「犬にステロイド出されたんだけど、副作用が心配…」
「ステロイドってネットで調べたら、怖くなってきた…」
「ステロイドの効果と副作用ってどうなのかな?」
犬のステロイドについて、その効果や副作用を心配している飼い主様は多くいらっしゃいます。
先日、ステロイドについてツイートしました。▼
ステロイドを怖い薬と思ってる飼い主様は多いですが、使い方を間違えなければそんな事はないです。
炎症を抑える力、アレルギーで免疫を抑えたい時などには、速くよく効くいい薬です。
・適量を短期間、頓服
・急に使用をやめない
・肝臓や副作用のチェックをする
獣医さんの指示通りに使いましょう😊— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) September 9, 2021
ステロイドを怖い薬と思ってる飼い主様は多いですが、使い方を間違えなければそんな事はないです。
炎症を抑える力、アレルギーで免疫を抑えたい時などには、速くよく効くいい薬です。
・適量を短期間、頓服
・急に使用をやめない
・肝臓や副作用のチェックをする
獣医さんの指示通りに使いましょう😀
この記事では、犬のステロイドについて、
- どんな効果があるの?
- 副作用の症状ってどんなの?
- 副作用が心配だけど、あげたほうがいいの?
などを分かりやすく解説いたします。
ステロイド投与について心配がある飼い主様は、ぜひ読んでみてください。
目次
ステロイドとは?
ステロイドは、もともとは副腎という腎臓の上にある器官から作られるホルモンです。
このホルモンが持っている作用を『薬として応用したもの』がステロイド薬(副腎皮質ステロイド薬)です。
副作用ばかりがピックアップされがちな薬ですが、
- よく効く!
- 早く効く!
- 安価!
という理由から、様々な治療に幅広く使われています。
犬に対するステロイドの効果
ステロイドにはいろいろな効果がありますが、犬猫の動物医療では主に、
- 抗炎症薬(炎症に関わる物質の産生抑制)
- 免疫抑制作用(過剰な免疫反応を抑える)
- 抗がん剤の補助
として用いることが多いです。
ステロイドを使用する犬の病気
ステロイドは、皮膚病のかゆみの治療薬として使用することが多いです。
ずばっとよく効くので、効果を実感する飼い主様も多いと思います。
犬はかゆみがあると、皮膚をなめたり噛んだりするので、塗り薬などの局所療法がしにくいといった特徴があります。
そのため、飲み薬や注射薬としてステロイドを使用する場合も多いです。
また、
- 免疫異常が原因での下痢や嘔吐
- 各種アレルギー疾患
- 貧血や血小板減少
- リンパ腫
- 椎間板ヘルニア
- 多発性関節炎
…など、キリがないくらいステロイドが活躍する場はたくさんあります。
ステロイドの種類
ステロイドにはたくさんの種類があります。
ステロイドは薬の作用時間によって、
- 短時間型(ヒドロコルチゾンなど)
- 中間型(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)
- ⻑時間型(ベタメタゾン、デキサメタゾンなど)
に分けられます。
また、ステロイドの塗り薬については作用の強さによっても分けられ、
- 弱い(weak):プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、デキサメサゾン酢酸エステルなど
- 普通(medium):プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、トリアムシノロンアセトニドなど
- 強い(strong):ベタメタゾン吉草酸エステルなど
- とても強い(very strong):モメタゾンフランカルボン酸エステルなど
- 最も強い(strongest):クロベタゾールプロピオン酸エステルなど
と5段階に分類することもあります。
犬に対するステロイドの副作用
ステロイドは副作用がある薬です。
ただし、『副作用以上にステロイドを使用するメリットがある』ために、多くの場面で使用されます。
また、副作用は必ず認められるものではなく、
- 病気の種類
- 使用する薬の量
- 使用している期間
- 使用方法(塗り薬か飲み薬かなど)
により様々ですので、不安がある場合には、主治医の先生に相談するようにしてくださいね。
また、犬や猫は、人よりもステロイドの影響が出にくいと言われています。
多飲多尿
これが最もよく聞く副作用だと思われます。
ステロイドを投与すると、よく水を飲んで、よくおしっこをするようになります。
抗利尿ホルモンという、腎臓で水の再吸収を促進するホルモンの作用を抑制するためです。
過食
「ステロイドを飲んでからすごい食欲なんです!」というのもよくあります。
ステロイド投与では、過食になることが多いです。
太ってくる場合には、カロリー制限が必要なときもあります。
この副作用を利用して、ステロイドは 『食欲増進のため』に出される場合もあります。
感染症になりやすい
ステロイドには、免疫を抑制する作用があります。
なので、怪我などでの感染症の治療のときは使用しません。
感染症になりやすいことから、抗生剤と併用することが多いです。
この免疫を抑えるステロイドの作用は、アレルギーの治療などで過剰な免疫を抑制するために使います。
嘔吐や下痢
ステロイドの使用で、胃腸障害が出ることがあります。
長期的に使用すると潰瘍になることもあるので、その場合は減薬や休薬をして様子をみます。
胃酸分泌を抑制する薬や胃腸粘膜保護薬を予防的に投与することがあります。
高血糖
ステロイドは、 『インスリン』という血糖値を下げるホルモンの感受性を低下させる(効きづらくする)こと、また糖を合成する働きを高めるので高血糖となります。
そのため、糖尿病で治療している子には、理由がなければステロイドは使用しません。
高脂血症
ステロイドがインスリン感受性を低下させるために生じます。
肝臓に脂肪が蓄積して、脂肪肝となることもあります。
高血圧
ステロイドは、カテコラミンとアンギオテンシンⅡという血圧を上げる物質の感受性を高くするため、高血圧が生じることがあります。
肝臓の数値が上がる
これもよく聞くかもしれません。
ステロイドを飲むと肝臓の数値が高くなる場合があります。
ただ、数回飲んだだけで、必ずしも数値が上がるわけではないです。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
ステロイドはビタミンD(カルシウムの吸収を促進させる)と拮抗するため、腸管からのカルシウムの吸収が減ってしまします。
結果的に骨がもろくなってしまうことがあります。
横紋筋融解、皮膚が薄くなる
皮膚病の治療などで、長期的にステロイドを使用する場合に生じることがあります。
これは、ステロイドが皮膚や筋肉のたんぱく質を分解して、糖新生に用いるためです。
脱毛
ステロイドの作用によって、脱毛や毛が薄くなることもあります。
精神作用(感情の起伏が大きい)
ステロイドは興奮の閾値を下げるため、興奮しやすくなったりうつ状態になったりすることがあります。
医原性クッシング症候群
ステロイドを長期投与することにより、クッシング症候群と同じような症状を示した状態です。
この場合、投薬によりステロイドが常々体に入ってくるので、自分の副腎(本来ステロイドホルモンを出す場所)が「もう、ステロイド作らなくっていいや!」となってしまいます。
そのため、副腎が萎縮し機能がガクッと落ちてしまいます(=ステロイドが自分で作れなくなっています)。
医原性クッシング症候群のときに、ステロイド投与を一気にやめると、とても危険な状態になります。
長期的にステロイド投与を行った場合には、徐々にやめるようにしましょう。
医原性クッシング症候群(アジソン病)はコチラを参考にしてください▼
【まとめ】犬のステロイドの効果と副作用
ステロイドは使い方を間違えなければ、決して怖い薬ではないです。
- 適量を短期間、もしくは頓服で使用する
- 長期で使用する場合は、肝臓等に副作用が出ていないか検査する
- 急に服用をやめない
- 副作用が認められるなら、減薬したり休薬をする
などをして、きちんと経過を見ていくようにしましょう!
【参考資料】