「中性脂肪が高いですね、痩せましょう!」
「コレステロールが高いですね、今度再検査しましょう」
「犬が高脂血症って言われたけど、具体的にどうすればいいんだろう…」
など、愛犬が高脂血症と診断された場合は、何をどうすればいいのか不安になってしまいますよね。
この記事では、
- 犬の高脂血症って何?
- 中性脂肪やコレステロールが高いとダメなの?
- おやつあげすぎで高脂血症になるの?
- 高脂血症の治療法や予防法ってあるの?
など、犬の高脂血症についての疑問を分かりやすく解決していきます。
目次
犬の高脂血症とは、TGとT-Choが増えた状態
犬の高脂血症とは、血液中の脂肪分である
- 中性脂肪(TG、トリグリセライド)
- コレステロール(T-Cho)
が増えた状態です。
中性脂肪とコレステロールの違い
体の中の脂肪分は、主に中性脂肪とコレステロールからなり、約9割が中性脂肪です。
中性脂肪は主に脂肪細胞に蓄えられ、体のエネルギー源となります。
一方、コレステロールは体の成分を作る脂肪分でエネルギー源にはなりません。
コレステロールは細胞膜を作ったり、ホルモンの原料になったりします。
犬の高脂血症は何が問題なのか
犬が高脂血症になると何が問題なのかというと、
- それ自体(特に高TG血症)が発作や末梢神経障害、膵炎の原因となる
- 基礎疾患が潜んでいる可能性がある
からです。
犬の高脂血症の原因(基礎疾患)は5つある
犬の高脂血症は、基礎疾患が潜んでいる可能性があります。
基礎疾患として考えられるものは、
- ホルモンの異常(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、糖尿病など)
- 腎疾患(ネフローゼ症候群、腎不全など)
- 肥満
- 肝臓疾患(胆汁うっ滞、肝不全など)
- 急性膵炎
などがあります。
また高脂血症になりやすい(原発性高脂血症)犬種もいて、ミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープドックはそれぞれ高TG血症、高コレステロール血症が認められやすいです。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)については、コチラを参考にどうぞ▼
犬の甲状腺機能低下症についての記事はコチラです▼
犬の糖尿病はコチラを参考にどうぞ▼
前日の食事の影響もある
「昨日の夜、お肉食べさせました!」
「朝ごはん食べてきちゃいました!」
という時は、食事の影響で中性脂肪が高くなることがあります。
その場合は、再度絶食(12時間以上)で検査をするのが望ましいでしょう。
犬の高脂血症は、症状がみられないときもある
犬が高脂血症の時には、
- 嘔吐や下痢
- 腹部不快感
といった症状がみられるときもありますが、症状が認められない場合も多いです。
明らかに高脂血症となると、上記でも説明した通り、
- 発作
- 末梢神経障害
- 膵炎
- ブドウ膜炎
などを誘発する可能性があります。
犬の高脂血症の診断
犬の高脂血症は、血液検査にて診断が付きます。
- T-Cho:犬で250mg/dl、猫で200mg/dl以上
- TG:犬・猫で100mg/dl以上
またリポテストにて、高脂血症の詳細を知ることもできます。
リポテスト
犬の血液中の中性脂肪やコレステロールなど、脂質代謝の状態を詳しく調べる検査です。
- 原因(基礎疾患)の治療経過
- 肥満時のダイエット効果
- 生活習慣病などの早期発見
などに役立つ検査です。
犬の高脂血症の治療は3つ
犬が高脂血症の場合は、
- 食事療法(低脂肪食、高繊維食)
- 補助的な薬(ビタミン剤、強肝剤、サプリメントなど)を使用する
- 薬(抗コレステロール剤や抗中性脂肪剤)を使用する
を用いて治療していきます。
軽度の高脂血症の場合は、食事療法と補助的な薬で経過を見ます。
ある程度の中性脂肪やコレステロール値(おおよそTG>500mg/dL、T-Cho>500mg/dL)のときは、薬を使用して経過を見ていきます。
基礎疾患がある場合はその治療も同時に行います。
①食事療法
高脂血症の食事療法としては、
- 低脂肪食
- 高繊維食
が推奨されます。
おすすめの低脂肪食は、
- ロイヤルカナン 消化器サポート低脂肪
- ヒルズプリスクリプションダイエット i/d low fat
などがそれぞれドライと缶詰とであります。
また、おすすめの高繊維食は、
- ロイヤルカナン 満腹感サポート
- ヒルズプリスクリプションダイエット w/d
などがあります。
また、「日清 ダイエティクス スリムサポート」は国産の低脂肪かつ高繊維の食事で、動物病院専用の療法食となりますが、食いつきもよくおすすめです。
②補助的な薬(ビタミン剤、強肝剤、サプリメントなど)を使用する
犬の高脂血症の場合は、基礎疾患がある場合もあり、それに付随した補助的な薬を使用する機会が多いです。
脂質代謝に関係する、
- ビタミン剤(ビタミンEなど)
- タンパク分解酵素(エラスターゼなど)
- 強肝剤
- ω3脂肪酸
などを投与し経過をみていきます。
③薬
犬が高脂血症の場合は、まずは基礎疾患の治療や食事療法・補助的な薬の投与を行い様子を見ます。
改善がない場合、抗中性脂肪剤や抗コレステロール剤を用いる場合もあります。
ただし、副作用が出る事もある薬なので慎重に投与を行います。
犬が高脂血症の場合は、おやつはNG!
おやつをあげることで高脂血症になっていることも多いです。
数値が下がるまでは、おやつを与えるのをやめましょう。
「でも、コミュニケーションのためにおやつあげたいな…」という方は、
- キュウリや大根などの低カロリーな野菜
- 塩分なしの手作り乾燥ジャーキー
- 低脂肪食のドックフードをおやつ代わりにあげる
というようにするといいです。
ダイエットに向いているおすすめ野菜を解説した記事もあります▼
運動ってしたほうがいいの?
肥満が原因で高脂血症になっている場合は、無理のない程度で(日常の散歩程度で)運動した方がいいです。
あまりグイグイ散歩させても、足などに負担がかかってしまう恐れがあるので気を付けましょう。
中性脂肪やコレステロールは低くても問題になるの?
中性脂肪は低くても問題視されないことが多いです。
コレステロールについても、基本的には問題ではないですが、
- 蛋白漏出性腸炎
- アジソン病
- 甲状腺機能亢進症(人)
- 栄養障害
の時には低くなることがあるので、毎回低い場合は注意が必要です。
アジソン病について詳しく書いた記事はコチラです▼
犬の高脂血症の予後
犬の高脂血症は、基礎疾患のコントロールの状況で変わります。
基礎疾患のコントロールができた場合や原発性の高脂血症の場合は、サプリメントや薬を併用しながら、良好な予後が送れます。
【まとめ】犬の高脂血症は早期発見・早期治療
犬の高脂血症は、健康診断をして気づく場合も多いです。
適切に診断治療すればコントロールできることが多いので、定期的な動物病院の受診や健康診断をおすすめします。
また、犬の高脂血症には肥満が関わっていることもあるので、適度な運動と食事管理も気をつけるようにしましょう。