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【必読】犬のBUNが高い9つの理由と下げる方法を獣医師が解説!

【必読】犬のBUNが高い9つの理由と下げる方法を獣医師が解説!

「血液検査でBUNが高いと言われました…」

「BUNが高いときは、腎臓が悪いのですか?」

「どんな検査をするようになるの?」

など愛犬のBUNが高いと言われたときは、なんで高いのか?どうすれば下がるのか?不安になってしまいますよね。

この記事は、愛犬のBUNが高いと言われた方向けの記事です。

この記事では、

  • 犬のBUNって何?
  • BUNが高いって大丈夫なの?
  • 食事など、自宅でできることってあるの?

などを分かりやすく説明するとともに、BUNを下げる方法を解説いたします。

トラまりも
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この記事を書いている私(トラまりも)は、東京で動物病院を運営しております!獣医療には20年ほど携わっています。

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犬のBUNとは血液中の老廃物の指標

犬のBUNとは血液中の老廃物の指標

BUNとは血中尿素窒素(Blood Urea Nitrogen)と言われる窒素化合物の一つです。

トラまりも
トラまりも
ビーユーエヌとか尿素窒素と呼ぶときもあるよ。 バンとかブンとか言う飼い主様もいるけど、ビーユーエヌとそのまま読むよ。

食事中に含まれるタンパク質は消化管内で分解されてアミノ酸になります。

アミノ酸は体のタンパクを合成するほか、エネルギー源にもなります。

エネルギーを得る過程で発生したアンモニアは、大部分が肝臓で尿素に代謝され、そのまま老廃物として腎臓から尿中に排せつされます。

うまく老廃物(尿素)が排せつされなかったり、老廃物の量が多すぎる場合には、血液中の尿素窒素「BUN」が高い値となります。

犬のBUNの基準値

BUNの基準値は、

  • 犬:7~29mg/dL

程度で、検査機関や検査装置によって多少のばらつきがあります。

犬のBUNが高い理由は9つある

BUNが高いと腎臓が悪い!って思っている方も多いですが、それは違います。

犬のBUNが高いときには、以下の9つの原因が考えられます。

  1. 腎機能の低下
  2. 食事の影響
  3. 脱水
  4. 循環不全
  5. 消化管内出血
  6. 溶血の影響
  7. 薬剤の投与
  8. 異化亢進
  9. 尿路の閉塞、破裂
トラまりも
トラまりも
BUNが高くなる原因は、腎臓以外にもたくさんあるんだね!何が原因なのかを見極める必要がありそうだね!

では各々説明していきますね。

①腎機能の低下

BUNが高いときに真っ先に浮かぶのが腎臓が悪い?ということだと思います。

  • 腎臓での血流障害(血栓や梗塞など)
  • 糸球体疾患(糸球体腎炎など)
  • 尿細管・間質疾患(急性尿細管壊死など)

により腎臓の機能が低下することによって、うまく尿素を排出することができずBUNが高値になってしまいます。

BUNは腎機能が25%以下程度まで低下すると高値となります。
トラまりも
トラまりも
かなり腎臓の破壊が起きないとBUNは高くならないんだね。

②食事の影響

高タンパクの食事を摂っているとBUNは高くなります。

この場合、タンパクを制限することでBUNが低くなります。

また、血液検査の直前に食事を摂っていた場合にも高くなることがあります。

トラまりも
トラまりも
絶食(食後8時間以上あけて)で再検査するといいよ!

③脱水

脱水により循環血液量が減少すると、腎臓に行く血液量も減少するので、BUNが高くなります。

④循環不全

心疾患などで心拍出量が低下すると、腎臓へ行く血液量が減るのでBUNが高くなります。

⑤消化管内出血

消化管内で出血が起こると、腸管内で血液が分解されてアンモニアが発生します。

アンモニアが尿素に代謝され吸収されるため、消化管内出血によりBUNは高い値となります。

ただし腎機能が正常の場合には、出血によるBUNの上昇は必ずしも明らかではないです。

⑥溶血の影響

測定方法によっては溶血の影響を受けてBUNが高くなることがあります。

⑦薬剤の投与

薬の影響でBUNが高くなることもあります。

  • 抗生剤(テトラサイクリン系、アミノグリコシド系など)
  • 非ステロイド系抗炎症薬
  • ステロイド系抗炎症薬
  • 免疫抑制剤
  • 抗がん剤
  • 造影剤

などの投薬により高値となることがあります。

⑧異化亢進

手術や腫瘍、重度感染症などにのときには、炎症性サイトカインや副腎皮質ホルモンなどが過剰に分泌されます。

その結果、酸素消費量の増大、脂肪やタンパクの分解亢進といった異化亢進状態となりBUNが高くなることがあります。

⑨尿路の閉塞、破裂

腎臓より下部の尿路(尿管、膀胱、尿道など)に閉塞や破裂などが生じ、BUNが高くなることもあります。

猫の尿道閉塞はある日突然やってくる

▲結石などによって尿の排泄ができず、BUNが高くなってしまいます。

高窒素血症(高BUN)のトラブルの場所による分類

BUNの高値は体のトラブルを起こしている場所により、

  • 腎前性(腎臓より前に原因がある)高窒素血症
  • 腎性(腎臓に原因がある)高窒素血症
  • 腎後性(腎臓より後ろに原因がある)高窒素血症

という3つに分類します。

トラまりも
トラまりも
BUNが高い原因がどこにあるのかで分類しているんだよ!

高BUNの診断をして行く過程で、「腎前性、腎性、腎後性」を鑑別していくことはとても重要です。

腎前性高窒素血症

腎臓より前に原因があって生じる高窒素血症(高BUN)は、腎臓に行く血流量が減ることによります。

上記で説明したBUNが高くなる原因のうち

  • 食事の影響
  • 脱水
  • 循環不全
  • 消化管内出血
  • 異化亢進

によって腎前性の高窒素血症は生じます。

トラまりも
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腎臓病の指標となるクレアチニン(Cre)の上昇が軽度でBUNが突出して高いときには腎前性であることが多いよ!

腎性高窒素血症

腎臓自体に原因があってBUNが高くなっている状態です。

  • 腎機能の低下
  • 薬剤の投与

によって腎性高窒素血症は生じます。

腎後性高窒素血症

腎臓より下部の尿路(尿管、膀胱、尿道など)に原因があってBUNが高くなっている状態です。

  • 両側尿管の閉塞
  • 膀胱や尿道の閉塞
  • 膀胱や尿道の破裂
  • 骨盤内の腫瘍

などにより、尿として尿素が排泄できなくなり、血中に貯まってしまうことがあります。

トラまりも
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腎後性は画像検査や何度もトイレに行くと言った稟告で分かることが多いよ!

犬が何度もトイレに行く場合は、こちらの記事も参考にしてください▼

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BUNは腎機能評価の鋭敏な指標とはならない【SDMAで早期発見】

BUNは腎機能評価の鋭敏な指標とはならない【SDMAで早期発見】

BUNは上記でもお伝えした通り、腎機能が25%程度にまで低下しなければ高値になりません。

そのため、BUNが高くなったときには、すでにかなり腎機能が落ちていることになります。

一方で、SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は腎機能が40%(早いときでは25%)喪失した時点で感知できる血液検査項目です。

他の腎臓マーカーより早く感知できるので、腎臓病の早期発見が可能なので様々な対策が取れ、腎臓病の進行を遅らせることができます。

犬では従来より9.8か月も早く腎臓病を発見できると言われています。

トラまりも
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SDMAはどこの動物病院でも検査できるよ!

犬のBUNが高いときに行う検査

BUNが高いときには、何が原因で高くなっているのかを知る必要があります。

すなわち上記で示した9つの原因のうちのどれが原因なのかを特定していきます。

  • 稟告(多飲多尿はないか、食欲など)
  • 血液検査(BUN、Cre、Pなど含め全身の評価)
  • レントゲン検査
  • エコー検査
  • 血圧測定
  • 尿検査(比重や尿タンパクUPC)
  • 糞便検査

などを行い、腎臓含め全身の状態を把握していきます。

犬のBUNを下げる方法

犬のBUNを下げる方法

犬のBUNを下げるためには、まずは原因が何なのかを見つけることです。

原因に合ったそれぞれの治療を行い、改善があるかをみていきます。

また、あまりにも高値の場合には、入院による点滴管理や投薬治療が必要です。

特に臨床症状がなくても、高値の場合は薬や食事による治療を行うことが多いです。

以下では、腎臓が原因でBUNが高いとき(腎性高窒素血症)の治療法や食事療法を解説していきます。

①薬やサプリメントによる治療

腎臓病で使う薬は、その病期のステージによって変わります。

  • 降圧剤
  • 利尿剤
  • カリウムやリンを下げる薬
  • 活性炭(血中の老廃物を腸で吸着して、便で出させる)
  • ステロイドなど免疫抑制剤(腎臓の炎症を抑えるため)
  • 腎性貧血の注射
  • 活性型ビタミンD
  • べナゼプリル(腎臓の糸球体の血圧を下げ、腎臓の負荷を軽減する)
  • 食欲増進剤
  • 制吐剤
  • 腸内細菌を整える(腸腎連関)
トラまりも
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腎臓病で使う薬はたくさんあるから今度別記事にまとめるね。

②皮下補液による治療

犬の腎臓病に対しては、猫ほど効果はありませんが、皮下補液を行うこともあります。

皮下補液をすることで腎臓に行く血液量が増えるので、体がとっても楽になります。

トラまりも
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自宅での皮下補液は、やっている動物病院とやっていない動物病院があるよ。主治医の先生に確認してみよう! 

③食事による治療

BUNが高い原因が腎臓にある場合は、腎臓病用の療法食に変えることをおすすめします。

獣医療法食評価センターの療法食ガイドラインには、慢性腎機能低下の場合には、

  • リンとタンパク質を制限、高品質なタンパク質を使用
  • 窒素含有成分の吸収を低減

の少なくともいずれかを満たすこととされています。

リンを制限する意味

腎機能が低下すると、

  • リンがうまく排泄できなくなる
  • ビタミンDを活性化できなくなる

と言ったことが生じます。

血液中のリンが増えると、パラソルモン(上皮小体ホルモン:カルシウムとリンの調整をしているホルモン)の分泌が亢進し、リンを下げようとする代わりに、カルシウムの吸収が促進されます。

犬の甲状腺の位置

カルシウムが高くなると腎臓の石灰化が起き、腎機能のさらなる低下を生じます。

また、腎臓はビタミンD(カルシウムとリンの調整をしている)を活性化する作用もありますが、それが低下すると腸管からのカルシウム吸収が抑えられるので、結果として上皮小体ホルモンの分泌が亢進し、上記と同じ現象が起きます。

【参考】カルシウムとリンを調整しているホルモンの関係▼

カルシウム リン
パラソルモン 上げる 下げる
カルシトニン 下げる 下げる
ビタミンD 上げる 上げる

 

タンパク質を制限する意味

腎機能が衰えてくると、タンパク質の代謝で生じる尿素窒素がうまく排泄できなくなります。

老廃物の蓄積を抑えるために、タンパク含量を抑えた食事をあげる必要があります。

トラまりも
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タンパク尿自体も腎臓にダメージを与えちゃうんだ。

ただ、タンパク質は体を作るうえで大切な栄養素なので、過度に制限する必要はありません。

適切な療法食を主治医の先生とご相談の上あげるようにしてください。

④飲水させる

腎臓が悪いときは、水を飲ませる事で老廃物を尿として出すことができます。

ただ、水を飲んでと言って飲んでくれれば苦労しないですよね…

トラまりも
トラまりも
無理にあげるとストレスになったり、誤飲しちゃうこともあるからね…

犬が水を飲まないときの飲ませ方について書いた記事もあるので参考にしてください▼

水をむせないようにする対策・対処法
犬が水を飲まない理由と飲ませ方12選【何日まで大丈夫?】1日の水分量も解説!「愛犬が水を飲みません…」 「腎臓病だから、水を飲んでほしいんです…」 「どうやって水を飲ませればいいですか?」 など...

【まとめ】犬のBUNが高いときの理由や下げる方法

犬のBUNは、腎疾患以外にも脱水や食事の影響、心疾患などでも高値となります。

原因によって治療法が異なるので、なぜBUNが高いのかを把握する必要があります。

トラまりも
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主治医の先生とよく相談してみてね!

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