犬の中毒と誤食 PR

【犬がタマネギを食べた・なめた】致死量や症状、対処法を獣医師が解説!

【犬がタマネギを食べた・なめた】致死量や症状、対処法を獣医師が解説!

「愛犬が落ちたタマネギを食べちゃった!」

「目を離したすきに、愛犬がハンバーグを食べたかもしれない…」

「犬のタマネギ中毒ってどんな症状が出るの?」

など、犬がタマネギを食べた(舐めた)のだけど、どうすればいい?というご相談は、犬の誤食の中で一番多いです。

トラまりも
トラまりも
「犬=タマネギNG!」っていうのは、みんな一度は聞いたことがあると思うけど、どれくらいの量だとダメなのか?は意外と分からないよね…

先日、以下のツイートをしました。

犬や猫が「たまねぎ食べました、舐めました」はダントツ多い。
ネギ、ニラ、にんにく、らっきょうもダメ。
確実なのはすぐに動物病院で吐かせること!
中毒量は体重1kgあたり犬15~30g程、猫5g程と言われているけど個体差があるのでなんとも…
吐いたり下痢したり、貧血症状が出ることもあるので注意

■本記事の内容

  • タマネギを食べると、どんな症状が出るの?
  • どれくらい食べるとダメなの?舐めただけなら大丈夫?
  • 症状はいつ出るの?対処法は?

愛犬がタマネギを食べてしまった場合には、慌てずに読んでみてくださいね。

一刻も早くどうすればいいか知りたい方は、【まとめ】へジャンプ!

犬のタマネギ中毒の原因は『チオ硫酸化合物』

犬のタマネギ中毒の原因は「チオ硫酸化合物」

犬のタマネギ中毒の原因は、タマネギの中に含まれる『チオ硫酸化合物』といわれています。

原因物質については、さまざま議論があります。

タマネギ以外にも、

  • ねぎ
  • ニラ
  • ニンニク
  • ラッキョウ
  • エシャロット
  • ワケギ
  • アサツキ

などがこのチオ硫酸化合物を含んでおり、犬に与えてはいけない野菜です。

特に、タマネギとニンニクの毒性が強いです。

チオ硫酸化合物は、犬の赤血球膜やヘモグロビン(赤血球中の酸素を運ぶ物質)を酸化させ、メトヘモグロビン血症(ヘモグロビンの機能不全によって全身が酸欠になってしまう状態)やハインツ小体の形成をします。

ハインツ小体が形成されると、赤血球は壊れやすくなりその寿命が短くなります。

トラまりも
トラまりも
要は、タマネギ中の中毒物質が原因で、赤血球が壊されちゃうってこと。赤血球が壊れちゃうと、酸素が全身に回らなくなっちゃうよね…

タマネギは、未調理、調理済み、乾燥加工のどの形態でもNGです。

遺伝的に秋田犬や柴犬がタマネギ中毒になりやすいといわれています。

犬のタマネギ中毒の症状は貧血!

犬のタマネギ中毒の症状は貧血!

犬のタマネギ中毒の症状は『貧血』に関連する症状です。

具体的にどんな症状かというと、

  • 元気や食欲がなくなる
  • ふらふらする
  • 粘膜(くちびるや結膜)の色が青くなる
  • 呼吸がしづらくなる
  • 脈や呼吸が速くなる
  • 黄疸が出る

などがあります。

オシッコが赤茶色くなって気がつく場合もあります。

【なぜおしっこが赤茶色くなる!?】

犬のタマネギ中毒の『貧血』は、血がなくなる(出血)ことによる貧血ではなく、血が壊される(溶血)ことによる貧血です。

トラまりも
トラまりも
『出血』は、鼻血とか怪我とかしちゃったときに、血管が破れて血が出ちゃうこと。『溶血』は、血液中の赤血球が壊されて、赤血球がダメになっちゃうこと。どっちも同じ『貧血(赤血球が無くなっちゃう)』だけど、その機序が違うんだ。

また、犬のタマネギ中毒では、

  • 嘔吐
  • 下痢や軟便
  • 食欲や元気がなくなる

といった場合もあります。

いろいろな症状があるのでわかりにくいと思いますが、 『いつもと違った症状がある』という場合は、タマネギ中毒の可能性もあるので注意してください。

犬のタマネギの中毒量は 『体重1kgあたり15~30g』

食べた量が少量や舐めただけなら、様子をみるのもアリ!?

一般的には、犬がタマネギを、

『体重1kgあたり15~30g食べると症状が出る』

といわれています。

そのため計算上では、体重3kgの子がスライス1枚とか少量を食べてしまったとしても、症状は出ないはずです。

体重の0.5%のタマネギを食べると中毒を起こすという報告もあります。

ただ、中毒には個体差があるので、何とも言えない部分もあります…

少量でも症状が出ることがあり、以下で説明します。▼

食べた量が少量や舐めただけなら、様子をみる!?

「タマネギやニンニク入りのソースを、少量なめただけです…」

「ハンバーグを少し食べただけです…」

といった場合はどうすればいいでしょうか?

これは難しいところですが、上記でお伝えした通り、中毒量は『体重1kgあたり10~30g』ですので、なめた程度なら様子を見る場合もあります。

また、下記でお伝えしますが、動物病院で行う処置としては、吐かせることがメインとなりますので、なめただけだと吐かせるものがないといった理由もあります。

 

ただし、タマネギの入ったスープを舐めただけで中毒症状が出る犬もいます。

カレー作りの途中でタマネギと一緒に煮たニンジンを食べただけで、中毒症状が出る場合もあります。

少量や舐めただけなら様子をみるということも多いことが実際ですが、中毒には個体差があるので、必ず症状に変調がないか?は、よく見てあげるようにしてください。

トラまりも
トラまりも
ハンバーグまるまる1個食べても症状が出ない子から、汁を舐めただけで症状が出る子もいるので、判断は難しいところだよね…

ちなみに、食べた後すぐに吐いたとか、食べた後すぐに元気がないかも…とかは特に中毒症状ではないと思われます。

単純にいつもと違うものを食べて、気持ち悪かった可能性があります。

中毒の症状が出る時間は翌日以降【一週間は要注意】

タマネギ中毒の症状が出る時間は翌日以降【一週間は要注意】

「今、タマネギを食べてしまったのですけど、けろっとしていて元気です」

というのはよく伺います。

タマネギを食べてしまった場合、すぐに症状が出るわけではありません。

一般的に、犬のタマネギ中毒は、翌日以降(誤食をしてから1~5日後)に出ることが多いので、しばらくの間注意が必要です。

ただし、タマネギを食べた後に、気持ち悪くて自力で嘔吐する犬もいます。

トラまりも
トラまりも
自力で全部吐いてくれたら、自宅で様子をみるのもいいかもね。

犬がタマネギを食べたらすぐに動物病院へ!~治療法

犬がタマネギを食べたらすぐに動物病院へ!~治療法

タマネギは犬にとって中毒物質なので、間違って食べてしまった場合は、動物病院で吐き出させる処置をしてもらうのがベストです。

残念ながら「これを飲めば治る!」といったような薬はないです。

食べてしまったら吐かせることが基本的な処置になります。

トラまりも
トラまりも
点眼や注射で吐かせるよ!

場合によっては、活性炭を飲ませたり胃洗浄を行うときもあります。

症状が重度の場合には、点滴や輸血も考慮します。

自宅でできることは基本的になく、様子をよく観察するということになります。

【まとめ】犬がタマネギを食べたときの症状や対処法

犬が間違ってタマネギを食べた場合は、すぐに動物病院で吐き出させるようにしましょう。

なめた程度やごく少量の場合は、中毒症状が出る可能性は低いです。

ただ、個体差があるので、不安な場合には必ず動物病院に確認しましょう。

また、タマネギを食べてしまった場合に、すぐには症状は出ません。

翌日以降に『貧血』に関連した症状がないかをチェックし、異常があった場合はすみやかに動物病院に行くようにしましょう。

誤食は「食べられないところにモノを置く」という基本的なことで防ぐことができます。

今一度注意してみましょう!

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