「ω(オメガ)3脂肪酸って体にいいっていうけど、あげたほうがいいの?」
「オメガ3とオメガ6って聞くけど、違いはなんだろう?」
「あげるなら、どれくらいの量をあげればいいのかな?」
など、愛犬にオメガ3脂肪酸(オイル)をあげるべきか?悩まれている飼い主様はたくさんいらっしゃいます。
この記事では、犬とオメガ3脂肪酸について、
- 期待される効果とは?
- あげる量はどれくらいがいいの?
- おすすめの食材やサプリメントって?
などをお伝えしています。
愛犬にω3脂肪酸をあげるべきか悩まれている飼い主様は、ぜひ読んでみてくださね。
目次
犬にオメガ3脂肪酸って効果あるの?~期待される効果とは
ずばり、効果あります!
具体的には、
- 脂漏症
- アトピー性皮膚炎
- 毛周期停止(脱毛エックス)
- エリテマトーデス
- 家族性皮膚筋炎
などの皮膚病や、
- 骨・関節疾患(前十字靭帯断裂、変形性関節症など)
- 心血管疾患
- 腎臓病
などで補助的に使用し、効果が得られています。
▶かゆみ止めと併用することで、かゆみ止めの量を減らせる可能性が報告されている。
▶関節炎の症状が改善し、痛み止め(抗炎症)の投薬を減らすことができた。
▶抗凝血作用や血管拡張による降圧作用など様々な作用があり、心・腎機能を保護する。
参考:ROYAL CANIN
そもそもオメガ3脂肪酸って何?
オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸の一つです。
必須脂肪酸は体内で作ることができないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。
オメガ3脂肪酸は抗炎症作用、オメガ6脂肪酸は皮膚バリア機能
オメガ3脂肪酸は、炎症の時に生じるサイトカインの産生を抑制することで抗炎症作用を発揮します。
一方でオメガ6脂肪酸は、皮膚の細胞膜に存在して皮膚バリア機能を維持しています。
オメガ6脂肪酸って悪者なイメージあるけど…
オメガ6脂肪酸ってよくないイメージがありますよね。
オメガ6脂肪酸は、
- アレルギー症状の緩和
- コレステロール値を下げる
- 認知症改善
などの役割もあり、重要な脂肪酸です。
では、なんで悪者にされるのかというと、
- オメガ3脂肪酸→意識して摂らないと摂取が難しい油
- オメガ6脂肪酸→日常の食生活で勝手に入ってくる油
なため、「摂りすぎていること」が問題なんです。
そして、オメガ3とオメガ6脂肪酸はその比率も重要です。▼
オメガ3/オメガ6脂肪酸は比率が重要
オメガ3/オメガ6脂肪酸は、その比率が重要です。
犬における理想の比率は、
オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸=1:2~1:6
と言われています。
オメガ3脂肪酸ってたくさんあげてもいいの?摂取量は?
オメガ3脂肪酸の推奨摂取量は、状態や病気ごとに異なります。
そのため、疾患別の療法食の推奨量を食べさせつつ、適量のサプリを併用するといいと思われます。
ちなみに人では、オメガ3脂肪酸の1日あたりの摂取目安量として、
- 成人男性の場合2.0g~2.4g
- 成人女性の場合1.6g~2.0g
とされています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」
単純に体重比率で考えると、小型犬では0.1g程度になるので、びっくりするくらい極少量になります。
個体差もありますが、ティースプーンの半分~1/4程度くらいが適量となると思われます。
オメガ3脂肪酸が入った食材やフードって?
市場あるアレルギー用の療法食や関節用フードは、多くの製品で高容量の必須脂肪酸が添加されています。
オメガ3脂肪酸は熱や空気に弱いので、どの時点で添加されているのかが重要ですが、メーカー内部の人間でないと内情が分からないので、信頼できる大手メーカーのフードを使うようにしましょう。
また、必須脂肪酸は非常に酸化しやすいので、
- フードの保管方法(密封すること)
- 内容量(大袋より小分けにパックされているものがいい)
に気をつける必要があります。
オメガ3脂肪酸は青魚に多く含まれているので、お刺身や水煮缶を食事にトッピングするのもおすすめです。
もちろん味付けがされていないものにしましょう。
オイルはあげすぎると逆効果!
体によいとされているオイルであっても、あげすぎると逆効果となります。
- 便が緩くなる
- 肥満になる
- 免疫機能の変化
- インスリン感受性への影響
などが起こりえます。
また、オリーブオイルやひまわり油などのオメガ9脂肪酸やココナッツオイルなどの飽和脂肪酸は体内で作ることができる油です。
そのため、適切なフードを与えている場合には、あえて食事に添加する必要はありません。
動物病院で使用するオメガ3脂肪酸のサプリメント
オメガ3を含む必須脂肪酸製剤は、
- アンチノール(Vetz Petz)
- オメガダーム(ビルバックジャパン)
- ガンマダーム(ビルバックジャパン)
- モエギギャップ(共立製薬)
などがあり、皮膚疾患や関節疾患などのときに処方されることが多いです。
魚油の独特なにおいがあり、また酸化を防止するためにソフトカプセルに入っている商品が多いです。
【まとめ】犬のオメガ3脂肪酸の効果
オメガ3脂肪酸は、様々な疾患に対して補助的に使われます。
皮膚病や関節疾患の療法食には、オメガ3脂肪酸が添加されているものが多く、効果も期待できます。
ただしオメガ3脂肪酸は酸素や熱に弱いので、小分けで使用し、また信頼のおけるメーカーのフードを利用するようにしましょう。
サプリメントについては効果が出るまでに時間がかかりますが、投与により病状の改善がみられる事があります。
【参考資料】
- 左向敏紀,阿部又信,大島誠之助,徳本一義,百田豊,森昭博,臨床栄養学,interzoo,2015,p24-p25