犬の中毒と誤食 PR

【犬のチョコレート中毒】舐めたり少量なら大丈夫なのかを獣医師が解説!

【犬のチョコレート中毒】舐めたり少量なら大丈夫なのかを獣医師が解説!

「犬がチョコレートを舐めたのですけど、大丈夫ですか?」

「落としたチョコレート菓子を食べちゃいました…」

「帰ってきたらチョコレートが散乱してました…」

など、犬がチョコレートを舐めたり、食べたりしてしまうことはよくあります。

トラまりも
トラまりも
犬にとってチョコレートは中毒物質だよ!

先日、以下のツイートをしました。▼

「犬(または猫)がチョコレート食べました…」はかなり多いです。
中毒には個体差があるので、どれくらいなら大丈夫という指標はないです。

なめた程度や少量なら様子を見るときもありますが、病院で吐かせた方が確実です。

計算上は、体重3kg程の犬ならダークチョコ35g程度食べると危険。

■本記事の内容

  • 犬がチョコレート中毒の症状
  • どれくらいの量食べると危険?少量や舐めた程度なら?
  • 動物病院に行くタイミング

愛犬がチョコレートを食べてしまった場合には、あわてず読んでみてください。

一刻も早くどうすればいいか知りたい方は、【まとめ】へジャンプ!

犬のチョコレート中毒の原因は「テオブロミン」

犬のチョコレート中毒の原因は「テオブロミン」

チョコレートの中には、「テオブロミン」というカフェインに似た成分が入っています。

犬の中には、テオブロミンの代謝分解が下手な個体が多く、そのためチョコレートを食べるとテオブロミンが体に貯まり、中毒症状が出ると言われています。

チョコレートの中には少量ですが、カフェインも入っています。

犬のチョコレート中毒の症状は「興奮」や「神経症状」

チョコレートの中のテオブロミンという成分は、中枢神経を興奮させたり、心臓に作用したりします。

そのため、

  • フラフラする、チックなどの神経症状
  • 胸を触るとバクバクしてたり、不整脈だったりする
  • うろうろして落ち着きがない
  • ハアハアしている
  • 異常な興奮
  • 震えやけいれん

などの症状が出る場合があります。

コーヒー(テオブロミンの仲間のカフェインが入っています)を飲んだときに、トイレに行きたくなるように、多尿になるというのもあります。

また、

  • 下痢や嘔吐
  • 食欲や元気がない
  • 水をよく飲む
  • 胃の拡張

などの非特異的な症状が出ることも多いです。

トラまりも
トラまりも
チョコレートを食べた後「いつもと様子が違うな…」と思う時は、中毒症状の可能性もあるから注意してね!

以前こんなのがありました。

「体重4kgの子が1×2cmくらいのダークチョコレートを5個食べてしまって、半日くらいたってから、震えていて元気がない。」とのことでした。

飼い主様的に思い当たることがチョコレートしかなかったため、チョコレート中毒と判断し、来院していただきました。

また、チョコレート中の脂肪成分によって急性膵炎を引き起こすこともあるので、注意が必要です。

舐めた程度ならOK?チョコレートの中毒量は?

舐めた程度ならOK?チョコレートの中毒量は?

一般的には、体重1kg当たり約100mgのテオブロミンを摂取すると、中毒症状が出ると言われています(80mg/kg以上で注意が必要)。

テオブロミンは、それぞれ、

  • ホワイトチョコレートには約0.05mg/g
  • ミルクチョコレートには約1.0~2.1mg/g
  • ダーク(ビター)チョコレートには約4.4~8.8mg/g
  • ブラックチョコレートには約15mg/g
  • ココアパウダーには約4.6~38mg/g

含まれています。(Bates N et al,2015改変)

【例えば体重3kgの犬の場合】

ダークチョコなら約35g食べると中毒症状が出る計算になります。

森永製菓のダース〈ビター〉の場合、1粒約3.5gなので10個食べると中毒症状が出ることになります。

体重1kgあたり20mg程度のテオブロミンの摂取でも、軽度の症状が出る場合もあるので、この場合2個以上食べた場合は、注意して見てあげましょう。

トラまりも
トラまりも
あくまで計算上はね。中毒には個体差があるから注意してね。

舐めた程度や少量なら様子見でいい場合も

上記の通り計算すると、舐めた程度や食べたのが少量の場合は、中毒症状が出る可能性は極めて低いです。

トラまりも
トラまりも
実はチョコレート中毒って遭遇したことがないんだ。滅多なことでは起こらないのかな…と思っています。

症状に注意しながらよく見てあげ、変調があった場合は動物病院に連絡しましょう。

チョコレート菓子の場合は?

チョコレート菓子の場合は?

チョコクッキーやチョコボール、手作りのチョコレート菓子などは、チョコレート含量が不明な場合が多いです。

純粋なチョコレートに比べると、中毒症状が出る可能性は低いですが、あまりにも大量に食べていた場合は、動物病院で吐き出させたほうがいいでしょう。

犬のチョコレート中毒が出るまでの時間は「すぐ~数日後」

食べた量が少ないと、特に何も症状が出ないことはあります。

摂取量がある程度の量だと、早くて2~4時間後に中毒症状が出ます。

また、犬はテオブロミンの分解速度が遅く、体に貯まりやすいので、3.4日は注意が必要です。

たくさんのチョコレートを食べた場合は動物病院へ

犬のチョコレート中毒に対する有効な解毒薬はありません。

基本的に、犬がチョコレートを食べてしまった場合の処置は「吐かせる」ことです。

高濃度のカカオが含まれているチョコレートを誤飲した場合は、点滴や胃洗浄をすることもあります。

活性炭とテオブロミンの吸着性が良好であることから、炭を飲ませることもあります。

【まとめ】犬がチョコレートを食べた、舐めたときの対処法

舐めた程度や少量の誤飲の場合は、中毒症状が出る可能性は低いです。

水を飲ませてよく様子をみてあげましょう。

ただ、個体差があるので必ずしも大丈夫というわけではありません。

大量に食べた場合や少量でも何かいつもと違う症状があるな…という場合には、すみやかに動物病院にうかがい、吐かせる処置をしましょう。

誤飲はペットの届かないところにモノを置くことで防ぐことができます。

今一度注意しましょう!

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【参考資料】

  • 辻本元,小山秀一,大草潔,中村篤史,犬の治療ガイド2020,EDWARD Press,2020
  • 誤食・中毒の緊急対応に関する疑問②,CLINIC NOTE196,2021,11月号,p62-64