「愛猫がトイレで踏ん張っていて吐いてます…」
「猫の便が何日も出ていません…いつまで様子をみていいですか?」
「猫が便をするときに、すごい声で鳴きます…」
など、愛猫が便秘のときには様々な症状が出るし、いつまで様子を見ていいのか不安ですよね。
先日以下のツイートをしました。▼
犬猫がトイレで踏ん張って吐いている場合は、
➡️便が出ない
➡️尿が出ない
の2つが考えられます。便が出ないときは、緊急性がないことが多いです。病院で摘便してもらうといいです。
尿がでない場合は、どこでもいいのですぐに病院に行きましょう。
特にオス猫で注意⚠️#動物病院 #犬のいる生活— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) January 6, 2021
猫が便秘のときは、緊急性はないことが多いですが、治療を始めないと最悪命に関わることもあります。
■本記事の内容
- 猫の便秘の原因
- 何日まで様子を見ていいのか?
- この症状は便秘?~猫の便秘の症状
- 自宅での対処法や予防法【簡単にできる!】
愛猫が便秘で苦しんでいる場合は、ぜひ読んでみてください。
目次
猫の便秘は多い!便秘の原因とは?
猫の便秘(何日も便が出ない)は、めちゃめちゃ多いです。
猫の祖先は砂漠に住む動物だったため、水分をあまり摂らず、結果として便が硬くなってしまうという特徴があります。
猫の便秘の原因は、
- 飲水量の低下
- 骨盤腔が狭い
- 腸がのびてしまっている
- 腸の動きが悪い
- 食事が合ってない
- 毛玉をたくさん食べている
- 異物が詰まっている
- 直腸の感受性が低下
- 体が痛くて踏ん張れない
- 腫瘍があって腸が狭くなっている
- トイレが好きじゃない
- 何かしらの薬を服用している(利尿剤、ステロイド、鎮痛剤など)
などと、たくさんの理由が複雑に絡み合って発症します。
これらの原因によって便が出ないことで、便中の水分が余計に吸収されてしまいます。
そうなると、さらに便が硬くなり排出できなくなる…といった悪循環になってしまいます。
そして、カチコチになった便は腸に貯まってしまい、腸が拡張してしまいます。
慢性的にこの状態が続くと、腸がのびのびになってしまい、巨大結腸症という腸が拡張してしまう病気になってしまうことが多いです。
何日まで様子を見て大丈夫?
猫が何日便をしないとダメなのかという定義はありません。
なので、下記でお伝えする症状がなければ2,3日様子を見てもいいと思われます。
「毎日出るのに今日は出ないので心配です…」
というお問い合わせも時々ありますが、元気食欲があれば大丈夫なことが多いです。
猫の尿が出ない!ってときの記事は、こちらを参考にしてください。▼
便秘の症状とは?嘔吐することもある
猫の便秘の症状はたくさんあります。
- 踏ん張っていても出ない、諦める
- 便を出すのに時間がかかる
- すごい声で鳴く(ギャオギャオ、ワオワオ!)
- 何度もトイレに行く
- 毛が逆立っている
- 体を触ると嫌がる、キレる
- しぶり(液体みたいな、泡みたいなのしか出ない)
- コロコロした硬い便
- 嘔吐する
- 脱水(背中の皮膚をつまんでも元に戻らない)
- 食欲低下
猫の便秘の診断
太った猫でなければ、おなかを触ると硬い便が触れます。
また、レントゲン検査で貯まった便が描出されます。
猫の便秘の治療法【食事療法が大事!】
便秘で症状示している場合は、まずは固まった便を指を使って排出させます。
無理に行うと、腸や肛門を傷つけてしまうので、温かい生理食塩水を肛門から入れて便をふやかして、続く浣腸の処置でスムーズに出るようにします。
①浣腸
ある程度便が柔らかくなったら浣腸をして出します。
人間の赤ちゃん用や子供用の浣腸を使います。
②フードの管理~食事療法
便秘の再発予防のためには、食事療法が超重要です!
具体的には、
- 可溶性繊維が入ったフードにする(消化器サポート可溶性繊維など)
- 腸内細菌をコントロールするフードにする
- ウエットフードを加える(水分摂取のため)
- 肉のゆで汁を加える(水分摂取のため)
- サイリウム(エダウチオオバコ)を食事に加える
などがあります。
可溶性繊維は水分を含むとゲル状になり、便を柔らかくして通過しやすくなります。
サイリウムも可溶性繊維の一つです。
③薬、サプリメント
食事の変更のみでは、再発することが多いので、下剤やサプリメントを併用します。
- ラクツロース(便を柔らかくする)
- 流動パラフィン(便を柔らかくする)
- 白色ワセリン(便を柔らかくする)
- モサプリド(消化管の運動を改善する)
- ラキソベロン(下剤)
- ビサコジル(結腸を刺激して排便させる)
便が柔らかくなりすぎることもあるので、調子を見ながら増減していきます。
また、日常的にビオフェルミンなどの整腸剤を与えることにも効果がある場合もあります。
④環境の整備
猫は汚れたトイレが嫌いな子が多いです。
なので、トイレをきれいにする!ってことは便秘対策として有用です。
仕事などで家をあけがちな方は、トイレを複数個用意してもいいかもしれませんね。
⑤外科手術
内科療法が困難な場合には、結腸という大腸の一部を取ってしまう手術を行います。
結腸で便中の水分を吸収し便を硬くするので、
「結腸を取っちゃえば、便が硬くならない!」
という手術です。
結腸を全部、もしくはほとんど取ってしまう手術なので、術後は軟便や下痢になってしまうこともあります。
オリーブオイルは便秘に良い!
慢性的な便秘で悩む猫には「オリーブオイルを飲ませてください」とお伝えすることもあります。
オリーブオイルには、便を柔らかくさせたり、つるっと出させる作用があります。
あげる量は、ティースプーン1杯程度を舐めさせる(飲ませる)といいです。
うまく飲んでくれない場合は、鼻にちょんと塗ったり、前足にくっつけると自分で舐めてくれることも多いです。
綿棒やマッサージはあまり…
綿棒でおしりをツンツンする方がいらっしゃいますが、あまり意味ないですし危ないです。
また、腸の位置を知らずにマッサージをすることも、かえってよくない場合があります。
猫の便秘~5つの予防法とは?
猫の便秘の予防法はたくさんあります。
- 太らせない
- 運動させる
- 被毛(毛玉)の処理をしてあげる
- ストレスをなくす
- 水を飲ませる
これにプラスして早期発見があります!!
①太らせない
肥満は万病のもとです!
太っている子は、運動をあまりしないので余計に太ります。
また、太ると腹筋が使えなくなり、排便時にうまく力むことができなくなります。
痩せさせるためには、
- 食事の量を減らす
- おやつをあげない
- ダイエットフードに変える
ようにして対応しましょう。
ダイエットフードには、繊維質が多くて(かさ増ししていて)余計に便秘になってしまうものもあるので注意してください。
②運動させる
人間でも「適度な運動は便秘解消になる」っていいますよね。
それは猫も同じです!
適度な運動は腸の動きを活発にさせるため、一緒におもちゃで遊んだり、キャットタワーを設置してあげるなどするといいですね。
③被毛(毛玉)の処理をしてあげる
たくさんの被毛(毛玉)を食べてしまって、便が硬くなってしまうこともあります。
特に長毛種の場合は毛が多いので、定期的にブラッシングをして、飲み込む抜け毛を最小限にしてあげましょう。
猫の舌には「糸状乳頭」というツブツブがあって、毛を舐めることでブラッシングの役割をしています。
なので、毛づくろいを自身でしている際に、そのまま毛を飲み込んでしまいます。
飲み込んだ毛は通常便として出ますが、定期的に嘔吐して排出しています。
あまりにも大量に飲み込んだ場合には、胃に貯まったり腸に詰まってしまい、手術になってしまうこともあります。
④ストレスをなくす
これも便秘の対策として、人でもよく言われますよね。
ストレスを感じると胃腸の動きが停滞してしまいます。
また、猫はストレスを感じやすい動物なので、ストレスをなくしてあげることは極めて重要です。
具体的には、
- 環境を一気に変えない
- トイレをきれいに保つ
- トイレの置き場所を再考する
- 食事内容を急変しない
- 生活リズムを保つ
などをしつつ、ストレスの原因が思いつくようらなら改善をし、様子を見てあげましょう。
⑤水を飲ませる
水を飲むことで便中の水分が増えて、便が柔らかくなり排便がスムーズになります。
人においても、便秘の場合には、「水を飲んでください!」と言われると思います。
猫においてもそれは同じで、なるべく水分摂取を心がけるようにした方がいいです。
猫に水を飲んでもらうためには、
- ウェットフードにする
- 食事をふやかして与える
- 水飲み器を変更する(陶器、ガラス、金属、プラスチック…)
- 容器の大きさや高さを変更する
- ぬるま湯にする
- 一度沸かしてからあげる
- エサ場や廊下、寝室など様々な場所に配置する
- 水道から直接あげる
- 一度沸かした水をあげる
- 魚や肉のゆで汁、スープなどを加える(塩分はなし!)
といった様々な方法があります。
詳しくは、こちらの記事をご参照ください。▼
【まとめ】猫の便秘解消法!自宅での予防法・対処法も解説
猫の便秘は、便がたくさん貯まっているときは、まずは動物病院で浣腸などをして出させる処置をする必要があります。
その後は再発予防として、食事を変える+薬を与えるようになります。
加えて、
- 太らせない
- 運動させる
- 被毛(毛玉)の処理をしてあげる
- ストレスをなくす
- 水を飲ませる
ことが重要なので、日頃の過ごし方を見直してみましょう。
また、便秘になってしまったときは頑張ってケアや治療するけど、便秘が治ってくるとやめてしまう飼い主様は多いです。
猫の便秘は生涯を通しての管理が極めて重要です!