「愛猫の便の色が真っ黒です…」
「黒っぽい便をしたのですが、緊急性はありますか?」
「黒い便は異常なのですか?」
愛猫が黒い便をしたら、「大丈夫かな…」と不安になってしまいますよね。
先日、犬猫の便の状態について、以下のツイートをしました。▼
犬猫の便の状態チェックは大切です。
正常は黄~茶色、こげ茶色で、つかめる位の硬さです。
黒い便は胃腸で出血している可能性もあり、すぐの受診が必要なことが多いです。
肉やレバーを食べたり、薬用炭や鉄剤を服用しているときは正常でも黒くなります。
異変を感じたら便を持っての受診がスムーズ😊— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) September 11, 2021
犬猫の便の状態チェックは大切です。
正常は黄~茶色、こげ茶色で、つかめる位の硬さです。
黒い便は胃腸で出血している可能性もあり、すぐの受診が必要なことが多いです。
肉やレバーを食べたり、薬用炭や鉄剤を服用しているときは正常でも黒くなります。
異変を感じたら便を持っての受診がスムーズ
■本記事の内容
- 黒い便をする原因とは?
- 検査内容や診断方法
- 黒色便の治療法
真っ黒な便をしたときは、すぐに動物病院に連絡をしたほうがいいことが多いです。
愛猫の便が黒いかも…という場合には、あわてず読んでみてください。
目次
猫の黒色便(メレナ)とは?
愛猫の便が黒い色の場合には、胃や腸などの消化管から出血をしている可能性もあります。
この黒色の便は血便の一種で、黒色便(こくしょくべん)やメレナ、タール便(タールべん:コールタールに似ていることから)とも言われます。
みなさまご存じの通り、健康な猫の便の色は、黄色~茶色orこげ茶色です。
消化管内で出血が起きると、血液中に含まれるヘモグロビンが消化液と反応することによって、ヘモグロビンに含まれる鉄が酸化をします。
ヘモグロビンが酸化されるのにはある程度の時間がかかるため、便が黒色に変化する場合は、
- 口や鼻、のど
- 胃
- 十二指腸
- 小腸
などの『上部消化管からの出血』が疑われます。
そのため、黒い便が出たときは、基本的には異常であり、すぐに動物病院に連絡をした方がいいと思われます。
薬や食事の影響で黒い便が出ることもあります。
- 肉類やレバーを食べた
- 腎臓病や誤食などで薬用炭を飲んでいる
- 鉄剤を飲んでいる
- ビスマス剤(下痢止め)を飲んでいる
主治医の先生から「薬の影響で黒い便が出ますよ」と説明があった場合には、もちろん異常ではありません。
明かな赤い血が混じる血便については、こちらをご参照ください。▼
黒色便(メレナ)の原因とは?
黒色便を示すときは、上でお伝えした通り、上部消化管からの出血が考えられます。
出血の原因としては、
…などと、とてもたくさんの原因が考えられます。
黒色便が出たときの症状とは?
黒色便以外にどんな症状が出るのかは症例によって異なります。
- いつもと変わらず元気なとき
- 下痢や嘔吐をともなうとき
- ぐったりして元気がないとき
…など様々です。
ただ、元気でも異常である可能性はあるので、主治医の先生に確認をしてもらった方がいいです。
黒色便が出たときの検査と診断
黒い便が出たときには、便の検査は必須となります。
動物病院に行くときは、便を持って行った方がいいでしょう。
獣医師が便性状を把握できるのと、スムーズな検査が行えます。
また、飼い主様からの稟告も重要です。
「何か変な物を食べなかったか?」
「いつから症状が出ているのか?」
「元気食欲はあるのか?」
分かる範囲でしっかり獣医師に伝えましょう。
動物の状態や状況に応じて、
- 血液検査(貧血をしていないか?炎症の数値は?BUNや肝臓の数値は?)
- 血液凝固検査(血はしっかり固まるのか?)
- ホルモン検査
- 直腸検査
- レントゲン検査(全体像の把握、異物や腫瘍はないか?)
- エコー検査(おなか全体の様子、腫瘍はないか?膵臓や胆嚢の様子など)
などを行います。
場合によっては、麻酔をかけて内視鏡検査やCT検査を行うときもあります。
黒色便が出たときの治療法
症例によっては軽度で対症療法のみで完治するものから、亡くなってしまう重度の状態まであります。
治療法は、症例それぞれによって異なります。
一例として、
- 異物を食べた→催吐や内視鏡、手術による摘出
- 腫瘍や腸のねじれなど→手術
- 膵炎→点滴などの対症療法
- 感染症→細菌や寄生虫などに応じた抗生剤・駆虫薬
- 炎症性腸疾患→免疫抑制剤
といった感じです。
消炎剤や粘膜保護剤などを併用し、場合によっては輸血をすることもあります。
【まとめ】猫の黒色便(メレナ)~黒い便をする原因や症状、対処法
愛猫が黒い便をした場合には、なにかしらの異常がある可能性があります。
便を持って速やかに動物病院にうかがうようにしましょう。
状況に応じて、血液検査や画像検査をするようになります。
また、飼い主様の稟告も大事になります。
なにかいつもと変わったことがなかったか?を獣医師に伝えるようにしましょう。
日頃から愛猫の便の状態をしっかり観察し、変調があったらすぐに動物病院にうかがうようにしましょう!
【参考資料】
- Irma J Nobles ,Safdar Khan,Multiorgan dysfunction syndrome secondary to joint supplement overdosage in a dog,Can Vet J.2015 Apr;56(4):361-4.
- 血便が出る疾患を診る【前編】,CLINIC NOTE,No121,2015,Aug
- 血便が出る疾患を診る【後編】,CLINIC NOTE,No122,2015,Sep