「愛犬が気管虚脱と診断されました…」
「どういったことに気をつければいいのだろう?」
「薬?手術?どうしたらいいのだろう?」
など、愛犬が気管虚脱と診断された場合は、どういったことに気をつけ、どういった治療があるのか不安になってしまいますよね。
先日、以下のツイートをしました。
犬がガアガア咳をする「気管虚脱」は、これから暖かくなってくる時期に増えます☀️
チワワ、トイプーなど小型犬に多く、
・太らせない
・過度に興奮させない
・喉に負担のかかる首輪やハーネスを使用しない
・適温適湿
などして対応。
アンチノールなどのサプリや週に1回の注射で症状の緩和ができる😊— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) March 26, 2021
犬がガアガア咳をする「気管虚脱」は、これから暖かくなってくる時期に増えます。
チワワ、トイプーなど小型犬に多く、
・太らせない
・過度に興奮させない
・喉に負担のかかる首輪やハーネスを使用しない
・適温適湿
などして対応。
アンチノールなどのサプリや週に1回の注射で症状の緩和ができる。
■本記事の内容
- 犬の気管虚脱の原因やその症状とは?
- 治療法と予防法【薬やサプリメント】
- 日常生活で気をつけること
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目次
犬の気管虚脱とは空気の通り道(気管)が潰れてしまう病気
犬の気管虚脱は、口から肺への空気の通り道である気管が潰れてしまう病気です。
普通は「C」の形をしている硬い軟骨で構成されているので潰れることはありませんが、支える軟骨が弱くなったりすることでぺちゃっと潰れてしまいます。
中高齢の小型犬や短頭種で多く、
- トイプードル
- チワワ
- マルチーズ
- ポメラニアン
- ヨークシャーテリア
などが好発品種です。
発症の原因は他にも、
- 太っている
- 吠えまくる
- リードで過度に引っ張る
- 夏場や梅雨時期などの高い気温や湿度
- 加齢
- 慢性気管支炎や呼吸器感染
- 循環器疾患
なども関与していると考えられています。
犬の気管虚脱の症状は「ガアガア」いう咳
気管が潰れてしまうことで、呼吸がうまく出来なくなってしまい、様々な呼吸の症状が出ます。
- 咳をする(空咳や水を飲むとむせるなど)
- 吐きそうなそぶりをする
- ガアガアと変な音の呼吸音がする
- 呼吸困難
うまく呼吸ができないことで、体に熱が貯まってしまい高体温になってしまうこともあります。
気管虚脱はレントゲン検査で診断する
犬の気管虚脱は、レントゲン検査で診断することが可能です。
咳をする原因として、心臓の病気であるケースも多いので、心臓疾患由来の咳ではないことをエコー検査で確認する必要があります。
治療法は内科療法or手術【注射やサプリメント】
呼吸困難を示している場合(咳が止まらない、ベロの色が紫色など)のときには、すみやかに酸素室や挿管(喉からチューブを入れて酸素を送る方法)する必要があります。
また、高体温になってしまっている場合には、アイスノンなどを使って体を冷やさなくてはいけません。
たまたま健康診断で見つかったなど無症状の場合には、経過観察をすることもあります。
気管虚脱の治療は大きく分けて、
- 体重管理や投薬などの内科療法
- 手術で気管を治す外科治療
があります。
以下で分けて説明していきますね。
内科療法
内科療法には、
- 食事療法、体重管理
- 薬
- サプリメント
があります。
気温や湿度の管理についてはこちらの記事も参考にしてください。▼
①食事療法、体重管理
気管虚脱の治療や予防において、体重管理は極めて重要です。
最近では犬や猫などペットにおいても、燃焼系サプリメント(5-ALA配合;エネアラ)なども発売されており、注目を集めています。
「EneALA(エネアラ)」は、犬猫用で世界初の5-ALA(5-アミノレブリン酸)を配合した燃焼系サプリメントです。
体内で不足しがちな5-ALAを補充することで、ミトコンドリアを活性化し、脂質代謝、体重管理など健康の維持に役立ちます。
愛犬、愛猫が「いつまでも若々しく元気に健やかでいてほしい」と願う飼主さまと獣医療関係のみなさまにおすすめいたします。
(参考:DSファーマアニマルヘルス)
また、食事量を減らしたり、適度な運動をすることによって、肥満にならないように注意しましょう。
うちの子って肥満なの?と思う方は、BCSという体重の指標があるので、こちらをご覧ください。▼
②薬
気管虚脱に使用する薬として、
- ステロイド(プレドニゾロンなど)
- 鎮静剤
- 鎮咳薬
- 去痰剤
- 気管支拡張薬
- 抗菌薬
などがあります。
症状に合わせて、どの薬をどのくらいの頻度で飲むのかを決めていきます。
ただ、薬による治療で気管虚脱自体が治るわけではないので、投薬を続けることで少しずつ薬が効かなくなってくることもあります。
カルトロフェン・ベットというお薬は、本来は関節炎の治療薬なのですが、週に1回の皮下注射を4回行うことで、気管虚脱が改善することがよく見られます。
また、ステロイドに関して「怖い薬では…」と不安に感じている方は多いですが、使い方を間違えなければ非常に良い薬です。
ステロイドって怖い薬なの?の記事はこちらを参考にしてください。▼
③サプリメント
気管虚脱にはサプリメントが処方されることもあります。
例えば、犬用サプリ【アンチノール】というサプリメントには抗炎症作用があり、気管虚脱の子に投与した場合、咳などの症状が減ることがしばしばあります。
また、薬と違って副作用の心配が少ないのも使用しやすいポイントです。
モエギイガイ抽出脂肪酸は経口投与である点、ならびに栄養成分の1つである脂肪酸はステロイドやNSAIDsとは異なり、長期投与による副作用の懸念の非常に少ないものである点から、飼い主と患者にやさしい選択肢として推奨しやすいと思われる。
引用:気管虚脱の犬にモエギイガイ抽出脂肪酸(PCSO-524®)を与えた19症例の臨床成績
手術
内科療法でコントロールができない場合や緊急的な場合に手術が適応となります。
手術法には、以下の2つの術式があります。▼
- 潰れた気管の中にステントという管を入れて気管を広げる(内視鏡を使っての手術)
- 気管の外にプロテーゼを縫い付けて広げる(喉元を切っての手術)
①の方は内視鏡を使ってできるため、手術によるダメージが少なく済む一方で、異物(ステント)が気管内に入っている刺激がもとで咳が出てしまう可能性があります。
②の方では、PLLP(Parallel Loop Line Prostheses)法という、潰れてしまった気管の外にプロテーゼを装着して、糸(溶けない糸)で気管と固定して、気管の形状を保つ手術法があります。
この場合、気管の中には異物がないので、術後の経過がいい傾向にあります。
ちなみに、気管を治す手術はどこの病院でもできるというわけではありません。
気管虚脱の予防対策としてできることはたくさんある!
犬の気管虚脱は、原因がはっきりとは分かっておらず、また遺伝も関与しているので、確実に予防することは難しいかもしれません。
ただ、日常で気をつけることとして、
- 太らさせない!
- 過度に吠えさせない!
- 過度に興奮させない!
- 喉に負担のかかる首輪やハーネスを使用しない!
- 夏場なら暑くさせない、湿度を適切に!
といったことを気をつけるようにしましょう。
ハーネスを変えることもおすすめ【喉に負担がかからないように】
首輪でのお散歩は、ダイレクトに気管にダメージが及んでしまうので、絶対に控えた方がいいです。
また、胴輪においても喉元に負担がかかってしまう場合もあるので、気管に負担のかからないハーネスに変えることも方法の一つです。
それと同時に、吠えすぎや興奮させすぎを防ぐことも重要です。
【まとめ】犬の気管虚脱は命に関わることもある病気
犬の気管虚脱は、小型犬に多く見られる病気です。
咳をしていたり、ガアガアという呼吸音がしていたりと、呼吸のトラブルが生じます。
太っている場合や興奮したときに発症することが多く、また湿度や温度が高いときによくなります。
体重管理や温度・湿度管理、定期的な経過観察を行うことで、発症を予防するようにしましょう。