「犬のクッシング症候群ってなに?」
「クッシング症候群って言われたけど、どんな病気なんだろう?」
「犬のクッシング症候群って治るの?」
など犬のクッシング症候群について不安や疑問がある飼い主様は多くいらっしゃます。
犬のホルモンの病気としてよくある病気の一つですが、クッシングとか副腎皮質機能亢進症とか難しい名前のため、なんとなく理解できない気がしてしまいますよね。
この記事では、犬のクッシング症候群について、
- 治る病気なの?
- どうやって治療するの?
- 予後や予防法ってないの?
などの疑問を分かりやすく解説していきます。
目次
犬でよくある病気「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」とは?
クッシング症候群とは副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、副腎という腎臓の上にあるちっちゃい器官の機能が亢進してしまう病気です。
クッシング症候群は、犬で最も多いホルモン異常による病気と言われています。
クッシング症候群は、猫ではめったにならない病気です。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の原因は2つある
犬のクッシング症候群には、原因が2つあります。
原因①脳下垂体の腫瘍化
脳にある下垂体という部分は、副腎を刺激するホルモンを出しています。
この下垂体が腫瘍化しホルモンを出しすぎることにより、副腎の機能が亢進してしまいます。
犬のクッシング症候群の原因のほとんど(85%程度)は、この脳下垂体の異常により生じます。
原因②副腎自体の異常
副腎の腫瘍などで、副腎の機能が亢進してしまう事もあります。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の症状はたくさんある
犬がクッシング症候群になると、副腎からコルチゾールというホルモンが大量に出ることによってさまざまな症状が生じます。
ステロイドって聞くと、怖いイメージや魔法の薬のイメージがある方が多いと思われます。
ステロイドについて解説した記事はコチラからどうぞ▼
コルチゾールが多量に出ることによって、
- よく水を飲んでよくおしっこをする(多飲多尿)
- 脱毛や皮膚が薄くなったり、皮膚感染症が治らない
- 異常な食欲
- 腹囲膨満(中心性肥満という、おなかが太っていて四肢が細いという独特の外貌)
- 息が荒い、疲れやすい
- 筋力が落ちるので、散歩を嫌ったりするようになる
- 皮下出血と浮腫
- 高血圧
- 精神作用
- カルシウム沈着
- 糖尿病や尿路感染がみられる
…など様々な症状が出ます。
症状がたくさんあるので、飼い主様も変調に気づきやすいです。
中でも多飲多尿(おしっこがよく出て、よく水を飲む)の症状で気づかれることが多いです。
犬が多飲多尿になる病気はたくさんあるので、コチラも参考にどうぞ▼
犬のクッシング症候群は、飼い主様の稟告と特徴的な外貌で、
「あっ!クッシング症候群かも!」と分かることが多いです。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)はACTH刺激試験により診断
犬のクッシング症候群は、ACTHという副腎を刺激するホルモンを注射して、副腎がどれくらい反応するのかを見る試験(ACTH刺激試験)により診断します。
血液検査では他に、
- ALTやALPなどの肝酵素が高い
- 白血球数が増える
- 高脂血症
- 高血糖
がみられる事も多いです。
またエコー検査にて、腫大した副腎がみられる事も多いです。
片側副腎のみの腫大の場合は副腎腫瘍、両側副腎の腫大の場合は下垂体腫瘍が原因の可能性が高いです。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の治療法は3つある
犬のクッシング症候群の治療法は3つあります。
治療法は、脳下垂体が原因か、副腎が原因かによって異なります。
いずれの治療も、副腎からのコルチゾール分泌を抑えるために行います。
治療法①内科療法
犬のクッシング症候群のほとんどの症例が、内科療法にて治療します。
クッシング症候群の治療薬には、
- トリロスタン
- デソパン
- ケトコナゾール
などの種類があります。
薬の副作用が出ないように薬の量を決めていくので、投与量が決定するまでには時間がかかることが多いです。
【トリロスタンの副作用】
- 食欲や元気がなくなる
- 嘔吐や下痢
- 震え
などの症状がみられる事があります。
その場合は一度投薬を中止し、投薬量を変更していきます。
また、定期的にACTH刺激試験を行って、
- どのくらいコルチゾール量を抑制出来ているか
- コルチゾール量を抑制しすぎていないか
などを、症状の改善の有無(飲水量が減っているかなど)と合わせて確認します。
治療法②外科療法
副腎腫瘍が原因でクッシング症候群になっているときは、手術で腫瘍化した副腎をとるようになります。
ただ、腫瘍が血管内に入り込んでいたり転移してた場合には、外科手術が実施できないこともあり、その場合は緩和目的で内科療法を行います。
また、下垂体腫瘍が大きすぎる(直径1cmを超える)場合も外科手術が適用されます。
治療法③放射線治療
下垂体の腫瘍が大きかったり、その腫瘍によって神経症状(旋回やふらつきなど)が出ている場合は、放射線療法も適応されます。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の予後
犬のクッシング症候群は、適切な治療を受ければ比較的コントロールは難しくない傾向にあります。
ただ、併発疾患が生じることが多いので、その場合は治療も多岐にわたりコントロールが難しくなることもあります。
犬のクッシング症候群は体がだるくなることが多いので、無理をさせず一緒にゆったり過ごすようにしてあげてくださいね。
【まとめ】犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は早期発見・早期治療
犬のクッシング症候群は、早期発見・早期治療が重要です。
今一度、愛犬の飲水量や尿量、皮膚の状態や脱毛の有無などのチェックをしましょう。