猫を迎えようと検討している方から、「一生ケージ飼いをして、大丈夫ですか?」という質問をしばしば受けます。
はじめて猫を飼育する場合には、『どうやって一緒に過ごすべきか?』『ケージに入れっぱなしでいいのか?』など、飼い方が分からないということは、当然だと思います。
この記事では、猫のケージ飼いを一生してもよいのかどうか?を解説しています。
猫の飼育について、不安や疑問のある飼い主様は、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
猫のケージ飼い、一生しても大丈夫?
結論からお伝えすると、一生、猫のケージ飼いをすることはNGです。
なぜなら、猫の生理的な行動範囲を満たすためには、最低でも10㎡(6畳)必要と言われているからです。
加えて、人も一緒に過ごしますので、少なくとも20㎡(人が1人の場合)は確保する必要があります。
また、猫を飼っている方ならご存じのことと思いますが、猫はピューンとすごい速さで走り抜けたり、高いところにピョンピョン飛び乗ったり…
猫は『まるで野生!?』かのような俊敏な動きをしますよね。
せまいケージの中では、そういった動きができず、猫にとっては大いなるストレスとなってしまいます。
さらに、猫には自分の好きな場所があり、それは日によって、時間やタイミングによっても変化し、使い分けています。
少なくとも2つ以上の過ごせる場所(キャットタワーの上とペットベッドなど)を用意する必要があります。
そのため、猫を一生ケージの中で飼うことは、全くおすすめできない、というより、してはいけません。
ペットショップで「猫は一生ケージ飼いできる」と言われた
「猫はケージ内でかんたんに飼えますよ!」とペットショップで聞き、猫を飼い始めたという方がいらっしゃいます。
ただ、飼育していく中で、「狭くてかわいそうだな…」「出して!出して!というけれど、ケージから出してもいいのかな?」と不安になり、相談を受けるケースがあります。
「一生ケージで過ごすことは、おすすめできない飼い方です」とお伝えすると、とても驚いていらっしゃいました。
これは、『猫の飼育は簡単である』と伝え、販売を促進するために行われているのだと思われます。
情報をうのみにせず、自分で調べたり、獣医師や動物病院に確認をするようにしましょう。
猫のケージ飼いがOKであるとき
一生ケージで飼うことは、全くおすすめできませんが(というよりしないでください)、ある一定の期間の場合や、ケージ飼いをしてあげたほうがよい瞬間というものはあります。
以下で分けてお伝えしますね。
新しく迎えて、慣れるまでの間
新しく家に迎えた子(子猫や保護猫)の場合には、いきなり大きな部屋に放すことで、不安を感じてしまうことが多いです。
また、隠れたり逃げたりすることで、思わぬ場所にはさまる・引っかかってしまうなどの、事故を引き起こすこともあります。
そのため、まずはケージの中で安心して過ごせるようにしてあげるといいです。
子猫やシニア猫
子猫はどういった行動を示すのかが分からないため、見ていられない間はケージに入れておくといいでしょう。
また、シニア猫においても、高いところで動けなくなることがあるため、ケージ飼育をした方がいい場合もあります。
ただし、シニア猫の場合には、お気に入りスペースや決まった行動パターンなどがあるため、無理にケージに入れることは控えた方がいいでしょう。
外出時のみ、安全確保のため
おでかけや仕事をしているとき、つまり家を空けているときにのみ、猫をケージに入れることもあるでしょう。
特に、誤食や事故を生じる可能性のある子は、命を守るためにケージ飼育をすることもあります。
誤食の対策の基本は『ものをしまう・片付ける』ことなのですが、ネコちゃんによっては、引き出しやゴミ箱をあけて衣類・ゴミを食べてしまう…といったこともあります。
また、留守中にカーテンにからまっていた、高いところから落ちていたということも…
安全のため、見ていられないときには、ケージにしまうという飼い方もあります。
睡眠時のみ
寝るときのみケージに入れるという方もいらっしゃいます。
こちらも誤食や事故を防ぐためということが多いですが、ネコちゃんも安心して睡眠ができるという場合もあります。
病気で治療中のとき
下痢をしている、吐いている、ケガをしている…など病気で治療中の場合には、安静にするために、ケージに入れておくことも方法の一つとなります。
ただし、嫌がる愛猫を無理やり入れることで、暴れてしまい、余計悪くなってしまうというケースも。
安静が必要であり、ケージ内でおだやかに過ごせる場合には、一時的に利用してみましょう。
こんな理由で一生猫のケージ飼い!?ほかの対策が必要!
猫をずっとケージの中で飼育している理由として、『凶暴だから』『猫アレルギーがあるから』といったケースがあります。
確かに、一緒に過ごす相棒が怒りっぽかったり、噛みつく・ひっかいてくるといった行為がある場合や、くしゃみ・鼻水が止まらない…といった状況はとてもつらいと思います。
ただ、こういった理由で猫をずっとケージで過ごさせることは、よくないことです。
なぜなら、しっかり対策をしてあげれば、改善することがほとんどだからです。
例えば、家に来たばかりの成猫は、環境に慣れずに「シャーシャー」「フーフー」と怒ることは当然です。
慣れるまではケージの中で過ごしてもらい、その間に、外から話しかけたり、おやつをあげたり…などして、少しずつ環境や人に慣れさせていきましょう。
また、猫アレルギーがあるから、別部屋でケージ飼育をしているといったこともあります。
同居を始める方や赤ちゃんが猫アレルギーであった場合には、猫の飼育が難しくなることも考えられますよね。
猫アレルギーは猫の唾液に含まれる物質(唾液が付いた被毛)が原因ですので、なでたら手を洗う、ブラッシングをする、掃除を徹底するなどが基本の対策となります。
最近では、猫アレルギーに対して、食事の変更で対応できることもあり、ある程度の効果は実証されています。▼
【まとめ】猫は一生ケージ飼いでもいい?ケージ飼育をしていい場合もお伝え!
猫は俊敏な動きをし、お気に入りスペースがいくつかあるため、一生ケージ飼いすることはおすすめできません。
ただし、病気やケガがある、新しく迎え入れたなど、なにかしらの理由があれば、短時間・短期的に行ってもいいでしょう。
そうでなければ、一生ケージの中だけで過ごすことはあまりにもかわいそうです。
飼育を開始する前に、猫がくつろげる場所をしっかり確保できるのか?今一度見直してみましょう!