予防関係 PR

【犬の下痢止め薬】効く薬や市販薬、食事についてを獣医師が解説!

【犬の下痢止め薬】効く薬や市販薬、食事についてを獣医師が解説!

「犬が下痢止め薬を飲んでいるのだけど、治らないです…」

「家に人用のビオフェルミンあるのだけど、飲ませていいの?」

「市販の下痢止め薬ってあげていいのかな?」

など、犬の下痢止め薬について、何を飲ませればいいのか悩まれている飼い主様は多くいらっしゃいます。

トラまりも
トラまりも
犬が下痢をしているとかわいそうだから、早く治してあげたくなるよね。

この記事では、

  • 下痢止め薬にはどんな薬があるの?
  • ビオフェルミンってあげてもいいの?
  • 市販の下痢止め薬をあげてもいいの?

など、犬の下痢止め薬について使用法や注意点を分かりやすく解説し、合わせて下痢を治すためのおすすめのフードもご紹介いたします。

トラまりも
トラまりも
この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

下痢の原因によって、使う下痢止め薬は異なる

下痢の原因によって、使う下痢止め薬は異なる

当然ですが、何が原因で下痢をしているのかによって使用する下痢止め薬は異なります。

犬の下痢の原因は、

  • フードの変更
  • 消化器の機能不全(胃腸の消化吸収不全、膵機能不全など)
  • 食物アレルギー
  • 感染症
  • 中毒
  • 腫瘍
  • ホルモンの異常(甲状腺、副腎など)
  • 過敏性腸炎

…などとたくさんあります。

よく使う犬の下痢止め薬

よく使う犬の下痢止め薬

犬の下痢には、

  1. 単純な一過性の下痢(ストレス、季節の変わり目など)
  2. 消化器に何かしらの異常があって生じる下痢
  3. 消化器以外に何かしらの異常があって生じる下痢

の3パターンあります。

今回は、①単純な一過性の下痢のときに出される下痢止め薬を解説します。

トラまりも
トラまりも
動物病院に来る下痢のほとんどは、単純な一過性の下痢だよ。そのときに出す薬を紹介するね。

整腸剤:ずばっと効くわけではないが、害はない

よく出される薬の代表といえば、ビオフェルミンなどの整腸剤です。

ビオフェルミンなど腸で働く微生物のことを、プロバイオティクス(善玉菌製剤)と言います。

プロバイオティクスには、

  • 乳酸菌
  • 酪酸菌
  • ビフィズス菌
  • 酵母菌
  • 麹菌

などがあります。

整腸剤と一緒に用いるとよいものとして、プレバイオティクスがあります。

プレバイオティクスは、有用菌だけを増やす(悪玉菌の増殖を抑制する)物質のことで、

  • オリゴ糖
  • 食物繊維

などがあります。

整腸剤は、飲んでいて特に害がなく有用なことが多いので、下痢や軟便の時は飲んでいいと思われます。

家にある人用のビオフェルミンも、特に問題なく与えていいと思われます。

収斂剤(しゅうれんざい):あまり効かないことも…

腸粘膜の表面で分泌物などのたんぱく質と結合して被膜を形成し、腸粘膜の保護をする薬です。

タンニン酸、硫酸アルミニウムなどがあり、商品名として『ディアバスター』が有名です。

よく出される薬ですが、効力的には弱いイメージがあります。

防腐剤:あまり効かないことも…

腸のぜん動運動を緩めたり、腸内の有害細菌の増殖を抑える作用があります。

ベルベリンなどがあります。

これも効力的には弱いイメージです。

消化酵素剤:消化不良には効く!

エクセラーゼ、ベリチームなどがあり、複数の消化酵素を補うことができます。

トラまりも
トラまりも
消化不良で臭いげりをしていたり、うんちに未消化物が出ているときに使うよ。

プロスタグランジン合成阻害剤:場合によるが、効果抜群!

この薬もよく使われるタイプの薬で、効力は抜群です。

5-アミノサリチル酸製剤(COX阻害)として、サラゾスルファピリジンという成分の薬がよく使われます。

サラゾスルファピリジンは大腸において、メサラジン(抗炎症作用)とサルファ剤(抗菌薬)に分解されて、大腸で効果を発揮します。
トラまりも
トラまりも
抗炎症作用と免疫調整作用がある薬で、大腸炎にはズバッと効くいい薬だよ。

粘液便をしているときは、大腸炎の可能性もあります。

大腸炎って何?って方はこちらも参考にしてください。▼

【犬が粘液便をした】動物病院に行くタイミングや自宅での対処法を解説
【犬が粘液便(ゼリー状)をした】動物病院に行くタイミングや自宅での対処法を解説犬が粘液便をしている!血が混じっている!なんてときは慌ててしまいますよね。この記事では、犬が粘液便をしたときの動物病院に行くタイミングや自宅での対処法を解説しています。粘液便をしてしまった時の常備食の紹介もしているので、万が一の時に備えたい方は是非読んでみてください。...

ステロイド剤もこの分類に入りますが、内視鏡をして免疫異常による下痢と診断されたときに主に用います。(下痢の初診で出されることはほぼないです。)

抗生物質:場合によるが、ズバッと効く!

クロストリジウムやカンピロバクターなど特定の腸内細菌を倒すときに使用します。

有用菌も殺してしまうので、腸内細菌のさらなるバランスの変化に注意が必要です。

「抗生物質を飲ませたら、吐きました…」

「抗生物質を飲ませたら、もっと下痢になりました…」

というのはよくあり、その場合は薬を中止し変更する必要があります。

ただ、ずばっと効くことも多いので、抗生物質はよく出される薬の一つです。

トラまりも
トラまりも
うんちを顕微鏡で見て、クロストリジウムやカンピロバクターが多くいたときに出されることが多いよ!
ビオフェルミンRは抗生物質にやられない乳酸菌製剤なので、抗生物質と一緒に処方され、腸内細菌のバランスを保ちます。

運動調整剤:たまに出されるけど…

過度の消化管のけいれんを抑える薬です。

スコポラミン、ロペラミドなどがあり、ぜん動運動を抑えることで、腹痛の緩和ができます。

どうしても下痢が治らないときはこんな手だってある

どうしても下痢が治らないときは、炭やバリウムなどの『吸着剤』を用いることもあります。

薬用炭は有害物質や細菌の吸着をし、便として出し腸への刺激を低減させます。

バリウムは、消化管造影検査でよく聞くと思いますが、それです。

「おなかの中で固まってしまうから、検査の後は下剤を飲んでください」というのがお決まりですが、逆にそれを利用しているというわけです。

ただ、結構作用が強力なので、嘔吐やおなかの痛みを引き起こすことがあります。

トラまりも
トラまりも
吸着剤は、ビタミンやミネラル、消化酵素なども吸着してしまうため、長期には使用できない薬だよ。

市販の犬用下痢止め薬はあまりおすすめできない

市販の犬用下痢止め薬はあまりおすすめできない

犬用の下痢止め薬は、インターネットやホームセンターなどで簡単に購入することができます。

トラまりも
トラまりも
獣医さんになる前(ずっと前)は、自分もホームセンターで買って愛犬にあげていたよ。

でも、獣医師としては市販の下痢止め薬はあまりおすすめできません。

なぜかというと、下痢には止めていい下痢と止めてはいけない下痢があって、その区別を飼い主様がすることはできないからです。

止めてはいけない下痢→ウイルスや、寄生虫など感染症による下痢

なので、動物病院で糞便検査をしてもらって適切な薬を出してもらうようにしましょう。

トラまりも
トラまりも
お腹が弱い子は、頓服用の常備薬を主治医の先生に相談して出してもらうといいよ!

そもそも下痢止め薬を1回飲んだだけで治ることはない

そもそも下痢止め薬を1回飲んだだけでよくなることはない

まず、どんな薬においてもですが、1回もしくは1日飲んだだけでよくなるわけではないです。

トラまりも
トラまりも
下痢が全然よくならないんです…と話を聞くと、実は昨日薬を飲みだしたばかりじゃん!ということはよくあるよ。

処方された日数分をきちんと飲んでから、判断したほうがいいです。

ただ、実際は2、3日飲むと回復の兆しが見えることは多く、

逆に言うと「2、3日飲んでいても変わりがない」もしくは「どんどん悪くなっていく」場合は、

  • 薬の種類が合っていない
  • 薬の量が合っていない

可能性もあるので、主治医の先生にご確認ください。

犬の下痢は食事で治ることもある

犬の下痢は食事で治ることもある

単純な一過性の下痢においては、

  • 消化器に配慮したフードを混ぜる(消化器サポート、w/dなど)
  • 高繊維の野菜(ジャガイモやサツマイモなど)を食事に混ぜる

ことでよくなることは多いです。

トラまりも
トラまりも
夜間や動物病院が休みの時に下痢をしてる場合や、もうちょっと様子みようかな…って場合に、常備食として持っておくと役立つ機会は多いよ!

下痢の時に食事を食べさせるかどうかですか、

基本的には、吐いていなければ食べさせていいと思われます。

いつもより少量にしたり、ふやかしてあげるとよりいいですね。

【犬に野菜は必要?必要ない?】おすすめ野菜の種類や量も解説!
【犬に野菜は必要?必要ない?】おすすめ野菜の種類や量も解説!「犬に野菜って必要?必要ないの?」 「毎日、野菜をあげているけど、消化できているのかな?」 「野菜が必要なら、何をどれくらい...

【まとめ】犬の下痢止め薬について

このように犬の下痢止め薬は、単純な一過性の下痢だとしてもたくさんの種類があります。

1回の診察で出される薬でよくなることもあれば、変わらないこともあります。

「薬飲ませたけど、よくならなかった…病院変えようかな…」

と思わず、きちんと再診に伺ってくださいね。

トラまりも
トラまりも
1回診てもらっただけですぐに病院を変えちゃう飼い主様がいるけど、そしたら次の病院でもまた1からやるようになるので、かえって治らなかったり、動物にストレスになったりするよ。

「1回目の薬が効かなかった」ということが、次の診療をより確実なものにできるのです!

また市販の下痢止め薬は、使用する状況を間違えると害にもなるので、あまりおすすめしません。

何か困ったことがあったら、主治医さんに確認してみてくださいね!

トラまりものペット講座TOPに戻る