「なんか最近犬の食欲がないな…」
「なんとなく元気がないような…」
「アジソン病って言われたんだけど、どんな病気?」
なんとなく愛犬の元気や食欲がなかったりする場合には、アジソン病(副腎皮質機能低下症)の可能性もあります。
この記事では、犬のアジソン病について、
- どんな病気なの?
- 治る病気なの?
- 治療法や予後はどうなの?
などを分かりやすく解説していきます。
目次
犬でよくある病気「アジソン病(副腎皮質機能低下症)」とは?
犬のアジソン病は、副腎皮質機能低下症とも言われ、副腎という腎臓の上にあるちっちゃい器官の機能が低下してしまう病気です。
副腎皮質は、
- グルココルチコイド(ステロイドホルモン)
- ミネラルコルチコイド(アルドステロン)
- 性ホルモン
といったホルモンを分泌します。
これらのホルモンが全部もしくはいずれかが低下することによって、さまざまな症状が出ます。
アジソン病には「定型」と「非定型」の2つのタイプがあります。
定型:グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの両方の低下がみられる
非定型:グルココルチコイドのみの低下がみられる
またアジソン病は、猫では非常に稀な疾患です。
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)の原因は3つある
犬のアジソン病の原因は3つあります。
原因①特発性
特発性(原因不明)で、突如として副腎が萎縮してしまうことがあります。
犬のアジソン病はほとんどがこちらです。
原因②クッシング症候群の治療による
クッシング症候群の治療の際に、副腎からのホルモン(コルチゾール)を抑制する薬を投与します。
それによって医原性で生じることもあります。
原因③医原性クッシング症候群
ステロイドを長期的に(かつ過剰に)投与されている場合、見かけ上クッシング症候群のような状態になっているけど、実際は自分の副腎の機能は抑制されていてアジソン病になっているってことがあります。
医原性クッシング症候群の場合には、急にステロイド投与を中止すると以下で説明する「急性副腎不全」となり非常に危険です。
犬のクッシング症候群のについてはコチラを参考にしてください。▼
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)の症状は分かりづらい
犬のアジソン病は、副腎皮質の85~90%程度が破壊されることによって症状が出ます。
- 食欲や元気がなくなる
- 嘔吐や下痢
- 震え
など非特異的な(これといった分かりやすい症状がない)症状が出ることが多いです。
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)はACTH刺激試験で診断
犬のアジソン病は、ACTHという副腎を刺激するホルモンを注射して、副腎がどれくらい反応するのかを見る試験(ACTH刺激試験)により診断します。
また血液検査では、
- 電解質の異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症)
- 高窒素血症
- 低血糖
などがみられる事が多く、エコー検査では副腎の萎縮が認められます。
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)は症状によって治療法が異なる
犬のアジソン病には、急激に悪くなる急性副腎不全(副腎クリーゼとも言われる緊急の病態)と症状が緩徐に進行する病態とがあります。
急性副腎不全の場合は、緊急的な処置が必要で、
- 循環血液量の減少
- 低血圧
- 高カリウム血症
- コルチゾール値
- 代謝性アシドーシス
などを早期に改善する必要があります。
これらが改善された場合には、副腎皮質ステロイドホルモンを投与することによって治療を行います。
副腎皮質ステロイドホルモン製剤には、
- フロリネフ(フルドロコルチゾン酢酸エステル:ミネラル・グルココルチコイド両方補填)
- プレドニゾロン(グルココルチコイドを補填)
- DOCP(ピバル酸デソキシコルチコステロン:ミネラルコルチコイドを補填)
などがあり、症状や血液検査にて種類や量を決定していきます。
DOCPは注射タイプのアジソン病の治療薬で、
- ミネラルコルチコイドのみを補填する飲み薬がないこと
- フロリネフで安定した作用が得られない場合
といった理由で、安定した効果を持つDOCPを使用するときがあります。
日本での使用例は少ないですが、3週に一度程度の注射で治療ができるので、管理が楽になる場合があります。
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)の予後
急性副腎不全を乗り切ることができるかにかかってます。
急性副腎不全を乗り切った場合と、緩徐に進行する病態の場合には、適切に治療を行えば予後は良好です。
【まとめ】犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)は早期発見・早期治療
犬のアジソン病は、早期発見・早期治療が重要です。
今一度、愛犬の元気や食欲などいつもと違うところはないかのチェックをしましょう。