犬の病気と予防

【犬の膝蓋骨脱臼】原因や症状、治療法や費用を獣医師が徹底解説!

【犬の膝蓋骨脱臼】原因や症状、治療法や費用を獣医師が徹底解説!

「ソファーから飛び降りたら、足を挙げちゃっています…」

「後ろ足がピーンとなっています」

「突然後ろ足をびっこしています」

などの症状の時には、犬の膝蓋骨脱臼の可能性があります。

トラまりも
トラまりも
チワワやトイプードルなどの小型犬が突然後ろ足を挙げたら、膝蓋骨脱臼の可能性が高いよ!

この記事では、犬の膝蓋骨脱臼について、

  • 原因や症状は?
  • どんな治療法があるの?
  • 予防するためには?

などを分かりやすく解説するとともに、日常生活で気をつけるポイントをお伝えいたします。

トラまりも
トラまりも
この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

犬の膝蓋骨脱臼は小型犬に多い

犬の膝蓋骨脱臼は小型犬に多い

膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨(膝のお皿)が正常の位置から外れてしまう、小型犬で多い病気です。

膝蓋骨脱臼は、「パテラ」と言われることもあります。

小型犬では、内包脱臼と言って膝蓋骨が内側に脱臼することが多いですが、大型犬では外方脱臼することが多いです。

犬の膝蓋骨脱臼の原因

好発品種があることから遺伝が関与していると言われていますが、明確な原因は分かっていません。

トラまりも
トラまりも
胎子期にはすでに脱臼しているとも言われているよ!

転倒したり、高いところから飛び降りたりしたときなどに生じる事もあります。

好発品種

膝蓋骨脱臼の好発品種は、

  • トイプードル
  • チワワ
  • ポメラニアン

などの小型犬で多く発生します。

トラまりも
トラまりも
ペットショップにいる時点で「この子は膝蓋骨脱臼のグレード○○です」と言われることは多いよ!

膝蓋骨脱臼の症状は跛行と痛み

膝蓋骨脱臼の症状は、

  • 跛行(びっこ)
  • 足を挙げている、浮かせている
  • 足をピーンとしている
  • スキップする
  • 足が曲がらない
  • 痛み(キャンと鳴いたりする)
  • 散歩が嫌いになる
  • 膝からポキポキ音が聞こえる

がなどがあります。

また、軽度の場合は症状をみせないこともあります。

トラまりも
トラまりも
うちのトイプードルもパテラあるけど、特に症状は示してないよ。

犬が突然びっこする原因は、膝蓋骨脱臼以外にもあります。

こちらの記事も参考にしてください▼

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犬の膝蓋骨脱臼の診断は触診とレントゲン検査

犬の膝蓋骨脱臼の診断は触診とレントゲン検査

膝蓋骨脱臼の診断は、歩き方や触診、レントゲン検査で容易にできます。

膝蓋骨脱臼のグレード

膝蓋骨脱臼の程度はグレード分けで判断していきます。

トラまりも
トラまりも
最近では「うちの子はグレード○○で~」といろいろ勉強されている飼い主様が多いです。

Singletonのグレード分類▼

グレード膝蓋骨整復
1用手にて脱臼
2膝の曲げ伸ばしなどで容易に脱臼
3常時脱臼
4常時脱臼不可

参考文献:Singleton WB.The surgical correction of stifle deformities in the dog.J Small Anim Pract.1969 Feb

一般的にグレードが上がるほど病態が進み、症状が重くなります。

グレード4まで進むと骨の変形がみられる事もあり、修復不能な状態になってしまう事もあります。

犬の膝蓋骨脱臼の治療は内科療法or外科手術

膝蓋骨脱臼があるからといって、みんながみんな手術するわけではありません。

基本的には内科療法で反応を見て、治らない場合(跛行や痛みなどの症状が強い場合や頻度が増加する場合)に手術を行います。

足の変形を伴う成長期の膝蓋骨脱臼の場合も手術を推奨します。
トラまりも
トラまりも
グレードで治療法を決めるのではなく、症状の有無で治療法を決めるよ!症状がなければ手術はしないよ!

内科療法:薬やサプリメント+環境改善

膝蓋骨脱臼の内科療法は、

  • 薬(鎮痛剤)やサプリメント
  • 安静(運動制限)
  • 減量(適正体重の維持)

などを行い、合わせて環境改善を行います。

使用する薬は主に鎮痛剤で、症状に合わせて1~2週間程度服用して経過を見ます。

またサプリメントには、アンチノールアースリアーマーなどがありますが、効果が出るまでには1か月程度かかります。

トラまりも
トラまりも
アンチノールはすごくいいサプリ。痛みが強いときによく使われて、効果が期待されているよ。主治医の先生と相談して使ってみてね!
【環境改善】
  • 滑らない床
  • ソファーへの飛び乗り降り禁止
  • 急旋回を避ける
トラまりも
トラまりも
足裏の毛を短く刈ってあげるってのも滑らないためには大切だよ!

犬の適正体重については、こちらの記事も参考にしてください▼

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外科手術【たくさんの術式を組み合わせる】

膝蓋骨脱臼は、様々な術式を組み合わせて治療することが多いです。

どの術式を組み合わせるかは、触診やレントゲン検査などを行い決定していきます。

以下に手術写真が出ますので、苦手な方はお戻りください。
【様々な術式】
  • 滑車溝形成術・滑車溝深化術:膝蓋骨が本来収まるべき溝を深くすることで、膝蓋骨が動きにくくする術式
  • 脛骨粗面転移術:膝蓋靭帯の付着部の骨を削って外側に転移することで、膝の伸展軸をまっすぐにする術式
  • 内側支帯および筋群の解放:膝蓋骨に付着する筋肉の緊張を緩和して、膝蓋骨が内方へ変位するのを防ぐ術式
  • 外側支帯の縫縮:縫合糸を用いて、外側の筋肉にテンションをかけ、筋肉の緩みをなくす術式
  • 大腿四頭筋群の分離および再配列
  • 関節包再建術
  • 大腿骨骨切り・矯正骨切り術

滑車溝形成術:膝蓋骨が収まる溝を作っている▼

外科手術【たくさんの術式を組み合わせる】

 

脛骨粗面転移術:膝蓋靭帯の付着部の骨を切って外側に転移する手術▼

外科手術【たくさんの術式を組み合わせる】

術後数日は頻回でアイシング(冷却)を行い、炎症を防止します。

また、浮腫を防ぐために圧迫包帯を行います。

トラまりも
トラまりも
リハビリは脱臼が安定したころ、およそ術後3週間程度くらいから行うよ。それまでは控えめに行うよ。

犬の膝蓋骨脱臼~よくある質問

犬の膝蓋骨脱臼~よくある質問

犬の膝蓋骨脱臼はよくある病気で、ネットで調べるといろいろ出てくるので、飼い主様も情報が混乱している場合があります。

トラまりも
トラまりも
分かりやすく答えていくよ!

Q:手で直した方がいいの?

自宅で脱臼しちゃったときに、手で直してあげた方がいいの?

トラまりも
トラまりも
直さなくてOK!自分で動いたり、足を伸ばしたりして戻すことができるよ!

それに手で戻したとしても、結局また外れます。

Q:サポーターはどうなの?

ネットでサポーター売ってるけど、使っていいの?

トラまりも
トラまりも
サポーターで脱臼を直すってことはできないよ!かえって悪くなることもあるから、自己判断で使わない方がいいよ。

Q:レーザーってどうなの?

膝蓋骨脱臼にレーザーを行う動物病院もあるみたいだけど、どうなの?

トラまりも
トラまりも
痛みや炎症は引くかもしれないけど、それによって膝蓋骨脱臼が治るってことはないよ!

Q:無治療だとどうなるの?

治療をしないで様子を見ていると、

  • 足の骨格が変形してしまう
  • 膝の靭帯(前十字靭帯)が損傷し、断裂しやすくなる
  • 軟骨が削れてしまい、強い痛みが生じる

といったことが起きる可能性があります。

トラまりも
トラまりも
痛がるときは鎮痛薬+しっかり安静、症状が強いときは手術をして経過をみるといいよ!

Q:手術を決めるタイミングって?

膝蓋骨脱臼って診断されたら手術するの?

トラまりも
トラまりも
手術をするタイミングは、内科療法で症状が改善されない場合だよ!症状がないのに手術を行うのはおすすめしません。

Q:再発ってよくあるの?

膝蓋骨脱臼って再発をするの?

トラまりも
トラまりも
これは手術をしている場合としていない場合に分けて説明するね。

手術をしている場合は滅多に再発をしませんが、グレードが高い場合には再発をすることもあります。

手術をしていない場合には、再発は非常に多いです。

鎮痛剤や安静にしても症状が改善しない場合は、外科手術を検討しましょう。

犬の膝蓋骨脱臼の手術費用と入院期間

犬の膝蓋骨脱臼の手術費用と入院期間

費用や入院期間は、病態や動物病院によってかなり変わりますので、術前に主治医の先生にご確認ください。

おおよそ250,000~500,000円程度で行っている動物病院が多いです。

また入院期間は3~7日程度の場合が多いですが、その後も定期的な通院が必要となります。

犬の膝蓋骨脱臼の予防法【日常生活で気をつけるポイント】

犬の膝蓋骨脱臼については遺伝要因で発症することが多いので、予防をするということは難しいです。

ただ、膝蓋骨脱臼による症状が出にくくするためには、

  • 体重を増やさない(膝への負担軽減)
  • 床を滑らないようにする
  • 足裏の毛を短くカットして滑りにくくする

というようにするといいでしょう。

うちのトイプードルもパテラがあるので、ジャンプとかよくする部分だけ滑らないシートを敷いてます▼

内科療法:薬やサプリメント+環境改善

【まとめ】犬の膝蓋骨脱臼

犬の膝蓋骨脱臼は、小型犬だとよくある病気です。

痛みや跛行などの症状があるときは、鎮痛剤+安静で様子をみましょう。

治りが悪いときや症状の頻度が増すときは、手術を行い脱臼を直す必要があります。

トラまりも
トラまりも
日頃から適正体重の維持と床を滑らないようにする対策してあげよう!

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トラまりも
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