「犬の抜歯したら、ほとんど抜かれた!」
「抜歯したら食べられなくなっちゃうの…?」
「こんなに抜歯したらかわいそう。。」
など「犬の抜歯」について不安や後悔をしている飼い主様は多くいます。
この記事では、
- 極論、犬は歯がなくても大丈夫な理由
- なんでそんなに歯を抜くの?
- 抜歯後の生活で気をつけること
など飼い主様が抱える「犬の抜歯に対する不安」がなくなるように分かりやすく解決していきます。
目次
そんなに犬の抜歯していいの?
「ほら!こんなにダメな歯があったので、全部抜きました!」
犬の抜歯を体験したことがある飼い主様は、
「なんでこんなに抜いちゃうの…(涙)」
なんてことは実はよくあります。
診察時には、犬は大きく口を開けてくれないので、パパっと見るより仕方ありません。
ただ、麻酔をかけてじっくり見ていくと、歯の実際の状態がよく分かり、
「根っこがダメになってるな…」
「歯石の下の歯肉炎がひどいな…」
など、抜歯をしなければいけない「悪い歯」がたくさん見つかります。
- ダメになった歯を見かけ上きれいにして残しておいても、全く意味はありません。
- 悪い歯を残す方が骨や皮膚、全身の病気につながるので、抜くべき歯は抜いた方がいいです。
【無麻酔歯科処置ってよくあるけど…】
最近では、麻酔をかけずに歯科処置を行っている施設もよくみかけます。
歯の表面は見かけ上きれいになりますが、実際上記の理由で私はあまり意味がないように感じます。
歯科処置において、抜く歯や本数については、主治医の先生に一任するといいです。
大体想像より多く抜くことが多いので、心配でしたら術前に主治医の先生と相談・確認しておくとよいです。
でも実際、犬は全く歯がなくても普通に生活できます!
以下でその理由を分かりやすく説明しますね。
極論、犬は歯がなくても大丈夫な理由
人と犬では歯の機能がそもそもちがいます。
人の歯は、「すりつぶす」ことがメインの歯です。
一方犬の歯は、「引きちぎる・飲み込める大きさに切断する」ことがメインの歯です。
なので、飲み込める大きさのフードを与える限り、歯が全くなくても特に問題なく過ごせます。
「うちの子噛まないで、丸飲みなんです…」とよく聞きますが、犬はみんな丸飲みです!
抜歯するべき歯とはどんな状態なの?
抜歯には適応基準がありますが、簡単に言うと、
- グラグラ揺れる歯
- 歯周組織の破壊が重度
- 歯を支える骨が溶けている
- 歯を残しても、すぐに悪化が予測される場合
- 歯を残しても、歯周組織や他の歯に悪影響を与える場合
- 折れてしまっている
- 残存乳歯
- 重度の猫の歯肉口内炎
などがあります。
それと合わせて、
- 飼い主様の意向
- 歯を残した場合、適切な歯科ケアができるか
- 歯科処置後、定期的に歯科検診に来院できるか
なども考慮に入れ、抜歯すべきか決めていきます。
【高齢なので麻酔や手術大丈夫?】
「高齢なので麻酔が心配です…」とおっしゃる飼い主様は多くいらっしゃいます。
非常にそのお気持ち分かります…怖いですよね。
ただ、おおよその病気や手術は、若いうちではなく、年をとってからなる(行う)ことが多いです。
当院では麻酔をかけるときは、血液検査含め術前検査をしっかりと行います。(おおよその動物病院がそうなので安心してください。)
それでも「100%安全な麻酔はない」ですので、主治医の先生と歯科処置を行うかどうかは、じっくり相談してみてくださいね。
犬の抜歯後の生活で気をつけること3つ
せっかく麻酔をかけて口腔環境をきれいにしたのだから、それを維持する必要があります。
歯科処置後の生活で気をつけることは3つあります。
日頃の歯みがきの実施
歯科処置後に、歯のお手入れができないと、数週間で元通りになってしまいます。
「歯科処置」と「その後の歯のお手入れ」はセットと考えてください。
歯みがきのしかたについて分かりやすくまとめた記事はコチラから▼
口周りのケア
歯を多く抜いた場合や抜いた部位によっては、
- 食べこぼす
- よだれが多くなる
- くしゃみ・鼻血が出る
- 涙が出る
- 唇をかんじゃう
- 舌が出ちゃう
などが出ることもあります。
多くは時間が経てば治ることが多いですが、その間は口周り洗ったり、拭いてあげたりして清潔を保ってあげましょう。
硬すぎるものを与えない
犬の歯は、硬くて分厚いものを噛むと簡単に折れてしまいます。
デンタルガムやおもちゃなどを噛むことで、歯垢や歯石の除去には効果があると言われていますが、硬すぎるものには注意しましょう。
VETERINARY ORAL HEALTH COUNCIL(VOHC)のホームページに犬猫に推奨される口腔ケアグッズが紹介されているので、参考にしてみてください。
【まとめ】犬の抜歯を後悔している飼い主様へ
いかがでしたか?
抜歯含め歯科処置を行うと、大いに口腔環境の改善が期待できます。
生きる源は食事ですので、その入り口である口腔環境を整えることはとても大事です。
ただ、動物では麻酔をかけないと、きちんとした歯科処置はできません。
何度も麻酔をかけて処置を行うことは、現実難しいので、
今日から早速「自宅での口腔ケア」を始めてみましょう!