「猫の点滴をしてもらったのですが、おなかや前足が腫れています…」
「皮下補液はどれくらいの時間で吸収されますか?」
「皮下補液の自宅での方法や費用を知りたい!」
動物病院で点滴をしてもらったり、自宅で点滴をすることは多いと思いますが、難しかったり、いろんな疑問があったりすると思います。
猫の皮下補液について、先日以下のツイートをしました。▼
愛犬や愛猫の「皮下補液」をがんばっている方は多いです。
最初は難しくてうまく針が入らないことも多いですが、緊張すると動物に伝わります⚠️しれっと素早くが肝心で、失敗したらしばらく時間をあけて再度チャレンジ😊
うまくいかない日は諦めて、水分多めの食事を与えるのもよいです✨#動物病院— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) February 7, 2021
愛犬や愛猫の「皮下補液」をがんばっている方は多いです。
最初は難しくてうまく針が入らないことも多いですが、緊張すると動物に伝わります⚠️しれっと素早くが肝心で、失敗したらしばらく時間をあけて再度チャレンジ😊
うまくいかない日は諦めて、水分多めの食事を与えるのもよいです
自宅での皮下補液は、ちょっと難しいですが、コツさえつかめば簡単に行えます。
ネコちゃんの皮下補液について、疑問や不安がある飼い主様は、ぜひ読んでみてください。
目次
猫の点滴・皮下補液とは?
猫の皮下補液(ひかほえき)とは、猫の背中の皮膚の下(皮下)に輸液をする方法です。
犬や猫の皮膚は人と違ってびよーんと伸びるので、その隙間に液体を入れる方法となります。
吐いたり下痢をしたり、食欲がない場合に、動物病院でしてもらうことが多いと思います。
また、腎臓病で治療中の場合には、毎日自宅で行う場合もあります。
点滴とは、『ポタポタ垂れる液体』のことで、一般的には『静脈点滴』のことをいいます。
皮下補液は短時間に一気に液体を入れるので、厳密には『点滴』ではありませんが、飼い主様に分かりやすく伝えるために『点滴』と言ったりもします。
皮下補液は、静脈点滴と違って入院せずすぐにできる方法なので、動物医療ではよく用います。
液体はすぐには吸収されず、半日から1日ほどかけてゆっくりと吸収されます。
皮下補液の効果
皮下補液をすると血液の循環がよくなるため、
- 腎臓の数値が下がる
- ミネラルバランスが整う
- 脱水の改善
- 食欲が出る
といった様々な効果があります。
また、吐いてしまっているときには、絶食にして胃腸を休める必要があるため、皮下補液がとても役立ちます。
皮下補液のやり方
皮下補液のやり方は5ステップで簡単に行うことができます。
- 輸液バッグを電子レンジで人肌程度に温める
- 注射器に針をくっつけて、温めた輸液バッグから、指示された量を吸う
- 針を翼状針に付け替える
- ネコちゃんの皮膚を消毒して、翼状針を刺す
- ネコちゃんが飽きないうちに、なるべく速く注入する
基本の手順はこんな感じです。
ただ、ノロノロやっていると、用意している段階でネコちゃんが感づいて逃げちゃうので、しれっとササっとやるのがポイントです。
猫の皮下補液についてよくある質問まとめ
皮下補液についてよくある質問をまとめました。
点滴をしたら、おなかや前足が腫れている!?
点滴をしてもらって帰ってきたら、
「おなかや横っ腹が腫れている!」
「前足が太くなっている!」
といったことはよく起こります。
こんな感じ。▼
この理由は、『液体が重力で下に落ちたから』で、正常のことです。
動物の皮膚の下は空洞になっているため、点滴が重力にともなっておなかや足の方に落ちるためです。
「大丈夫かな…」と不安になってしまうと思いますが、心配しなくてOKです。
ただし、前足や後ろ足含めて体全体が膨らんでいる(むくんでいる)場合には、循環が悪くなっていることもあるので、主治医の先生にご確認ください。
点滴の吸収時間は?今回はだいぶ残っています…
皮下補液は、半日から1日くらいかけてゆっくり吸収されます。
その日の体調によっても吸収スピードは変わるので、「前はすぐになくなったのに、今日はポコッと残っている…」と思っても心配がないことが多いです。
いつもは嫌がらないのに、今日はとても嫌がった!
自宅で点滴をする場合に、「今日はすごく痛がった!嫌がった!」ということはあると思います。
これは、注射針が神経に当たったからだと思われます。
でも、神経に当てないように注射針を刺すことは100%できないので(獣医師でもできません!)、そのときの運がちょっと悪かったということになります。
貫通しちゃいました…
針が皮膚を貫通してしまい、液体が漏れてしまうこともありますよね。
特に、痩せている子やシニア猫さんの皮膚は薄いので、針が皮膚を突き抜いてしまう傾向にあります。
でも、全くあせらなくて大丈夫です!
漏れちゃった場合は、慌てずに抜き、再度刺し直せばいいだけです。
1,2度の刺し直しなら、針も新しいものに変えず、そのままで大丈夫です。
自分の指に刺してしまいました…
貫通してしまうことと同じくらい、自分の指に注射針を刺してしまうことは多いです。
意外と獣医師でもあります…
血が出てしまった場合には、慌てず、よく流水で洗えば大丈夫です。
自分の手当てをしてから、再度チャレンジしてみましょう。
一人では難しいです…
皮下補液を一人でするのは、最初のうちは難しいです。
誰か猫を抑える人がいれば簡単ですが、一人の場合は、
- 床に座って、自分の股に猫をはさむ
- 片手で猫を抑えて、片手で注射器を押す
- キャリーや狭い箱に入れて行う
などといったスピードとワザが必要となります。
慣れてくればできますが、難しい場合には、無理せず動物病院でやってもらうようにしましょう。
空気が入っちゃいました…
皮下補液の場合には、多少の空気が入っても問題ないです。
一方で、動物病院で行う静脈注射(血管注射)の場合には、空気が入ってはダメです。
ただし、静脈注射は基本的には自宅ではやらない治療なので、飼い主様は考えなくて大丈夫です。
点滴の量が多すぎ!?
皮下補液は、飼い主様の想像よりも多くの量を点滴します。
「こんなに一気に入れても大丈夫なの!?」と思うかもしれませんが、問題ありません。
ただし、心臓が悪かったり、尿がうまく出ない状態のときに、量が多すぎると苦しくなってしまうことがあります。
皮下補液をしていて不安なことがあった場合には、主治医の先生に確認するようにしましょう。
皮下補液には栄養が入っているの?
皮下補液に使う液体には、栄養(糖分)は入っていません。
そのため、皮下補液をしても栄養を補うことはできません。
ただし、「点滴をしたので、今日は食べなくても大丈夫です。」といった表現をする場合は多いと思います。
厳密には糖分が入っていないのでエネルギーにはなりませんが、ミネラルが多く入っているので、脱水補給や循環をよくしたりする役割は大いにあります。
皮下補液はストレス!?いえいえそんなことはありません
皮下補液は、針をさしたり抑えたり…猫にとってストレスなのでは?と感じる方も多いですが、全くそんなことはありません。
むしろ、皮下補液をした後に体が楽になるため、皮下補液の時間になると寄ってくるネコちゃんもいます。
注射器がかたくて押せません!
注射器がかたくて押せない場合には、針が皮下に入っていない可能性もあります。
針が皮膚の中や筋肉に刺さっている可能性もあるので、「なんか今日はすごく力がいるな…」「今日は猫が嫌がるな…」と思う場合には、一度針を抜いて刺しなおしてみましょう。
今日はうまくできません!
猫が動く、点滴が入らない…など、うまくできない日は、潔く諦めることも重要です。
何度も何度もやり直すと逆にできなくなったり、猫もイライラしてきます。
時間をあらためたり、お休みすることも検討しましょう。
費用はどれくらいしますか?
すみません…主治医の先生にご確認ください。
一般的には、動物病院で皮下補液を行う場合には、1回あたり3,000円前後になると思います。
ただ、自宅で行う場合には、まとめて購入してもらうために、もっと安くなる傾向にあります。
【まとめ】猫の点滴・皮下補液の効果や自宅での方法、吸収時間を解説!
猫の皮下補液には、循環をよくしたり、ミネラルバランスを整えたり、と様々な効果があります。
皮下補液で入れた液体は、半日から1日くらいかけてゆっくりと吸収されます。
腎臓が悪かったり、食欲不振が続く場合には、自宅で皮下補液をすることもあると思います。
無理なく、だけどちょっと頑張って、皮下補液をマスターしましょう!