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【猫の変形性関節症・脊椎症】老猫は注意!痛みを伴う関節炎の3つの治療法を獣医師が解説

【猫の変形性関節症・脊椎症】老猫は注意!痛みを伴う関節炎の3つの治療法を獣医師が解説

「最近、高いところに上らなくなったな…」

「どこか痛いのかな?年のせいかな~?」

「愛猫の歩き方が、なんとなくいつもと違う…」

猫も年をとってくると、高いところへの上り下りをしなくなったり、ずっと寝ている…といったことが増えてきます。

トラまりも
トラまりも
単純に「年のせいかな?」と片付けがちだけど、「変形性関節症(変形性脊椎症)」という病気で、痛みがある可能性もあるんだ。

先日、以下のツイートをしました。▼

犬猫の変形性関節症は多く、高齢猫の約60%、高齢犬の約20%にみられる。
散歩に行きたがらない、階段や高い所に上らないなどは痛みの可能性
体重管理や環境改善(床を滑らなく、段差にスロープ)、薬やサプリ、正しいリハビリ、レーザー、PRP注入などで対応。アンチノールはサプリなのに効果絶大

■本記事の内容

  • 猫の関節炎~変形性関節症(脊椎症)とは?
  • 変形性関節症の3つの治療法
  • マッサージやよく効くサプリメント

愛猫が寝てばっかりで年をとったな…と感じる場合には、是非読んでみてくださいね。

トラまりも
トラまりも
この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

▼ペットの病気やしつけ、日常ケアなど最新情報を発信しています。▼

読んでみて興味があったら、トラまりも(@toramarimo_blog)をフォローしてくれると嬉しいです!

※猫の関節炎には、感染や自己免疫疾患など様々な原因がありますが、本記事では変形性関節症(脊椎症)を関節炎と一部表記しています。

猫の関節炎~変形性関節症(脊椎症)とは?

猫の関節炎~変形性関節症(脊椎症)とは?

変形性関節症とは、骨と骨の間にある軟骨が何らかの原因によりすり減ってしまい、骨同士がぶつかってしまうことで、炎症や痛み、関節の変形を生じる病気です。

肘関節(ひじ)や膝関節、股関節などに多発します。

変形性関節症のうち、背骨の椎間板(骨同士のクッションの役割をしている)がつぶれて骨同士がぶつかり、「トゲ」のようなものができ、神経を圧迫する病気を「変形性脊椎症」といいます。

10歳以上の高齢猫の約60%、12歳以上の70%以上に変形性関節症(変形性脊椎症)があると言われています。

発症の原因としては、

  • 年齢(加齢)
  • 肥満
  • 遺伝
  • 環境要因
  • 外傷や脱臼・股関節形成不全などの原疾患がある

などが考えられます。

スコティッシュフォールドにおいては「骨軟骨形成不全症」という病気の素因があるので、この変形性関節症になりやすいです。

猫の変形性関節症の症状は「老化」と間違えがち!

どんな歩き方をするの?【関節炎の症状】

猫が変形性関節症を発症すると、

  • 動きが悪い
  • 高いところに行かなくなった
  • おもちゃで遊ばなくなった
  • 足を触ると痛がる
  • トイレへの出入りがうまくできなくなった
  • 何となく元気がない

といったことが見られます。

一見、老化のようにも見られるため、見過ごされてしまうことも多いです。

トラまりも
トラまりも
ふらふら歩いたり、ぎこちなく歩いたり…と、「なんとなく歩き方が以前とは違うな…」といったことも多いよ。 

ただし、変形性関節症の初期にはこういった症状を示さない(無症状)ことが多く、発見が遅れてしまうこともしばしばあります。

また、こういった症状は、関節炎以外の病気でもみられることがあります。

猫の関節炎の診断はレントゲン撮影

猫の関節炎の診断はレントゲン撮影

猫の変形性関節症の診断はレントゲン検査で行います。

レントゲン撮影では軟骨の評価が難しいため、初期に発見することは難しい場合もあります。

重症化するにしたがって、トゲのような骨棘(こつきょく;関節軟骨が硬くなったもの)ができたり、炎症で増えた関節液による関節の腫れがみられることもあります。

以下のレントゲン写真が猫の変形性関節症で、関節鼠(かんせつねずみ;軟骨や骨のかけら)や骨棘がみられます。▼

猫の関節炎~変形性関節症(脊椎症)とは?

猫の変形性関節症の3つの治療法

猫の変形性関節症の3つの治療法

関節炎は命に関わる病気ではありませんが、痛みを伴う病気なので、治療をしてあげる必要があります。

また、関節内の変化は不可逆的であるため、一度生じたら元に戻すことはできません。

そのため、早期の発見と早期の治療がとても重要となります。

変形性関節症の治療は、

  1. 体重管理
  2. 環境整備
  3. 痛み止めなどの薬、サプリメント

を組み合わせて行っていきます。

それぞれ分けて説明していきますね。

①体重管理

関節疾患に対しては、体重管理が最も重要です。

最近の研究では、最大で約60%の猫が肥満だとも言われています。

トラまりも
トラまりも
太っていることは、関節疾患だけでなく、様々な病気のリスクを上昇させてしまうよ… 

食事量を減らしたり、減量用のフードに切り替えるといいでしょう。

減量は、一気に行うことはせず、一週間に体重の2%程度の減量にとどめましょう。

また、高齢で爪とぎをしなくなると、爪がどんどん長くなり巻いてしまうので、肉球がうまく使えず歩きにくくなってしまうこともあります。

愛猫の爪がどんな状態なのか?をしっかり把握して、ケアしてあげましょう。

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②環境整備

家の環境を整えてあげることも重要です。

すなわち、

  • ジャンプや飛び降りを控える
  • 階段の上り下りを控える
  • 滑りにくい床にする

などが必要です。

トラまりも
トラまりも
飛び乗ってしまうような家具がある場合には取り除く、階段は上り下りできないように脱走防止柵をつけるなどが大切! 

トイレの段差がつらくて排泄ができない場合もあるので、段差が低い(ない)トイレにしてあげるといいでしょう。

また、食器台などを使って食器の位置を高くしてあげると、前足の関節炎に対してのケアが可能です。

③痛み止めなどの薬、サプリメント

痛みの治療を行う主な薬剤には、

  • 非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)
  • 神経障害性疼痛治療薬(神経の痛みの治療薬)
  • オピオイド(強い鎮痛作用を示す医療用の麻薬)
  • 鎮痛補助薬(本来は痛みの治療薬ではないが、痛み止めとして効果がある薬)
  • ステロイド
  • 麻酔薬

などがあります。(参考:疼痛.jp)

このうち、猫の変形性関節症では、NSAIDsを主に使用します。

NSAIDsが使用できない場合や、NSAIDs単独で十分な鎮痛効果が得られない場合には、鎮痛補助薬(ガバペンチンやアマンタジン、アミノトリプチンなど)やカルトロフェン・ベット(犬の関節炎の治療薬)を使用します。

ただし、薬には副作用もあります。

長期的な投与になることもあるので、可能な限り1回あたりの投与量を減らしていくことで経過をみていきます。

また、腎障害が生じることもあるので、定期的な血液検査も重要です。

サプリメントを併用することで、痛みの緩和が期待されることも多いです。

猫用アンチノールはニュージーランドのモエギイガイから抽出されたオイルが主成分で、90種類以上の豊富な脂肪酸が含有されている、猫の変形性関節症の疼痛管理に大いに役立つサプリメントです。

他にも、グルコサミンやコンドロイチン硫酸など(効果はない場合もあります)が使用されることもあります。

症状があった場合でも、適切な薬やサプリメントを使用することで生活の質を維持することは可能です。

マッサージは正しい方法で~リハビリテーション

マッサージは正しい方法で~リハビリテーション

最近では猫の変形性関節症に対して、様々なリハビリテーションやマッサージなどが行われています。

ただ、適切な方法で実施しないと、かえって状態を悪くしてしまうだけなので、必ず専門家の指示の下で行うようにしましょう。

電気刺激療法(TENS)や低反応レベルレーザー療法(LLLT)、超音波療法も関節炎の緩和に役立つことがあります。

【まとめ】猫の関節炎~変形性関節症(脊椎症)の症状や治療法

猫の変形性関節症は完治ができない病気です。

ずっと寝ている、あまり歩かなくなった…など一見すると、老化のように見えることもありますが、痛みで症状を示している場合も多いです。

薬やサプリメント、体重管理などをあわせて行うことで、QOL(生活の質)を改善してあげることは可能です。

早期発見・早期治療が何よりも大切です。

今一度、愛猫の動きや生活パターンをよく観察してあげましょう!

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