「愛犬が血尿をしてます…」
「レンガ色っぽい尿をして、何度も吐いています…」
「最近、愛犬のおしっこの色が無色だけど病気かな?」
など、犬の尿の色は健康のバロメーターでもあり、いつもと違って変な色だとびっくりして不安になってしまいますよね。
この記事では、犬が変な色の尿をしたとき、
- 何が原因なのか?
- 急いで動物病院に行くべきなのか?
- どうすれば治るのか?
などを、獣医師トラまりもが分かりやすく解説いたします。
3分で読める記事なので、愛犬の尿の色が変…という場合には、慌てず読んでみてくださいね!
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目次
健康な犬の尿の色は「透明な淡い黄色」
正常な犬の尿の色は、
- 透明な淡い黄色
- 黄色
です。
食事の内容や健康状態によって、毎日尿の色や濃さは変わります。
一時的なものなのか?毎日変な色なのか?などを観察するようにしましょう。
犬の尿の色が変な理由【7つの色別に解説】
愛犬の尿の色がいつもと違うときはびっくりしてしまいますよね。
色別にどんなことが起きているのか?を解説いたします。
尿の色①赤色、赤褐色、薄いピンク(赤系のとき)
尿が赤くなる原因は、
- 赤血球(血液の成分のひとつ)が出ている←いわゆる血尿
- 壊れた赤血球や筋肉の赤い色素が出ている←血色素尿、筋色素尿
があります。
尿に赤血球が出ているときは血尿と言い、その原因は、
- 感染症(膀胱炎や尿道炎など)
- 尿路結石(膀胱、尿道、腎臓、尿管)
- 腫瘍
- 膣や陰茎、前立腺など生殖器の病気
- 血液凝固障害(DIC)
…などが考えられます。
一般的には、一時的な血尿のときは、膀胱炎や尿路結石であることが多いです。
一方で、壊れた赤血球や筋肉の赤い色素が出ているときは血色素尿や筋色素尿と言われ、その原因は、
- 血液中の赤血球が壊されている(ヘモグロビン尿、血色素尿)
- 筋肉が壊されている(ミオグロビン尿、筋色素尿)
ことが考えられます。
ヘモグロビン尿は、何らかの病気により血液がすごいスピードで壊されて(溶血)、肝臓での処理が追い付かなかった場合に生じます。
主な原因として、
- タマネギ中毒
- 免疫介在性溶血性貧血
- バベシア感染症
- ヘモプラズマ感染症
- フィラリア症の急性期
などがあります。
ミオグロビン尿は、激しい運動の後などにみられることがあります。
筋肉が障害を受けるとミオグロビンが大量に血中に出て、結果的に尿にも出るようになります。
- 激しい運動
- 挫傷(ざしょう;打撲)
- 筋炎
などでミオグロビン尿は生じます。
すごい緊張や興奮をしたときに、一過性にミオグロビン尿をする場合もあります。
尿の色②茶褐色、濃い黄色、オレンジ(尿が濃く感じるとき)
尿がすごく濃い…となるのは、
- ビタミン剤を飲んだり、注射した場合
- 濃縮尿
- ビリルビン尿
の可能性があります。
人でも、ビタミン剤を飲むと、尿が黄色くなることはありますよね。
犬もビタミン剤を処方されたり、点滴されたときに濃い黄色い尿が出ることがあります。
また、いつもにも増して濃いときは、脱水や発熱をしている可能性もあります。
ビリルビン尿とは、
- 肝臓や胆道に病気がある
- 血液が壊されている(溶血)
ときに出る、ビリルビンという色素が含まれた尿です。
【ビリルビン】
ビリルビンとは、壊れた(寿命の)赤血球中の「ヘモグロビン」という色素が処理されてできる黄色の色素です。
通常、ビリルビンは肝臓で処理され、便として排出されるので、尿中に出てくることはありません。
肝臓や胆道が病気になると、ビリルビンの処理が追い付かず、血液中にあふれかえってしまうので、尿中にも出てくるようになります。
また、ビリルビン尿は、肝臓や胆道の病気以外にも、ヘモグロビン尿と同様、血液が壊されているとき(溶血)にも生じます。
【溶血時は、ヘモグロビン尿とビリルビン尿のどっちがでるの?】
両方とも、血液が壊されることにより生じますね。
ヘモグロビン尿は、何らかの病気により血液がすごいスピードで壊されて、肝臓での処理が追い付かなかった場合に生じると説明しました。
この場合、尿潜血反応は陽性(+)です。
一方で、血液が壊されていても、肝臓で処理はされているけど、量があまりにも多いや排泄できない場合は、ビリルビン尿を生じます。
この場合、尿潜血反応は陰性(−)です。
尿の色③無色
水をたくさん飲んだ後には、尿が薄くなるというのは、皆様よく経験されると思います。
一時的なものなら正常ですが、薄い尿が続く場合は、
などの病気の可能性もあります。
また、尿路系の療法食を食べているときは尿が薄くなります。
尿路系のフードを食べている子の尿が薄くなる理由は、この記事を参考にしてください。▼
尿の色④緑色、黄緑混濁
尿の色⑤白色
また、乳び尿と言って、過剰に排泄された脂質成分によって白くなることもあります。
尿の色⑥青色
肝臓(インドシアニングリーン)や腎臓(インジゴカルミン)の検査薬で、緑や青の尿が出ることもあります。
尿の色⑦キラキラ光っている
犬の尿の色がキラキラ光っているときは、尿石症の可能性もあります。
尿石症は、膀胱炎や尿道閉塞の原因となります。
急に犬が何度もトイレに行く病気「膀胱炎」と「尿道閉塞」についての記事はこちらを参考にしてください。▼
犬の尿の色が変なときは、すぐに動物病院に行くべき?
まず、愛犬の状態はどうですか?
元気や食欲があり、いつもと変わらない場合は、しばらく様子をみてもいいかもしれません。
- 食欲がない…
- ぐったりしている…
- 何度も吐いたり、下痢をしている…
など、尿以外にも症状がある場合はすぐに動物病院にうかがいましょう。
また、ヘモグロビン尿やビリルビン尿(レンガ色、赤茶色っぽい色)をしているときも緊急性がある場合が多いので、すぐに動物病院に行きましょう。
元気や食欲があって、薄い尿や薄いピンク色などのときは様子をみてもいいことが多いですが、続く場合や不安な場合は主治医の先生に確認をするようにしましょう。
犬の尿の色が変なとき、どうすれば治るのか?
これはもう原因によります…すみません。
- 膀胱炎なら抗生剤を、
- 結石症なら療法食を、
- 肝臓の病気なら肝臓の治療を…
- 脱水なら補液を…
といったかんじです。
【まとめ】犬の尿の色が変な理由
犬の尿が、黄色~淡い黄色は正常です。
犬の尿の色がいつもと違う時は、
- 赤系色(膀胱炎、玉ねぎ中毒などたくさんの理由)
- オレンジ系色(脱水、肝臓の病気など)
- 無色(尿路系療法食、腎不全など)
- 緑色、黄緑混濁(細菌感染)
- 白色(細菌感染)
- 青色(検査の試薬)
- キラキラ光っている(尿石症)
の可能性があります。
尿は健康のバロメーターです!
「いつもと違うな…」と思ったときは、尿を持って動物病院に伺いましょう!