リンパ腫、腺癌、肥満細胞腫、平滑筋腫・肉腫、ポリープなど)
  • 薬物(NSAIDs、ステロイド、ある種のサプリメントなど)
  • 凝固異常(血が固まりにくくなる病気、血小板減少症、DICなど)
  • 多臓器不全
  • アジソン病
  • 肝・胆のう疾患、腎疾患

…などと、とてもたくさんの原因が考えられます。

トラまりも
トラまりも
これらを鑑別していく必要があるんだ。

黒色便が出たときの症状とは?

黒色便が出たときの症状とは?

黒色便以外にどんな症状が出るのかは症例によって異なります。

  • いつもと変わらず元気なとき
  • 下痢や嘔吐をともなうとき
  • ぐったりして元気がないとき

…など様々です。

ただ、元気でも異常である可能性はあるので、主治医の先生に確認をしてもらった方がいいです。

黒色便が出たときの検査と診断

黒色便が出たときの検査と診断

黒い便が出たときには、便の検査は必須となります。

動物病院に行くときは、便を持って行った方がいいでしょう。

獣医師が便性状を把握できるのと、スムーズな検査が行えます。

便の遺伝子検査をすることもあります。

また、飼い主様からの稟告も重要です。

「何か変な物を食べなかったか?」

「いつから症状が出ているのか?」

「元気食欲はあるのか?」

分かる範囲でしっかり獣医師に伝えましょう。

動物の状態や状況に応じて、

  • 血液検査(貧血をしていないか?炎症の数値は?BUNや肝臓の数値は?)
  • 血液凝固検査(血はしっかり固まるのか?)
  • ホルモン検査
  • 直腸検査
  • レントゲン検査(全体像の把握、異物や腫瘍はないか?)
  • エコー検査(おなか全体の様子、腫瘍はないか?膵臓や胆嚢の様子など)

などを行います。

場合によっては、麻酔をかけて内視鏡検査やCT検査を行うときもあります。

黒色便が出たときの治療法

黒色便が出たときの治療法

症例によっては軽度で対症療法のみで完治するものから、亡くなってしまう重度の状態まであります。

治療法は、症例それぞれによって異なります。

一例として、

  • 異物を食べた→催吐や内視鏡、手術による摘出
  • 腫瘍や腸のねじれなど→手術
  • 膵炎→点滴などの対症療法
  • 感染症→細菌や寄生虫などに応じた抗生剤・駆虫薬
  • 炎症性腸疾患→免疫抑制剤

といった感じです。

トラまりも
トラまりも
黒色便の原因によって全く治療法は異なるよ。

消炎剤や粘膜保護剤などを併用し、場合によっては輸血をすることもあります。

【まとめ】猫の黒色便(メレナ)~黒い便をする原因や症状、対処法

愛猫が黒い便をした場合には、なにかしらの異常がある可能性があります。

便を持って速やかに動物病院にうかがうようにしましょう。

状況に応じて、血液検査や画像検査をするようになります。

また、飼い主様の稟告も大事になります。

なにかいつもと変わったことがなかったか?を獣医師に伝えるようにしましょう。

日頃から愛猫の便の状態をしっかり観察し、変調があったらすぐに動物病院にうかがうようにしましょう!

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【参考資料】

  • Irma J Nobles ,Safdar Khan,Multiorgan dysfunction syndrome secondary to joint supplement overdosage in a dog,Can Vet J.2015 Apr;56(4):361-4.
  • 血便が出る疾患を診る【前編】,CLINIC NOTE,No121,2015,Aug
  • 血便が出る疾患を診る【後編】,CLINIC NOTE,No122,2015,Sep
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