「愛猫が血尿をしています…」
「愛猫が特発性膀胱炎と診断されました」
「精神安定剤を出されたけど大丈夫なの?」
など猫の特発性膀胱炎について疑問や不安を持っている飼い主様は多くいらっしゃいます。
先日、以下のツイートをしました。▼
猫の粗相は、尿検査で異常がなければ、何らかのストレスを抱えていることが多いです。
環境や食事は変わってないかをチェック。
またトイレを増設し(体の1.5倍以上サイズで屋根なし、鉱物系の猫砂を入れる)、今あるトイレはそのままで様子をみる。
CLT入りの食事や気分を落ち着かせるサプリも併用😊— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) May 1, 2021
猫の粗相は、尿検査で異常がなければ、何らかのストレスを抱えていることが多いです。
環境や食事は変わってないかをチェック。
またトイレを増設し(体の1.5倍以上サイズで屋根なし、鉱物系の猫砂を入れる)、今あるトイレはそのままで様子をみる。
CLT入りの食事や気分を落ち着かせるサプリも併用。
この記事では、猫の特発性膀胱炎について、
- 原因や症状
- 食事や薬での治療法
- 治るのかどうか
などを分かりやすく解説いたします。
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目次
猫の特発性膀胱炎は原因不明の膀胱炎
猫の特発性膀胱炎は、原因不明で起きる感染がともなわない膀胱炎のことです。
猫の泌尿器トラブルの原因疾患には、
- 尿石症
- 尿路感染症
- 尿道閉塞
- 腫瘍
- 神経障害
- 特発性膀胱炎
などがありますが、特発性膀胱炎は泌尿器トラブルの原因疾患の約半数を占めます。
精神的要因も関与
猫の特発性膀胱炎には、膀胱の問題(バリア機能の異常など)だけでなく、精神的要因(ストレス)も関与しています。
日常生活におけるストレスとは、
- トイレが気に入らない
- 多頭飼育
- 神経質で怖がり、攻撃的
- 来客
- いつもと違う生活リズム
- 飼い主様との関係性
などが考えられ、プラスして、
- ドライフードを食べている(水分量の不足)
- 太っている(活動的でない性格)
- 水をあまり飲まない
などが特発性膀胱炎の発症に関係しています。
猫の特発性膀胱炎の症状は頻尿や血尿
猫の特発性膀胱炎の症状は、
- 頻尿(なんどもトイレに行く)
- 血尿
- 排尿時に痛がる
- トイレ以外での排泄(粗相)
などがあります。
猫がこれらの症状を示すときは他にも、
- 感染や結石、腫瘍が原因の膀胱炎
- 問題行動(不安やストレスなど)
などがあり、それらを鑑別する必要があります。
猫がトイレ以外で排泄をしてしまう原因や対処法は、こちらの記事を参考にしてください▼
また、尿が全く出ない場合は「尿道閉塞」と言って緊急で動物病院に行く必要があります。
猫の尿道閉塞についての記事はこちらの記事を参考にしてください▼
猫の特発性膀胱炎の診断は除外診断
尿検査や画像検査(レントゲン検査やエコー検査)を行い、感染や結石、腫瘍などがないかを確認します。
また、触診にて膀胱サイズを確認します。
不安やストレスなどの問題行動が原因ではないかも、飼い主様への問診を通じて判断していきます。
いろいろな検査をして、これといった原因が見つからなければ特発性膀胱炎と診断します。
猫の特発性膀胱炎の治療法3つ
ほとんどの特発性膀胱炎は無治療でも症状が治まることが多いです。
いずれの治療を行っても、効果が出るまでにはある程度時間がかかります。
治療法①環境改善
猫の特発性膀胱炎の治療は、環境の改善が最も大事です。
- どんな食事を、どんなタイミングで与えてる?
- 水はどれくらい飲んでいる?また飲むタイミングは?
- トイレは何回行ってる?一度にどれくらい出る?
- 安心して過ごせている?
- 人や他の猫との接し方はどう?
などを今一度よく観察してみましょう。
トイレの環境が気に入らないためにうまく排尿できず、膀胱炎となってしまうことは多いです。
猫が好きなトイレは、体長よりも1.5倍以上の大きさで、砂は鉱物の様な細かい砂を使用したものです。
新しくそういったトイレを設置してあげるといいですが、今まで使用していたトイレもしばらくそのまま置いておくようにしましょう。
そして、トイレは飼育頭数+1個(1匹で飼っていても2個以上)は用意するようにしましょう。
また、特発性膀胱炎になる前後で何か変わったことがあった場合には、それらを改善する(元に戻す)必要があります。
水をあまり飲まないことで特発性膀胱炎になることもあります。
それだけ、猫に水を飲んでもらうということは重要と言うことです。
猫への水の与え方は、こちらの記事を参考にしてください▼
治療法②フード(療法食)
様々なフードメーカーから猫の特発性膀胱炎のための療法食が出ています。
- ω3脂肪酸
- 抗酸化薬
- 加水分解ミルクプロテイン
- トリプトファン
などが増量されており、猫のストレスに配慮しています。
- ロイヤルカナン ユリナリーS/O+CLTドライ
- ロイヤルカナン 満腹感サポート+CLTドライ
- ロイヤルカナン ユリナリーS/O エイジング7++CLTドライ
- ヒルズプリスクリプションダイエット c/dマルチケアコンフォートドライ
- ヒルズプリスクリプションダイエット c/d マルチケアコンフォート シチュー缶
- BLUE NATURAL Veterinary Diet 猫用WU体重&尿路ケア・サポート・ドライ
などが大手メーカーが出している特発性膀胱炎に配慮したフード(療法食)です。
「下部尿路疾患に配慮したって書いてあるフードを食べているのだけど…」という場合でも、症状が出ることはあります。
そういった場合は、特発性膀胱炎に配慮したフード(上記のフード)に変えてみるといいかもしれません。
ただし、頻繁にフードの種類を変えるのはNGです!
また、猫は食事を突然食べなくなってしまうときが多いです。
上手に食べさせる方法は、こちらの記事を参考にしてください▼
治療法③薬やサプリメント
薬やサプリメントには、
- 鎮痛剤(特発性膀胱炎では膀胱に痛みがあるときがある)
- 抗不安薬(アミトリプチリンなど、ストレス軽減のために使用)
- 抗けいれん薬(炎症により機能的に尿道が詰まってしまった場合に使用)
- グリコサミノグリカンの補充(膀胱の組織を修復)
- ストレス軽減が期待されるサプリメント(フェリウェイ、ミルクカゼイン:ジルケーンなど)
があり、環境改善や療法食と合わせて使用します。
抗不安薬などの精神安定剤が出されることもあり、大丈夫かな?と不安になってしまう飼い主様も多いと思います。
症状が緩和することも多々あるので、様子をよく見ていられる日から飲ませてあげるといいでしょう。
部屋中に拡散させるタイプ▼
部分的に使用するスプレータイプ▼
フェリウェイのスプレーはアルコールでにおい物質を揮発させているため、スプレー後すぐは猫が嫌がる可能性があります。
そのため1時間程度あけて、猫を部屋に入れるようにしましょう。
【まとめ】猫の特発性膀胱炎はストレスが関係~実証された治療法を解説!
猫の特発性膀胱炎にはストレスが関与していると言われています。
まずは環境の見直しと改善を行い、合わせて療法食や薬・サプリメントを使用して治療をしていきましょう。
猫の特発性膀胱炎は、どの治療法を選択しても効果が出るのには時間がかかります。
効果が出ないからと言って治療をすぐやめず、経過をよく見てあげましょう。
【参考書籍】
- CAP,緑書房,2017,10,p7-40