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猫がうるさく鳴く【過剰発声】の5つの理由や対策を獣医師が解説!

猫がうるさく鳴く【過剰発声】の5つの理由や対策を獣医師が解説

「避妊手術を受けたのに、愛猫がすごく鳴きます…」

「鳴き声が過剰で寝られません…」

「愛猫が鳴きやむいい方法はありませんか?」

など、猫が過剰に鳴いてしまい、「原因はなんだろう?」「どうすれば鳴きやむのだろう?」と悩まれる飼い主様は多いです。

トラまりも
トラまりも
ギャオギャオずっと鳴いていると、飼い主様も疲れちゃうよね…。朝方だと寝不足になるし…

■本記事の内容

  • 猫が過剰に鳴く5つの理由
  • おとなしくなる対策

愛猫がずっと鳴いていて困っている飼い主様は、ぜひ読んでみてください。

猫が過剰に(異常に)鳴く5つの理由【過剰発声】

猫が過剰に(異常に)鳴く5つの理由【過剰発声】

猫が不必要に繰り返し鳴く状態を『過剰発声』といいます。

そもそも、猫はコミュニケーションツールの一つとして鳴いており、その声には様々な意味があります。

猫が鳴く理由
  • 甘えている、何かを要求している(ニャオ~ン、ニャーン)
  • 威嚇している(シャー、カッ)
  • 発情期(ワオワオ、アオ~ン)
  • 獲物を狙っている(カカカッ)

他にも、そのネコちゃん特有の鳴くシーンや鳴き声があると思います。

トラまりも
トラまりも
うちのネコちゃんは、あせったシーンや不満があるシーンで『ナウナウ~』と鳴きます。
オリエンタル種(シャム猫など)のように鳴きやすい品種もあります。

当然、通常でも鳴きますが、過剰になってしまうときには、以下の様な理由があります。

それぞれ分けて説明していきますね。

①発情~異性とのコミュニケーション

猫は発情期になるとギャオギャオ、ワオワオと独特の大きな声で鳴く動物です。

猫の発情は、生後6か月齢~1歳齢ほどで始まります。

よく鳴くのは発情期のメス猫であり、オス猫はその声やフェロモンを感知して鳴きだします。

本来は年に1回、1~3月までの間に10日ほどの周期で発情兆候を示します。

ただし、室内飼いの場合には、照明がずっとついている環境で育っているがゆえ、他にも春先と秋口の年に2,3回発情を示します。

トラまりも
トラまりも
猫は『長日繁殖動物』といって、日が長い時期に発情を示す動物なんだ。妊娠期間は約2か月で、暖かい時期に出産や子育てをできるようになっているんだね。

発情期には、独特の声で鳴くだけでなく、以下の様な行動が見られます。

猫の発情兆候
  • いろんなところでおしっこする
  • 甘えん坊になる
  • 性格が強くなる
  • 体をこすりつけてくる、くねくねする
  • 外猫に異常に反応する
  • おっぱいや陰部がふっくらする(メス)
  • 尾を小刻みに振りながらおしっこをする(オス)

また、なかには、避妊手術を受けたのに発情兆候を示すことがあります。

その場合、卵巣がおなかの中に残っている可能性もあり、精査が必要です。▼

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②かまってほしくて甘える~ごはん!遊んで!

怒ったり、甘えたり…猫は鳴くことで感情を相手に伝えています。

同居猫に対してだけでなく、人に対しても鳴いてアピールをします。

「遊ぼうよ!」

「ごはんちょうだい!」

など、飼い主様にうったえるように鳴くことが多いです。

ただし、これも過剰になると、飼い主様を困らせてしまうことがあります。

例えば、朝方のごはんのおねだり。

猫は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)といって、薄暗い時間帯に活動的になる動物なので、早朝4時くらいからミャオミャオ始まるときがあります。

飼い主様にかまってほしくて、起こしにくる場合もあります。

 

ちなみに、外猫については、あまり鳴かないイメージがあるかと思いますが、かわりににおいや行動でコミュニケーションをとっています。

トラまりも
トラまりも
鳴くと敵に居場所がバレちゃうからね。

ただし、子猫と母猫間ではよく鳴き合い、コミュニケーションをとります。

③さみしい…分離不安

飼い主様の不在時、もしくは不在を感知して鳴き続けることがあります。

これは『分離不安』といい、猫が愛着を感じている人と離れる際に生じる反応です。

猫の分離不安は、犬に比べて少ないです。

分離不安の症状は、過剰発声の他にも、粗相や過剰な毛づくろい、物を壊してしまうことなどがあります。

ある程度の時間がたてば鳴きやむことが多いですが、留守中ずっと鳴き続けるときには対策が必要です。

④ストレスがある

人にとってはストレスに感じないことであっても、猫にとっては大いにストレスな場合があります。

例えば、

  • 引っ越し
  • 家具の配置がえ
  • 新しい家族が増えた
  • 同居動物、家族の死
  • 地震や近くの工事

などがあります。

引っ越ししてからすぐに症状がでず、しばらくたってから出ることもあります。

また、保護猫(もともと外猫だった)の場合は、外に出られないストレスのため、ずっと鳴いていることがよくあります。

⑤病気がある

おしっこや便が出ないときには、何度もトイレに行ってワオワオ、ギャーギャー鳴くことがあります。

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また、甲状腺機能亢進症というホルモンの病気の場合には、活動的になり、よく鳴くようになります。

他にも食欲が過剰だったり、多飲多尿の症状などが見られます。▼

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高齢猫で突然鳴き始めたり、粗相があったり…の場合には、高齢性の認知機能障害の可能性もあります。

認知機能不全症候群の症状
  • 過剰に鳴く
  • 昼夜逆転
  • ものにぶつかる、角で動けなくなる
  • トイレの位置を間違える
  • ウロウロと無意味に歩き回る
  • ずっと寝ている

猫の知覚過敏症候群(FHS)という疾患においても、過剰な発声がみられることがあります。

高血圧やどこかに痛み…など様々な病気の一症状として鳴くことがあるので、原因が分からない場合には動物病院を受診するようにしましょう。

うるさく鳴き続ける場合の対策

うるさく鳴き続ける場合の対策

猫は何かをうったえてるために鳴いていることが多いです。

そのため鳴いている原因をしっかりチェックし、対策をする必要があります。

例えば、

  • 避妊手術をしていない場合には、手術を検討
  • 甲状腺の病気がある場合には、薬の投与
  • お腹が空いているときには、食事の時間の調整
  • 知覚過敏症候群なら、抗てんかん薬や抗炎症薬、抗生物質、免疫抑制薬など複合投与

といったようなことです。

動物病院に行く際には、可能な限りどんな状況で鳴いているのかのチェックと、鳴いている状況の動画があるといいかもしれません。

診断が困難な場合には、動物の行動学専門の動物病院の受診も方法の一つです。

病気ではない場合には、以下のようにして対策してあげるといいです。

①たくさん遊ぶ!

単純で簡単なことですが、たくさん遊んであげることはとっても大切です。

室内飼いの猫は、刺激が少ないことが問題行動につながる場合が多いです。

猫じゃらしなどで一緒に遊ぶだけでなく、知育玩具も使用して、頭を使った遊びをするといいですね。

日中に仕事などで留守の場合には、キャットタワーやキャットウォークを設置するのもいいでしょう。

トラまりも
トラまりも
ちなみにうちは、隠れ家や爪とぎ・ポンポンがついた、みためもかわいいキャットタワーを使っています!▼
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また、帰ってきてから疲れて遊べない場合には、自動で動くおもちゃなどを与えておくのも方法の一つです。

 

トラまりも
トラまりも
食べられないように注意してね!

②寝る時間の修正

夜や朝方に鳴く場合には、寝る時間の修正も必要です。

昼間は人も活動しているため気にならない鳴き声であったとしても、静かな夜になると気になってしまいます。

夜に寝てもらうためには、昼間に活動する必要があり、①とあわせて行うようにしましょう。

 

また、夕ご飯の時間を遅くしたり、量を増やしたりすると、寝てくれる場合が多いです。

早朝の食事の催促の場合には、自動給餌器などを用いて対応するといいです。

甘え鳴きをする場合には、一緒に寝るのも方法の一つです。

③ある程度無視

飼い主の関心を求めるために鳴く場合には、ある程度無視することも大切です。

トラまりも
トラまりも
鳴くとごはんがもらえる→くれないともっと鳴く→飼い主様がぐっと我慢するとなおる…ってかんじ。

ただし、上記の様な病気で鳴いていることもあるので、改善がない場合には動物病院に相談をしましょう。

④その他の方法

もともと外猫だった子の場合には、リードをつけて庭やベランダに出してあげる、ケージに入れて出してあげると落ち着く場合もあります。

ただし、癖になってしまうこと、逃げてしまう可能性もゼロではないことから、あまり推奨はできません。

もし外を見せたいのなら、しっかり格子をつけたり、テープで網戸を補強して、風を感じる程度にしてあげるといいです。

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【まとめ】猫の過剰発声~5つの理由や対策を獣医師が解説!

猫が異常に鳴くときは、何かをうったえている可能性があります。

過剰発声の原因として、

  1. 発情~異性とのコミュニケーション
  2. かまってほしくて甘える~ごはん!遊んで!
  3. さみしい…分離不安
  4. ストレスがある
  5. 病気がある

などが考えられます。

飼い主様にもストレスとなってしまうため、早めに原因をみつけてしっかり対策をするようにしましょう。

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【参考資料】

  • 辻本元,小山秀一,大草潔,中村篤史,猫の治療ガイド2020,EDWARD Press,p855-857
  • 藤井仁美,猫における問題行動,動物臨床医学26(3)101-104,2017
  • Amengual Batle P, Rusbridge C, Nuttall T, Heath S, Marioni-Henry K. Feline hyperaesthesia syndrome with self-trauma to the tail: retrospective study of seven cases and proposal for an integrated multidisciplinary diagnostic approach. J Feline Med Surg. 2019 Feb;21(2):178-185. doi: 10.1177/1098612X18764246. Epub 2018 Mar 29. PMID: 29595359.
  • 今泉忠明,猫脳がわかる!,文春新書,2019