春といえば犬や猫の予防シーズンの始まりです!
フィラリア症予防、狂犬病予防、ノミダニ予防…とたくさんの予防がありますが、感染してからの治療は非常に大変なので、予防がとっても重要です。
この記事では犬のフィラリア症について、
「いつから予防を始めればいいの?」
「飲み忘れたけどどうすればいいの?」
「人や猫にもうつるの?」
など、よくある疑問を分かりやすく解決いたします。
フィラリア症について、疑問や不安がある飼い主様は、ぜひ読んでみてください!
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目次
フィラリア症とは?
フィラリア症とは「犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)」ともいい、蚊が媒介して犬に慢性的な心臓・呼吸器障害を引き起こす病気です。
犬を飼っている方ならおそらく聞いたことがある病名だと思われますが、それほど重要な病気なのです。
このフィラリア症は、かかると命に関わることもある怖い病気ですが、幸い予防することで100%発症が抑えられます。
最近では都市部においては、フィラリア症の予防がしっかりなされているため、フィラリア症ににかかる犬を見かけなくなりました。
ただ、田舎など自然が多い地域では、
- 予防があまり行われていないこと
- 外飼いの犬が多くいること
- 池や沼など蚊が繁殖できる場所が多いこと
- 下水が整備されていない場所があること
などから、まだまだよくある病気であり注意が必要です。
フィラリアのライフサイクル(生活環)
フィラリアという寄生虫は、蚊と犬の間でぐるぐる回って生活をしています。
フィラリアを持っている蚊に犬が刺されると、フィラリアが犬の体内に移動します。
犬に侵入したフィラリアは、蚊が刺した部位の近く(皮膚の下や筋肉)で2,3か月間生活をしています。
その後、血流に乗って、皮膚の下や筋肉から肺動脈や心臓に向かってにょろにょろと移動を開始します。
肺動脈や心臓に到達したフィラリアはおよそ半年で大人になり、子供のフィラリア(ミクロフィラリア)をたくさん生むようになります。
生まれた子供のフィラリアは血液によって犬の全身に移動し、その犬を蚊が刺すことで、蚊にフィラリアがうつる…
といったライフサイクルを送っています。
こうやって蚊と犬の間をぐるぐる回ってフィラリアは生活をしています。
感染するとどんな症状が出るのか?
上でお伝えした通り、感染してもしばらくの間は皮膚の下や筋肉にいるので、症状が出ません。
ただ、その間に予防薬を飲んでいないと、フィラリアがどんどん成長してしまい(しかも大量に!)、肺動脈や心臓に移動して症状が出てしまいます。
症状とは、
- 咳が出る
- 呼吸が苦しくなる(呼吸困難)
- 散歩が嫌いになる(運動不耐性)
- 貧血でふらふらする
- 血色素尿
- 腹水が出る(お腹がたぽたぽ)
などがあり、「フィラリアが心臓に寄生する」ということより何となくイメージがつくかもしれません。
※少量が寄生している場合には症状は出ませんが、たくさん寄生すると上記のような症状が出ます。
最近では、多くの動物病院がフィラリアの検査をしてから薬を処方するので、症状が出て発見されるということはほぼありません。
ただ、薬を飲んでない子や野犬などでは、症状が出てから発見されることもしばしばあります。
症状が出た場合には、治療が難しいだけでなく、例え治療がうまくいったとしても心臓に不可逆的な(治らない)病変を形成してしまいます。
そのため、感染していなければ本来はならないであろう心臓の病気にかかってしまい、苦しくつらい最期を送るようになってしまいます。
フィラリアの治療薬はない
フィラリア症の治療薬(成虫を倒す薬;メラルソミン)は2021年5月時点では、国内では販売中止となってます。
昔は、フィラリアに感染する犬がたくさんいましたので、犬の首の血管から心臓に向けて特殊な器具(フレキシブルアリゲーター鉗子)を挿入して、心臓に寄生するフィラリアを引きずり出す手術を行っていました。
ただ、現在は、その器具も販売停止となっており、熟練した腕を持つ!?獣医師も減っているのが現状です。
そのため、成虫が寄生していた場合には、無症状もしくは軽度の症状の場合には、月1回の標準的な予防(イベルメクチン製剤)を通年行い、成虫の寿命が来るのを待ちます。
その際に、顕微鏡にてフィラリアの子供(ミクロフィラリア)が血液中に多数みられる場合は、アナフィラキシーショックのリスク回避のためプレドニゾロンの前投与を行います。
大量に寄生していたり、重度の症状を示す場合には、残念ながら…ということもあります。
フィラリア症は予防が大事!
そんなにも怖いフィラリア症ですが、幸い、
予防薬をしっかり投与することで100%発症が防げる病気です。
ちなみに、フィラリア症の予防薬は「予防薬」という名前ですが、本当は「駆虫薬(虫を殺す薬)」です。
フィラリア症の予防薬は、皮膚の下や筋肉にいるフィラリアを倒す薬です。
蚊が出現する4月頃から10月ごろまでは、蚊に刺されるタイミングは大いにあり、その蚊がフィラリアを持っているかいないかは分からないですよね。
そのため、万が一フィラリアを持っている蚊に刺された場合に、感染が成立してしまいます。
ただ、ここで効果を発揮するのが「予防薬という名の駆虫薬」です!
先にもお伝えした通り、フィラリアは皮膚の下や筋肉には2,3か月間いるので、その間に薬を投与することで倒すことができます。
予防はいつからすればいいの?
フィラリア症の予防は、蚊が出現しだす4月頃から11月頃まで、1か月に1回(注射薬なら1年に1回)行うようになります。
4月ぴったりから飲ませる必要はなく、多少のズレは問題ありません。
なぜなら、フィラリア予防薬は、蚊が出現してから2か月以内に飲ませれば大丈夫だからです。
虫よけスプレーや虫よけ首輪などで予防できる?
虫よけスプレーや虫よけ首輪などで蚊を寄せ付けないこと自体は意味があると思います。
ただ、虫よけスプレーなどでは100%蚊に刺されないということは不可能です。
もし完全に予防できていたら、誰もかゆい思いをしなくて済みますもんね…
そのため、他の予防をしていたとしても、フィラリア症の予防薬は必ず投与するようにしましょう。
飲み忘れた場合はどうすればいい?
「飲ませ忘れちゃった!」
「具合が悪くて、いつもあげる日よりずれちゃった…」
「部屋のすみに薬が落ちていました…」
など、飲み忘れ(飲み損じ)はよくあります。
慌てて飲ませなくても大丈夫なこともあるので、こちらを参考にしてください。▼
薬を飲んだあと吐いちゃったら…?
薬を飲ませたあとに吐いてしまうということはよくあります。
また投与したほうがいいのか?それとも来月でいいのか?は迷ってしまいますよね…
例えば、ネクスガードやネクスガードスペクトラでは、
本剤投与の2時間以内に嘔吐して本剤を完全に排出した場合は、本剤を再投与すること。
参考:ネクスガード公式サイト ネクスガードスペクトラ
とあるので、飲んでから2時間以内で形がしっかりのこっている場合には、再投与した方がよさそうですね。
人や猫にもフィラリアは感染するの?
答えはYESです。
ただ、フィラリアは「犬糸状虫」というくらいですから、本来は犬の病気です。
ただ、まれにフィラリアを持っている蚊に刺されて、人や猫にうつってしまうこともあります。
最近では、猫のフィラリア症の予防に力を入れる動物病院も増えてきています。
猫に感染してしまった場合には、重篤な症状が現れることも多く、突然死をする可能性もあるからです。
猫においてもフィラリアに対して抵抗力を持つので、感染率は低いです。
そのため、猫は絶対予防した方がいい!というわけではなく推奨、人への感染は犬のフィラリア予防を徹底することで対応しましょう。
【まとめ】犬のフィラリア症を徹底解説!
犬のフィラリア症は、フィラリアという寄生虫が蚊を介して犬に侵入し、慢性的な心臓・呼吸器障害を引き起こす病気です。
最近では、都市部においては、飼い主様がしっかり予防されているため、感染している犬をみかける機会は減りました。
ただ、自然が残る地域では、蚊が多いことや予防意識が低いこともあり、まだまだよくある病気です。
発見が遅れると命に関わることもある病気ですが、しっかり予防をすることで100%発症を防げる病気です。
今一度、愛犬のフィラリア予防についてよく考えてみましょう!