腎泌尿器・内分泌

【猫の甲状腺機能亢進症まとめ】獣医師が分かりやすく徹底解説!

【猫の甲状腺機能亢進症まとめ】獣医師が分かりやすく徹底解説!

「猫が最近よく水を飲むなあ…」

「最近おしっこの量が増えたな…」

「食欲はすごいあるのに、痩せてきている…」

などの症状は、中高齢以降の猫でよくあります。

原因として、「甲状腺機能亢進症」という病気が潜んでいる可能性があります。

トラまりも
トラまりも
中高齢の猫が「よく鳴く」「水をよく飲む」「食欲ある」ってなると、疑う病気だよ!

先日、以下のツイートをしました。▼

同じ甲状腺の病気でも、
犬→機能低下症
猫→機能亢進症
になりやすいです。
甲状腺ホルモンは別名「元気が出るホルモン」なので、犬はぐったりで太る、猫はランランでガリガリなイメージ。
症状はゆっくり進行するので、毎日一緒にいると気づかないことも多い。
飲水量や食欲、元気をいま一度チェック

この記事では、

  • 猫の甲状腺機能亢進症とは?
  • 診断はどうするの?
  • 治療はどんな方法なの?
  • 予後や寿命ってどうなの?

など、猫の甲状腺機能亢進症について、分かりやすく解説していきます。

トラまりも
トラまりも
この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

猫でよくある病気「甲状腺機能亢進症」とは?

猫

甲状腺とは、喉のところにある器官です。

甲状腺の機能がなんらかの原因により亢進してしまった病気が甲状腺機能亢進症です。

トラまりも
トラまりも
のどを触ると、大きくなった甲状腺が触れることも多いよ。

中高齢以降の猫でよくみられる病気です。

8歳未満での発症は、全体の5%未満という報告もあります。

犬の甲状腺機能亢進症はめったにありません。

代わりに逆の病態「甲状腺機能低下症」という病気にはよくなります。

この甲状腺機能低下症の治療のために、甲状腺ホルモン製剤を飲むのですが、それによって甲状腺機能亢進症になってしまう事はあります。

犬の甲状腺機能低下症はコチラを参考にしてください。▼

【犬の甲状腺機能低下症まとめ】獣医師が分かりやすく徹底解説!
【犬の甲状腺機能低下症まとめ】獣医師が分かりやすく徹底解説!犬の甲状腺機能低下症はどんな病気でしょうか?この記事では、犬の甲状腺機能低下症の病態や症状、治療法や予後などを獣医師が分かりやすく解説しています。適切に治療をすれば健康に過ごすことができるので、犬の甲状腺機能低下症についてしっかり理解しましょう。...

猫の甲状腺機能亢進症の原因は3つある

猫の甲状腺機能亢進症の原因は主に3つあります。

原因①甲状腺の結節性過形成

過形成とは、正常組織と同じように細胞が増殖したもので良性の肥大です。

原因②甲状腺腫

甲状腺が良性の腫瘍によって大きくなることによります。

【過形成と腫瘍の違い】

  • 過形成→正常組織が増えたもので、細胞や構造は正常そのもの
  • 腫瘍→正常ではない細胞が増殖したもの

原因③甲状腺がん

甲状腺のがんによって、甲状腺が異常にホルモンを出してしまうこともあります。

猫の甲状腺機能亢進症の症状はたくさんある

猫

甲状腺から出る「甲状腺ホルモン」が過剰になることで様々な症状が出ます。

  • よく水を飲み、よくおしっこをする(多飲多尿)
  • よく食べるのに痩せている
  • 食欲が低下することもある
  • よく鳴く(夜鳴きもみられることがある)
  • 声がかれている
  • 眼がギラギラしている
  • 活動的
  • 脱毛、被毛粗剛
  • 下痢や嘔吐

などの症状が出ることが多いです。

トラまりも
トラまりも
「よく食べるし、元気だし、健康だわ!」と思って、病気を見過ごしてしまうこともよくあるんだ。

甲状腺ホルモンは、別名「元気が出るホルモン」とも言われています。

そのため甲状腺ホルモンが上がると、全身の代謝が異常に上がってしまい、よく食べる・よく鳴くなど様々な症状が出ます。

飼い主様の稟告と、特徴的な外貌で、

「あっ!甲状腺機能亢進症かも!」と分かることが多いです。

猫の甲状腺機能亢進症はT4の増加で診断

猫の甲状腺機能亢進症は、血液検査にて甲状腺ホルモンの値(T4もしくはfT4)が増加していることによって診断します。

T4:血中サイロキシン、FT4:遊離サイロキシン

T4が5μg/dL以上で甲状腺機能亢進症と診断ができます。

血液検査では他に、

  • ALT、ALPなど肝酵素が高い
  • Htが高い(脱水)

などがみられる事も多いです。

トラまりも
トラまりも
高血圧になることもよくあるよ!

ちなみに、甲状腺機能亢進症の初期の場合や併発疾患があるときには、甲状腺ホルモンの値が正常値のこともあるので注意が必要です。

甲状腺ホルモンは、

  • 他の薬の影響(鎮痛薬、消炎剤、ステロイドなどいろいろ)
  • 併発疾患がある(糖尿病やクッシング症候群など)
  • 麻酔や手術の影響

により、見かけ上の値が低下することがあります。

この病態を「ユウサイロイドシック症候群」と言います。

猫の甲状腺機能亢進症の治療法は3つある

猫の甲状腺機能亢進症の治療法は3つあります。

治療法①抗甲状腺薬の投与

チアマゾールという甲状腺ホルモン産生を抑える薬を飲みます。

1日2回で維持していくことが多いです。

チアマゾールは、

  • 嘔吐や下痢
  • 食欲低下
  • 体(特に顔)が痒くなる

などが副作用として出ることもあります。

副作用は、投与開始4~6週で出ることが多いです。

薬によって完治することはないので、生涯にわたる投与が必要です。

治療法②外科手術

甲状腺を摘出することで治療する場合もあります。

  • 甲状腺が明らかに腫れて、生活に支障をきたす場合
  • 甲状腺がんが疑われる場合
  • 内科療法でコントロールができない場合
  • 日々の投薬が難しい場合
  • 薬の副作用が出る場合

などのときには外科手術も検討します。

手術後に甲状腺ホルモンを補充することもあります。

治療法③食事療法

猫の甲状腺機能亢進症は、食事を変えることでも治療が可能です。

トラまりも
トラまりも
毎日の投薬が難しかったり、薬で副作用が出てしまう子は、食事を変えるだけで甲状腺機能亢進症の治療ができるよ。

ヒルズプリスクリプションダイエット 猫用 y/d

甲状腺ホルモンの元となるヨウ素が適切に制限されているため、いつもの食事をy/dに変えるだけで甲状腺機能亢進症の治療ができます。

y/d ドライ▼


y/d 缶詰▼

トラまりも
トラまりも
あんまり食いつきがいいご飯ではないんだけどね…

一般的には食事だけで甲状腺ホルモンの数値を改善することは難しいので、軽度の甲状腺機能亢進症のときや、投薬治療の補助として用いることが多いです。

猫の甲状腺機能亢進症を治療する際の注意点

猫の甲状腺機能亢進症は、中高齢以降の猫で発生することが多いです。

中高齢以降の猫では、慢性腎臓病を同時に患っていることが非常に多いです。

甲状腺機能亢進症があると、腎臓の血流量が増えるので(甲状腺ホルモンは代謝をあげるホルモンなので)、見かけ上腎機能が正常にみえることがあります。

そのため、甲状腺機能亢進症の治療をすると腎臓の血流量が減り、腎臓病が悪くなってしまう事があるので、2つの病気の治療のさじ加減が重要です。

トラまりも
トラまりも
腎臓の数値をしっかり測りながら治療をしていくよ!

猫の甲状腺機能亢進症の治療がレモンバームでできる!?

レモンバームとは、レモンに似たさわやかな香りがするシソ科のハーブです。

メリッサとも呼ばれます。

このレモンバームは、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモンの放出を抑制することで、甲状腺ホルモンを正常に保つと言われています。

でも成書に書いてある情報ではないので、何とも言えません。

トラまりも
トラまりも
何か情報を知っている方は教えてくださいっ!

猫の甲状腺機能亢進症の予後

猫

慢性腎臓病を併発しているかどうかによって異なります。

慢性腎臓病を併発していなければ、治療によって予後は良好です(生存中央値5.3年)。

【まとめ】猫の甲状腺機能亢進症は早期発見・早期治療

猫の甲状腺機能亢進症には、さまざまな症状がみられます。

毎日一緒に過ごしていると、気が付かないことが多いですが、あらためて愛猫をよく観察するようにしてみましょう。

トラまりも
トラまりも
甲状腺機能亢進症を予防するってこと自体は難しいから、早期発見に努めよう!

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