「子犬の予防接種っていつするんだろう?」
「子犬の予防接種って何があるの?」
「狂犬病ワクチンと混合ワクチンがあるって聞いたけど…」
など、子犬を飼ったばかりのときは、どんなワクチンをいつ打てばいいのか分からないですよね。
この記事では、
- 子犬の予防接種にはどんなものがあるのか
- どのタイミングで打てばいいのか
- 6種とか8種とかあるけど、費用はどれくらいか
- 散歩は予防接種してからどれくらいでOKか
など「子犬の予防接種」についてのあらゆる疑問を、東京で動物病院を運営している獣医師トラまりもが、分かりやすく解説いたします。
目次
そもそも子犬の予防接種って何?
予防接種とは、ワクチンをまだその病気に感染したことがない子犬の体内に入れて、感染しないように免疫力を高めることです。
人間も子供の時に、いろーんなワクチンを打ったと思います。
犬も同じように、子犬の時にはワクチンを打つ必要があります。
赤ちゃんの時は、「抗体」という体を守る武器をお母さんからもらっていますが、その効力が切れてくると、自分自身で抗体を作らなくてははいけません。
そのために、ワクチンを打ってあえて感染をさせ、自分の体の中で武器を作るようにします。
武器(抗体)があれば、病原体が体に入っても、やっつけることができます。
子犬の予防接種には「狂犬病予防接種」と「混合ワクチン接種」がある
子犬の予防接種には、
- 義務で行うもの(狂犬病予防接種)
- 飼い主の任意で行うもの(混合ワクチン接種)
があります。
義務で行う「狂犬病予防接種」
狂犬病予防接種は、法律で年一回の接種が義務付けられています。
2021年6月現在、狂犬病は日本にはない病気ですが、海外には普通にある病気です。
狂犬病ウイルスを持っている犬が、他の動物を噛むことで、唾液を通して感染します。
人にも感染する病気で、発症するとほぼ100%死に至るすごく怖い病気です。
人では感染しても、発症前ならワクチンを複数回打つことで、発症を防ぐことができます。
なぜ日本にない病気なのに狂犬病ワクチンが義務なのか、それは、
「外国では狂犬病は普通によくある病気で、毎年何万人も亡くなる怖い病気だから」です。
日本への狂犬病の侵入リスクはゼロではないので、
犬を飼っている人は責務として、「犬の登録」と「年1回の狂犬病の予防注射」は必ず行うようにしましょう。
【犬の登録】
犬を新しく迎え入れた飼い主様は、「犬を飼いましたよ!」と、飼ってから30日以内に最寄りの市町村に届け出をしないといけないのですが、その手続きをするときに「狂犬病予防注射済み証明書」が必要になります。
動物病院で証明書をもらって、手続きに行きましょう。
任意で行う「混合ワクチン接種」
任意で打つワクチンもあります。
打っていないと、特に子犬のうちは亡くなってしまう事もあるので、ほとんどの飼い主様が接種させています。
任意のワクチンで予防できる犬の病気は、
- 犬ジステンパー
- 犬アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
- 犬アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬コロナウイルス感染症
- 犬パラインフルエンザ
- 犬レプトスピラ病各種
があります。
この任意のワクチンを、「混合ワクチン」と言ったりもします。
【単体ワクチン】
1種ずつのワクチンもあります。
単体ワクチンには、パルボウイルス感染症と犬レプトスピラ感染症のワクチンがあって、生活環境や抗体価、動物病院でのやり方の違いなどで使用することもあります。
子犬の予防接種のスケジュールって?
大体の子犬が、ペットショップにいる時点で、1回目(場合によっては2回目も)のワクチンを打っています。
最後に打ったワクチンから1か月後に、2回目(もしくは3回目)のワクチンを打つようになります。
↑この2回目(もしくは3回目)のワクチンは動物病院で打つようになります。
1回目のワクチンが、1か月齢や1.5か月齢位の早い時期に打つペットショップもあります。
そのほうが、早く売れるからです。
その場合は、その1か月後、さらにその1か月後の計3回打つことになります。
狂犬病ワクチンと混合ワクチンのどちらを先に打つかは、動物病院によって異なります。
どのタイミングで予防接種に行けばいいの?
初めて犬を飼うと、よくわからないことはめちゃくちゃ多いです。
どうやって飼育すればいいのかなど、ネットで調べてもまるで分らない…
おうちに来て数日たったら(最初の週末にでも)、とりあえず地元の動物病院に連れて行くことをおすすめします。
子犬の予防接種の時に、持っていくものってあるの?
子犬を飼って最初のワクチン(狂犬病予防注射でも混合ワクチンでも)の時は、手ぶら行くことが多いです。
翌年からは、
- 狂犬病ワクチン→春ごろに市から「打ってください」というハガキが来る
- 混合ワクチン→ワクチンを打ってから1年後に、動物病院から「打ってください」というはがきが来る(動物病院によってははがきを出さないところもあります)
ので、それをもって病院に伺ってください。
不安な方は、動物病院に確かめてみてくださいね。
犬の混合ワクチンには何種があるの?
混合ワクチン注射は、6種、8種、9種などいろいろありますが、動物病院によって使用しているワクチンは異なります。
「5か6種の混合ワクチン」と「8か9種の混合ワクチン」の2種類を使用している動物病院が多いかなと思われます。
【5種混合ワクチン】
- 犬ジステンパー
- 犬アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
- 犬アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬パラインフルエンザ
6種混合ワクチンは、上記5種に「犬コロナウイルス感染症」が加わったものです。
コロナウイルスは単独感染では、たいして重病にはならないですが、パルボウイルスと重感染すると、死亡率が高くなることがあります。
6種混合ワクチンに、犬レプトスピラ感染症各種(コペンハーゲニー型、カニコーラ型、ヘブドマディス型など)が加えられたものが、8種や9種の混合ワクチンです。
レプトスピラ感染症は、人獣共通感染症(人にもうつる可能性がある病気)として重要です。
感染した犬の尿などを、クンクンするとうつることがあるので、散歩によく行く子はレプトスピラ感染症の入ったワクチンを打つことをおすすめします。
子犬の混合ワクチンは、何種を打つといいの?
ライフスタイルによって変えるといいです。
5種や6種の混合ワクチンは、
- 子犬
- 室内飼いでほぼ外に出ない
- 他の犬とあまり接さない
- 基礎疾患や病気で治療中
- 高齢
な場合に打つといいですね。
7種以上の混合ワクチンは、
- 散歩に外に出る
- 電柱のにおいをよくかぐ
- レジャーなどによく行く
- 家庭に子供や高齢者がいる
という場合に打つといいかもしれません。
とりあえず6種を打っておいて、ライフスタイルが変わったら、追加で単体ワクチンを打つこともできます。
犬の予防接種は毎年行うの?
狂犬病ワクチンは、毎年の接種が義務です。なので、毎年打ってください。
ワクチンは接種してから時間が経つと、その効力が下がってきます。
そのため、混合ワクチンも毎年の追加接種が推奨されます。
また、ドックサロンやペットホテルなどでは、1年以内のワクチン接種が義務になっているところも多いので、そのためにも打っておいた方がいいと思われます。
動物病院によっては、2,3年に1回のペースでワクチンを打っているところもあります。
体に抗体があるかどうか「抗体価」を調べて、抗体があれば打たないというふうにやっている動物病院もあります。
予防接種を打つまで、散歩はNG!
ペットショップから連れて帰ってきて、「すぐに散歩デビュー!」というわけにはいきません。
おうちに慣れるまで、室内でしっかり育てて、動物病院で2回目もしくは3回目の予防接種が終わってから行くようにしましょう。
動物病院で予防接種をしたら翌日からお散歩OKってわけではないです。
ワクチンが体になじむまで(体の中で抗体が作られるまで)1週間くらいかかるので、ワクチンを打ってから1週間後以降で行くようにしましょう。
狂犬病ワクチンがまだの場合でも、他の犬と触れ合わなければお散歩に行ってもいいです。
狂犬病は日本にはない病気なので、噛まれてしまっても狂犬病になることはないです。(日本に狂犬病の犬がいたら、日本中の大問題です!)
ただ、狂犬病ワクチンを打ってないと、他の犬を間違って噛んでしまった場合や、逃げてしまったときにトラブルになります。
子犬でまだ狂犬病ワクチンを打ってない場合は、他の犬と触れ合ってはいけません。
また、予防接種をしていないと、外に出ちゃいけないわけではありません。
- 抱っこして外に連れ出したり
- 電車や車の音を聞かせたり
- いろんな人に会ったり
など、
犬に触れ合わなければ+あまりに疲れ果てさせなければ
小さいうちにどんどんいろんな経験をさせたほうが、性格が穏やかになる子が多いです。
子犬の予防接種の費用は動物病院により異なる
予防接種の費用は、動物病院ごとに異なるので確認してみてください。
おおよそ、
- 狂犬病ワクチン…3000円前後
- 混合ワクチン(何種かにもよります)…5000~10000円程度
のところが多いです。
子犬の予防接種の副作用とは?
ワクチンを注射すると、吐いてしまったり、ぐったりしたりと副作用が出ることもあります。
ワクチンの副作用ってどんな症状が出るのか、その対処法なども含めた記事はコチラを参考にしてください▼
予防接種をしてからどれくらいでシャンプーしていいの?
サロンなどでのシャンプーは、「ワクチン接種から1週間以上経っていないとお断り」のところが多いです。
子犬の場合は、ワクチンプログラムが終わってからシャンプーやカットをする方が無難です。
またトイプードルなどは、ワクチンが全部終わるまでトリミングできないとなると、ぼさぼさになってしまうので、顔周りだけドライカットしてもらうのもいいかもしれません。
成犬では、ワクチンの前にシャンプーやカットを済ませておいた方が楽ですね。
【まとめ】子犬の予防接種
正直、子犬の予防接種プログラムは動物病院ごとに千差万別です。
なので、とりあえず子犬を飼って数日したら、動物病院に行ってみるといいです。
獣医さんが今後の流れを教えてくれるはずです。
「狂犬病ワクチンは義務なので毎年打つ、混合ワクチンは年に1回打つ」
と覚えておけば、間違いはないでしょう!