「犬の涙やけの改善方法を教えてください!」
「目の下の毛が茶色いんですけど、原因は何ですか?」
「涙やけって食事で改善できるって聞いたけど…」
犬の涙やけについて、不安や疑問がある飼い主様は多くいらっしゃいます。
■本記事の内容
- 犬の涙やけの3つの原因
- 涙やけでみられる症状
- 涙やけの治療法と対策
愛犬の目の下の毛が茶色い…、くさくてかゆがっている…という方は、解決策をお伝えしているので、ぜひ読んでみてください。
目次
犬の涙やけとは?目の下が茶色くなる3つの原因
犬の涙やけとは、目の下の毛が赤茶色に変色している(焼けてしまった)状態です。
獣医学的には、『流涙症(りゅうるいしょう)』と言います。
マルチーズやシーズー、チワワなどの眼が大きい小型犬種で多く見られる傾向にあります。
パグやフレンチブルドックなどの短頭種(鼻ぺちゃ犬種)においても、しわしわな皮膚が目に当たってしまうことが多く、涙やけを生じやすいです。
また、柴犬やウェストハイランド・ホワイトテリアなどアレルギー体質の子においても、しばしばみられます。
特に白い毛の犬種は、茶色くなった毛がとても目立つため、飼い主様が気にされることが多いです。
この涙やけの原因ですが、
- 涙量が多い
- 涙が鼻にうまく抜けない
- 目の表面に涙を保持できない
といったことが考えられます。
そもそも涙は、必要な分だけ涙腺で作られ、眼の表面を潤したのち、涙点から鼻涙管を通って鼻に抜け、のどに流れていきます。
この経路のどこかに異常があると、涙やけが発生してしまいます。
涙量が多い
涙の量が多くなることで、目からあふれてしまい、涙やけを起こしてしまいます。
涙が多くなる理由としては、
- 目に感染や炎症が起きている
- 逆さまつ毛やゴミなど異物がが入っている
- 腫瘍がある
- まぶたが内反している
などが考えられます。
これらが目にとって刺激となり、涙が多く生じます。
また、もともと目が大きい犬種では、涙量自体がそもそも多いです。
涙が鼻にうまく抜けない
涙は涙腺で作られ、涙点から鼻涙管を通って鼻へと流れます。
そのため、涙点という涙を引き込む部分がつまっていたり、鼻涙管が狭かったりする場合には、涙があふれて涙やけが生じます。
目の表面に涙を保持できない
まぶたにはマイボーム腺という脂分をつくる分泌腺があります。
そこから出るしっとした成分によって、涙は目の表面に保持できるようになっています。
何らかの異常によって分泌機能が落ちてしまうと、目の表面に涙が保持できなくなります。
また、毛が目の表面に接触していて、毛を伝って涙が眼の外に流れてしまっていることもしばしばあります。
涙やけのときにみられる症状
目の下が濡れていたり、毛の色が変色しているのみならば、濡れコットンやタオルなどで、きれいにしてあげれば大丈夫です。
ただし、毛の下の皮膚まで炎症を起こしていることも多く、この場合には、治療が必要となります。
涙やけと同時にみられる症状として、
- 目が赤い
- しょぼついている、目が開かない
- 痛みやかゆみ
- においがする
- 目の周りの腫れ
- どろっとした目やに
などがあります。
愛犬が手で顔をこすっていたり、床に顔面をこすりつける場合には、目が炎症を起こしている可能性もあります。
また、こすることで、目に傷がついてしまうこともあります。
犬の涙やけがあるときに行う検査
涙やけの原因をつきとめることは大切です。
動物病院では様々な目の検査をして、原因を見つけます。
- 問診、触診、視覚検査
- 涙液量検査
- 眼圧測定
- 涙液層破壊時間検査
- フルオレセイン染色検査
- 細胞診
- 微生物培養検査
- 眼底検査
- 超音波検査
- 各種アレルギー検査
犬の涙やけの対処法~食事やケア方法
犬の涙やけの対策は以下でお伝えしますが、基本的には、濡れたコットンやタオルなどで、常にきれいにしてあげることが大切です。
涙やけ対策用のクリーナーも売っていますが、ぬるま湯でふき取ってあげれば十分です。
一気にやると嫌がる子も多いので、毎日少しずつケアをしてあげましょう。
動物病院での鼻涙管洗浄
子犬の場合には、鼻涙管がもともと狭い子も多く、動物病院での麻酔下の処置で、鼻涙管洗浄を行います。
細い管を目の涙点から挿入し、開通するまで生理食塩水で何度も洗浄を行います。
避妊手術といっしょに鼻涙管洗浄を行った子です。▼
開通すると鼻から洗浄液が出るようになります。
異物やまつ毛、腫瘍の除去
異物や逆さまつ毛が目の中に入っているために、涙やけが生じている子もいます。
その場合には、それをとってあげて対応します。
基本的には無麻酔で処置ができますが、あばれる子の場合には、鎮静剤を使うこともあります。
通常生えないところに生えているまつげや毛については、麻酔をかけて毛根ごと切除するようになります。
目の下の毛が目に入り込んでいることも多く、定期的にカットするようにしましょう。
まぶたが内反(目の中に入り込んでいる)している場合や腫瘍があるときには、程度にもよりますが、手術を行うようになります。
食事の変更
現時点で涙やけと食事の種類の関連は、明確にはなっていません。
ただ、食事を変更することによって、涙やけが改善することは、しばしば経験をします。
一般的には、
- よい脂を使っている食事を選ぶ
- 皮膚ケア用の療法食を用いる
- おやつをあげない
などして対応することが多いです。
よい脂を使っているドッグフードを見極めるのは難しいですが、ある程度高価な食事の方がその傾向はあります。
サプリメントを使用する
涙やけ対策のサプリメントを使用する場合もあります。
サプリメントに獣医学的な根拠はありませんが、上記でお伝えした方法と合わせて、あくまでサプリメントとして使用してみるといいでしょう
目を温める
涙中の脂分が不足しているときには、目を温めてあげる方法がおすすめです。
マイボーム腺のつまりをとってあげることが目的で、温かいタオルやアイマスクなどで目を温めてあげます。
アレルギーがある場合
何に対してアレルギーを示しているのかを調べることで対応します。
犬のアレルギー検査については、こちらを参考にしてください。
また、食物アレルギーが疑われる場合は、さらなる検査が必要です。
【まとめ】犬の涙やけの3つの原因や症状、食事・ケア方法など対策を獣医師が解説!
犬の涙やけの原因は、
- 涙量が多い
- 涙が鼻にうまく抜けない
- 目の表面に涙を保持できない
といったことが考えられます。
もともとだから…と治療をあきらめている方も多いですが、場合によっては改善することもよくあります。
単純に目の下が茶色くなってしまうだけなら美容上の問題なので、無処置で経過をみることもあります。
愛犬の涙やけがある場合には、一度動物病院を受診するようにしましょう!