「愛犬が何度もトイレに行きます…」
「いつもと違うところでおしっこをします…」
「この症状って膀胱炎なのかな?」
などと、犬の膀胱炎についての症状や治療について、疑問や不安を抱いている飼い主様は多くいらっしゃいます。
先日以下のツイートをしました。▼
✅膀胱炎の症状
・何度もトイレに行く
・ちょっとしか出ない
・尿に血が混じる
・ずっと排尿ポーズをする
・痛くて鳴く子犬猫は頻尿、もともと頻尿の子もいる、おやつ欲しさに何度もトイレに行く場合もあり⚠️
愛犬も昼間は1時間に2回くらいおやつ欲しさにしますが、夜は8時間我慢できる😊 #犬 #猫— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) January 23, 2021
膀胱炎の症状
・何度もトイレに行く
・ちょっとしか出ない
・尿に血が混じる
・ずっと排尿ポーズをする
・痛くて鳴く子犬猫は頻尿、もともと頻尿の子もいる、おやつ欲しさに何度もトイレに行く場合もあり
愛犬も昼間は1時間に2回くらいおやつ欲しさにしますが、夜は8時間我慢できる
■本記事の内容
- 犬の膀胱炎の原因とは?
- 膀胱炎のよくある症状と治療法
- 膀胱炎の予防と再発をしない方法!
犬の膀胱炎は、(猫ほどではないですが)水を飲む量が減る冬場に頻発する病気です(特にメス犬!)。
愛犬が頻尿・血尿だったり、膀胱炎と診断された場合には是非読んでみてくださいね!
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目次
犬の膀胱炎はよくある病気~原因とは!?
犬の膀胱炎は、普段の診察でよく出会う病気の一つです。
犬の膀胱炎の原因は、
- 細菌感染
- 膀胱結石(結晶)
- ストレス
- 器質的な(解剖学的な)異常
などがあります。
一つずつ説明していきますね。
①細菌感染
一生涯において約14%の犬が細菌感染が原因の膀胱炎になると言われているほど、細菌による膀胱炎は多い病気です。
細菌感染が原因の膀胱炎は、陰部と肛門が近いことからメス犬の方がなりやすいです。
②尿路結石
膀胱にできる結石や結晶(結石になるまえの細かいつぶつぶ)が原因となり、膀胱炎になってしまう事も多いです。
代表的な犬の尿結石には、ストルバイトとシュウ酸カルシウムがあり、全結石の約9割を占めています。
犬の尿路結石は、
- 体質
- あまり水を飲まない
- 尿を我慢する
- 感染症
- 食事
- 肥満
- 他の病気に続発
などいろいろな原因が複雑に絡み合って発生します。
③ストレス
ストレスが原因で膀胱炎になることもあります。
具体的には、
- トイレが汚い、怖くて我慢している
- 屋外でしかトイレをできない
- トイレをすると嫌な思い出がある
などトイレに関することや、水を飲むことに何かしらのストレスがあって飲水量が低下しているなどがあります。
④器質的(解剖的)な異常
器質的(解剖的)な異常で膀胱炎になることもあります。
腫瘍などがその例で、慢性的な炎症によって膀胱炎を引き起こします。
犬の膀胱炎の症状は頻尿・血尿
犬の膀胱炎の症状はたくさんありますが、頻尿と血尿が最も多い症状です。
- 何度もトイレに行く(頻尿)
- ちょっとしか尿が出ない
- 尿に血が混じる(血尿)
- ずーっと排尿ポーズをしている
- 排尿時に痛くて鳴く
- いろんな場所でおしっこをしてしまう
- 臭いおしっこをする
膀胱炎になったことある方は分かりますよね。
今トイレに行ったのに、もう行きたい!だけど行くと出ない…
つらい症状で、犬もおんなじです。
膀胱炎に似たような症状が出る、「尿道閉塞」という別の病気もあります。
この病気の場合は緊急性があり、すぐに動物病院に行く必要があります。▼
【頻尿が実は病気の前兆だった!】
あるとき「愛犬が血尿なんです…」という稟告で来院された方がいました。
パッとエコーを当てると膀胱に何やら怪しい影が…
検査の結果、「移行上皮がん」という膀胱の腫瘍でした。
移行上皮癌は、進行してから発見されることも多く、基本的には膀胱摘出以外の治療法がない(場合によってはそれすらできない)病気です。
「最近頻尿だな…とは思ってましたが、元気だし様子を見ていました」と飼い主様はおっしゃっていました。
もし早期に検査をしていたら、何かが分かっていたのかもしれません。
犬の膀胱炎の検査方法
膀胱炎の検査の基本は尿検査です。
尿トラブルがあったら、まずは尿を持参して尿検査をしましょう。
- 尿検査(pHや比重、変な細胞が出ていないか、どんな抗生剤が効くか?など)
- 血液検査(場合によっては。全身の異常がないか?)
- レントゲン検査
- エコー検査(膀胱の内部がよく分かる!)
- 尿路造影検査
状況に応じて様々な検査を組み合わせて行います。
犬の膀胱炎の治療~薬とフード
犬の膀胱炎の治療は、原因に合わせて、
- 抗生剤や消炎剤、尿pHを変える薬
- サプリメント
- 食事療法
などで行います。
細菌感染が原因の膀胱炎の場合、3~5日間の投与期間で治ることが多いですが、中には長期間(7~21日間程度)で投与しないとよくならない場合もあります。
治りにくい場合には薬剤感受性試験(どんな薬が効くか?)の結果に基づいて、抗生物質を投与する必要があります。
尿石症がある場合には、抗生剤の投与(ストルバイト尿石症の場合)に合わせて、食事の変更を行って治療していきます。
ストルバイト結石は溶ける結石のため、食事療法メインで治療を行います。
シュウ酸カルシウムは溶けない結石なので、必要に応じて手術で治療します。
尿石症において「結石除去」はゴールではありません。
その後の再発防止が非常に重要で、結石の成分ごとに推奨されている食事療法や薬物療法を続けることが必要です。
犬の尿石症の食事については、こちらの記事を参考にしてください。▼
人間の薬はNG
飼い主様の中には、「家に薬があるから、少量飲ませてみてもいいかな?」と人間の薬を小さくして飲ませようとする方がいらっしゃいます。
絶対にやめてください!
確かに、動物病院で処方する薬のほとんどが人間用の薬を小さくしたものですが、動物病院では薬の量をきちんと計算して処方しています。
間違った量や種類の薬をあげると、全く効かないだけではなく、重大な副作用(場合によっては亡くなることもある)を生じる事もあります。
必ず動物病院で処方された薬をあげるようにしましょう。
膀胱炎にはクランベリー!?
クランベリーには、強い抗酸化作用と尿pHを正常化する作用があり、膀胱の健康を維持することができます。
PEクランベリーチュアブルは、クランベリーを使用した動物病院専用のサプリメントです。
あくまでサプリメントですが、泌尿器トラブルがある場合には使用してみてもいいと思われます。
犬の膀胱炎は繰り返すことが多い
膀胱炎を繰り返す犬は多いです…
理由として、
- 治りきっていないうちに治療を止めてしまった
- 抗生物質が合っていない、耐性菌がいる
- 何かしらの原因(基礎疾患)がある
などの可能性があります。
- 感染防御がうまくいかない病気(クッシング症候群、腎疾患、糖尿病、腫瘍など)がある
- 結石ができやすい病気(門脈シャント、上皮小体機能亢進症など)がある
- 尿路結石
- 前立腺疾患(未去勢のオス犬で特に多い!)
- 解剖学的異常(異所性尿管、憩室、外陰部の形成異常など)
- 免疫が落ちる薬(免疫抑制剤)を使用している
- 尿失禁
なかなか膀胱炎が治らないな…というときは、併発する疾患がないかを検査する必要があります。
また、「よくなった!」と思い、療法食を飼い主様の自己判断で途中でやめて再発…というパターンもよくあります。
犬の膀胱炎の予防!~今日から実践!
膀胱炎を完全に予防する!ってことは難しいですが、
- 水をよく飲ませる(おしっことして洗い流す!)
- 太らせない(太るとトイレに行くのが億劫…)
- メス犬ならば便をした後きれいに拭く(おしりと陰部が近いから)
- 室内・外のどっちでもおしっこができる!
- 何度もトイレ(散歩)に連れて行く
- 定期的な尿検査(早期発見!)
をすることで膀胱炎になりづらくなります。
とは言っても、犬に水を飲ませるのって難しいですよね…
犬への水の飲ませ方はこちらの記事を参考にしてくださいね!▼
【まとめ】繰り返すことの多い犬の膀胱炎~症状や治療法を解説
犬の膀胱炎は、再発することが多い病気です。
特に、飲水量の低下する冬場やメス犬に多く発生します。
血尿や頻尿が見られることが多く、不快感や痛みが伴う場合もあります。
原因に合わせて抗生剤や食事療法で対処しますが、必要に応じて更なる検査や手術をする場合もあります。
水を飲ませたり、太らせないことで予防をし、定期的な尿検査で早期発見をしましょう!