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【猫の瞬膜とは?】目の白い膜は具合が悪いサイン!?【戻らない、赤いときの対処法】

【猫の瞬膜とは?】目の白い膜は具合が悪いサイン!?【戻らない、赤いときの対処法】

「愛猫の目から白い膜のようなものが出ています…」

「片目だけ、瞬膜が戻りません…」

「白い膜が出ている場合には、動物病院に行った方がいいですか?」

など、猫の目頭から『白い膜』が出ているときは、大丈夫かな?様子をみてもいいのかな?と不安になってしまいますよね。

トラまりも
トラまりも
『白い膜=瞬膜』は、正常でも異常でも出ることがあるので、その見極めが大切なんだ。

■本記事の内容

  • 猫の瞬膜とは?
  • 瞬膜が出る原因
  • 動物病院に行くタイミング

愛猫の目から白いものが見えている…という場合には、あわてず読んでみてください。

猫の瞬膜とは『目頭から出ている白い膜』

猫の瞬膜とは『目頭から出ている白い膜』

猫の瞬膜とは、目頭から出ている白い膜のことです。

第三眼瞼(だいさんがんけん;第三のまぶた)とも呼ばれ、犬や猫にはありますが、人にはありません。

人においては、半月ひだという部分が瞬膜に相当すると考えられています

通常は眼窩(眼球が入っている骨で囲われた空間)内のスペースに収納され、ひっこんでいるため(ほとんど)見えないです。

眠いときや寝入りのぼーっとしているときには、正常でも目を覆っています。

うちのにゃんちゃんも、寝ているときには、ばりっと出ています。▼

猫の瞬膜とは『目頭から出ている白い膜』

瞬膜の役割としては、

  • 眼球の保護
  • 目に入ったごみを取り除く
  • 角膜をうるおす

といったことがあります。

『ゴーグル』や『ワイパー』と同じ役割をしています。

また、瞬膜の中には、『瞬膜腺(しゅんまくせん)』という涙の分泌腺があります。

そこから出る涙の量は、涙全体の30~40%を占め、目をうるおしています。

瞬膜腺が出てきてしまう病気『第三眼瞼脱出(チェリーアイ)』は、2歳以下の犬でよく見られる病気ですが、猫ではあまり見られません。

瞬膜が戻らない原因とは~具合が悪い?

瞬膜が戻らない原因とは~具合が悪い?

瞬膜は目を守る『ゴーグル』なので、眠っているとき・眠りの前後に目を覆っているときは正常です。

起きたときに戻っていれば、特に問題ありません。

ただ、何かしらのトラブルがあって瞬膜が出っぱなしであるときもあります。

瞬膜が戻らない原因としては、

  1. 目の痛みがある
  2. 交感神経の緊張の低下(両側で出る)
  3. ホルネル症候群
  4. 眼窩に何かしらの病変がある;炎症、膿瘍、腫瘍など
  5. 瞬膜腺の腫脹;炎症、腫瘍など
  6. 麻酔や鎮静剤を使った後
  7. 特定の猫種
  8. その他

といったことが考えられます。

一つずつみていきましょう。

①目の痛みがある

目に痛みがあると、瞬膜が出ることがあります。

目が痛いときには、他にも、

  • 目をしょぼしょぼしている
  • 目やにが増える
  • 前足で目をこすっている
  • 白目が赤い

といったことが同時に起きることもあります。

ただ、猫は角膜に傷がついていたり、毛が入っていても、あまり痛がるそぶりを見せない傾向にあります。

②交感神経の緊張の低下(両側で出る)

交感神経の緊張が低下することにより、両側で瞬膜が突出することがあります。

ハウズ症候群、自律神経失調症とも言われます。

猫に特有の疾患で、同時に下痢や軟便などの症状がみられることも多いです。

これといった原因は分かっていませんが、交感神経と副交感神経のバランスが乱れた(副交感神経が優位になった)結果、生じると言われてます。

トラまりも
トラまりも
痛みや眼窩のトラブル、ホルネル症候群などがないのにも関わらず『ただ出ているだけ』ってのがポイント。

症状は4~6週間持続し、無治療で改善することも多いです。

③ホルネル症候群

ホルネル症候群は、交感神経の障害により、目やその周りにトラブルが生じる病態です。

③ホルネル症候群

交感神経は、

  • 一次ニューロン:視床下部から脊髄まで
  • 二次ニューロン:脊髄から頭頚部の神経節まで
  • 三次ニューロン:頭頚部の神経節から眼窩まで

の3部分から構成されており、そのどこかに障害が起きると、目に症状が出てしまいます。

トラまりも
トラまりも
脳と目をつなぐ交感神経は、ずいぶんと遠回りをする神経なんだね。

ホルネル症候群が生じる原因としては、

  • 交通事故などによる頭頚部・胸部の外傷
  • 線維軟骨塞栓症;脊髄の血管に軟骨などがつまってしまう病気
  • 頭頚部・胸部の腫瘍
  • 上腕神経叢(しんけいそう)の損傷
  • 中(内)耳炎、中(内)耳の炎症・腫瘍
  • 耳道の洗浄・掃除
  • 椎間板ヘルニア
  • 頭頚部・胸部の手術
  • チョークチェーンなどでの圧迫
  • 先天的

…などと、たくさんの原因がありますが、特定されない場合も多いです。

犬の約50%、猫の約40%で原因が明確に特定できなかったという報告があります。

犬と猫のどちらでも発症しますが、特発性のホルネル症候群はゴールデンレトリバーに多い傾向にあります。

ホルネル症候群では、

  • 瞬膜の突出
  • 眼球陥没;目が落ちくぼむ
  • 上眼瞼の下垂;うわまぶたが下がってくる
  • 縮瞳;瞳孔が小さくなる

の4症状がみられることが特徴です。

リスク要因として、

といったことがあります。

ホルネル症候群は、無治療で治ってしまうこともしばしばあります。

また、耳掃除や耳洗浄をしたあとに、瞬膜が出てしまうこともあります。

中・内耳の炎症や耳掃除の刺激によると思われ、通常は数週間程度でおさまることが多いです。

④眼窩に何かしらの病変がある;炎症、膿瘍、腫瘍など

眼窩に、炎症や感染(膿瘍)、腫瘍などの、何かしらのトラブルがあり、瞬膜が出てしまうこともあります。

瞬膜が戻らないことと同時に、

  • 眼球突出;眼球が飛び出てしまう
  • 眼球変位:眼球の位置が変化してしまう
  • 結膜充血
  • 羞明;しょぼつき

などが認められることもあります。

⑤瞬膜腺の腫脹;炎症、腫瘍など

瞬膜腺が炎症や腫瘍などで腫れてしまい、瞬膜の脱出が起こることがあります。

瞬膜軟骨の変形などもあります。

同時に、結膜充血や羞明などがみられる場合もあります。

⑥麻酔や鎮静剤を使った後

動物病院で麻酔や鎮静剤を使った後に、瞬膜が出っぱなしになってしまうことがあります。

精神安定剤や睡眠導入薬などの投与でも起こりえます。

この場合は、主治医の先生からお伝えもあると思いますが、心配がない場合が多いです。

⑦特定の猫種

バーマンなど、特定の猫種の若齢時には、正常でも出ている場合があります。

⑧その他

その他、脱水や眼球が小さくなってしまう病気などで、目が落ちくぼみ、瞬膜が脱出することもあります。

特に子猫は、食欲不振や下痢・嘔吐などで脱水を起こしやく、注意が必要です。

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動物病院に行くタイミング

動物病院に行くタイミング

瞬膜が出てしまうときは、短時間なら問題ないことが多く、長時間なら何かしらのトラブルを抱えている可能性があり、受診が必要です。

動物病院で行う検査としては、

  • 視診
  • 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査:目の中を見る検査
  • 眼圧検査:目の圧を測る検査
  • フルオレセイン染色:目の表面の傷を診る検査
  • 眼底検査:網膜や視神経などを診る検査

などがあります。

必要に応じて、

  • 超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

を行う場合もあります。

瞬膜が脱出するときには、原因を見つけることが重要で、それぞれに合った治療を行うようになります。

瞬膜の癒着~子猫だとよくある

子猫の場合、結膜炎の後遺症によって、瞬膜が角膜にくっつき、剥がれなくなってしまうことがあります。

まぶたが開かなくなる、角膜の障害があるため、点眼や内服薬と同時に綿棒などを使って少しずつ剥がす処置を行います。

瞬膜が赤い

健康なときの瞬膜は、白くて薄い膜です。

炎症が起こると赤やピンク色になることもあるので、日頃から愛猫の瞬膜の色をチェックしておくようにしましょう。

【まとめ】猫の瞬膜とは?目の白い膜は具合が悪いサイン!?

猫の瞬膜は、第三のまぶたとも言われ、目を守ったりうるおしたりする役目があります。

寝入りの前後に瞬膜が脱出しているときは正常ですが、それ以外で出ている場合にはなにかしらのトラブルがある可能性があります。

原因はたくさん考えられますが、猫の場合、特発性や中・内耳の炎症によることが多いです。

瞬膜が出ている場合には、動物病院で原因を見つけ、治療をするようにしましょう。

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【参考資料】

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  • Zwueste DM, Grahn BH,A review of Horner’s syndrome in small animals.,Can Vet J. 2019 Jan;60(1):81-88.
  • Morgan RV, Zanotti SW,Horner’s syndrome in dogs and cats: 49 cases (1980-1986),J Am Vet Med Assoc. 1989 Apr 15;194(8):1096-9.
  • Kern TJ, Aromando MC, Erb HN,Horner’s syndrome in dogs and cats: 100 cases (1975-1985),J Am Vet Med Assoc. 1989 Aug 1;195(3):369-73.
  • Lee LY, Horikawa T.,Development of alternating, ipsilateral Horner syndrome and Pourfour du Petit syndrome associated with oesophagostomy tube placement in a cat,JFMS Open Rep. 2021 Jan 28;7(1):2055116920984379. doi: 10.1177/2055116920984379. eCollection 2021 Jan-Jun.