「猫の健康診断で尿管結石があると言われました…」
「なんとなく元気がないと思っていたら、尿管結石でした…」
「尿管結石ってどうやって治療するの?」
など猫の尿管結石について、不安や疑問を持っている飼い主様は多くいらっしゃいます。
この記事では、猫の尿管結石について、
- 原因や症状はどんな?
- 手術するの?薬では治らないの?
- どんな予後なの?
などを解説するとともに、尿管結石になりづらくする方法を解説いたします。
目次
猫の尿管結石の原因
猫の尿管結石とは、腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石ができてしまう病気です。▼
尿管結石の原因は、
- 遺伝や体質
- 食事管理
- 飲水量
- 肥満
などが複雑に絡み合っています。
尿管結石の種類
猫の尿路結石の種類は、
- ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石
- シュウ酸カルシウム結石
- 尿酸結石
- シスチン結石
などたくさんありますが、猫の尿管結石ではシュウ酸カルシウムが98%以上を占めます。
結石の種類によっては、食事療法などで石を溶かすことができますが、シュウ酸カルシウムの場合はどう頑張っても溶かすことができません。
また、猫の尿管内径は0.4mm程度と非常に細いので、簡単に結石などが詰まってしまいます。
尿管結石の好発品種
尿管結石の好発品種は、
- スコティッシュフォールド
- マンチカン
- アメリカンショートヘア
- ロシアンブルー
などと言われていますが、雑種でもよく見かけることがあります。
猫の尿管結石の症状は不定
猫の尿管結石の症状は、
- 元気や食欲の低下
- 嘔吐や下痢
- 脱水
- 腹痛や腰痛
- 尿が出ない
など様々ありますが、突然ぐったりして発見されることもあります。
腎臓、尿管は左右に2つありますが、
- 片方の腎臓がすでに機能が落ちている場合
- 両方の尿管閉塞が同時に起きた場合
などでは、尿管が詰まることで一気に「急性腎不全」となってしまいます。
猫の尿管結石の診断はエコー検査で行う
猫の尿管結石(尿管閉塞)の診断は、エコー検査にて拡張した腎盂や尿管を描出することで行います。
猫の尿管結石の治療は内科療法or外科手術
猫の尿管結石の治療法は、点滴などの内科療法と結石を摘出する外科手術とがあります。
内科療法
内科療法では、尿管閉塞によって生じた臨床症状(脱水、高カリウム血症、高窒素血症など)を是正するために点滴などを行います。
外科手術
尿管結石の外科手術には、
- 切開して結石を取り出す
- 尿管ステント(尿管内に管を入れる)
- 尿管新吻合術(部分的に尿管を切除し、断端をくっつける)
- SABシステム
の4つがあり、結石の個数や閉塞部位などにより選択します。
最新の尿管結石の治療法「SABシステム」について詳しく解説した記事はコチラを参考にしてください▼
猫の尿管結石の術後の注意点
尿管結石(尿管閉塞)の手術後は、慢性腎臓病へと移行しやすいため、これの治療を行うことも重要です。
猫の慢性腎臓病(腎不全)については、コチラの記事も参考にしてください▼
また、
- 飲水量の管理
- 食事管理
も非常に大切です。
飲水量の管理
水を飲むことで尿は薄くなるので、結石ができづらく、また流れやすくなります。
ただ、猫はあまり水を飲まない動物なので、なかなか飲ませることは難しいです。
猫への水の飲ませ方をたくさん紹介している記事もあるので参考にしてください▼
食事管理
尿管結石の98%の原因であるシュウ酸カルシウムは、残念ならが食事療法で溶かすことができない結石です。
そのため、
- ウエットフードにする(水分量が多いため)
- シュウ酸が少ない食事(腎臓病用療法食がよい)
- クエン酸カリウムの投与
などを行い十分な経過観察を行います。
おすすめの療法食はコチラの記事を参考にしてください▼
【まとめ】猫の尿管結石は早期発見・早期治療
猫の尿管結石の症状は、ある日突然生じることがあります。
定期的に健康診断を受けていれば、尿の状態や石の有無などが確認できるので、万が一に備えることができます。