「犬がくしゃみしているけど、花粉症かな?」
「犬や猫も花粉症になるの?」
「どういった症状が出て、対策はどうすればいいの?」
など、犬や猫の花粉症について疑問に思われている飼い主様は多いです。
先日以下のツイートをしました。▼
✅犬や猫も花粉症になる
犬は全身性の痒み、猫はぜんそくなど呼吸器症状がみられることが多い。
・花粉の飛ぶ時間(午前や夕方)に散歩しない
・服を着せて散歩
・帰ったら濡れタオルで拭く;特に足・顔・お腹
・ブラッシングをこまめに
・空気清浄機を使う
・帰宅時や洗濯物により花粉を持ち込まない pic.twitter.com/bxCCvHYgei— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) March 11, 2021
犬や猫も花粉症になる
犬は全身性の痒み、猫はぜんそくなど呼吸器症状がみられることが多い。
・花粉の飛ぶ時間(午前や夕方)に散歩しない
・服を着せて散歩
・帰ったら濡れタオルで拭く;特に足・顔・お腹
・ブラッシングをこまめに
・空気清浄機を使う
・帰宅時や洗濯物により花粉を持ち込まない
■本記事の内容
- 犬や猫も花粉症になるの?
- 花粉症の症状って人と同じ?
- 具体的な対策法!~快適に過ごす方法
春頃から夏にかけての愛犬・愛猫のくしゃみや鼻水、痒み…などに悩んでいる飼い主さんは、是非読んでみてくださいね。
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目次
犬や猫も花粉症になる!
春になると鼻がムズムズ、くしゃみ連発…花粉症持ちの方にはつらい季節ですよね。
この花粉症ですが、犬や猫もなります!
くしゃみしたり鼻水が出たり…といった症状の他にも、以下で説明する「人とはちょっと違った症状」も出るのが特徴です。
犬や猫はあまり外に出ないため、花粉症にはならなさそうな気もしますが、犬の場合はお散歩に行きますし、お出かけしていた飼い主様の服に付着して花粉が家に持ち込まれることもあるので、犬猫でも花粉症になることはあるのです。
ただ、人のように1~2割程度が花粉症というほどではなく、ペットにおいては多い病気ではありません。
花粉症のメカニズム
花粉症は、花粉が原因で生じるアレルギー反応のことです。
通常は害のない花粉に対して、体が異常に反応してしまうことで様々な症状を生じます。
【そのメカニズムはこんな感じ▼】
花粉が鼻腔内の粘膜や皮膚にくっつくと、体内でIgEという抗体が作られます。
その抗体は、「肥満細胞(マスト細胞)」という細胞にくっついており、再び花粉が体内に侵入して抗体にくっつくと、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギーを引き起こす物質が放出されます。
通常は、食べ物や花粉など体に害を与えない物質には抗体は作られませんが、「有害な物質だ!」と体が過剰に反応してしまうと、アレルギー特有の症状が現れます。
ユリの花の様な大きい粘り気のある花粉は、花粉症の原因とはなりません。
非常に小さくて軽い花粉(ブタクサ、スギ、ヒノキ…など)が原因となります。
花粉症の症状は犬と猫で異なる
人における花粉症の症状は、
- くしゃみや鼻水など鼻の症状
- 涙、充血、目やになど目の症状
- 咳
などが多いですが、犬や猫でもこの症状はみられます。
通年ではなく、春先から夏頃のみ生じるなど「季節性がある」のが特徴です。
こういった症状に加えて、犬猫それぞれでちょっと違った症状も現れます。
以下で分けて説明していきますね。
犬の花粉症の症状は「かゆみ」
犬の花粉症の症状は、強い痒みが特徴です。
- 体をしきりに掻く
- 手足を舐める
- 顔を床や壁にこする
- 口や目周りが赤くなる
- 脱毛
などの皮膚の症状がみられます。
特にアトピー性皮膚炎の犬において、その症状が顕著となります。
猫は喘息など呼吸器症状
猫においては、花粉が原因で「喘息(ぜんそく)」となってしまうこともあります。
- 発作の様な咳がでる
- ひゅーひゅー呼吸音がする
- 呼吸が速い
- 苦しそう…
など様々な症状がみられ、すぐに治療しないと死んでしまうこともある怖い病気です。
血中IgEを測定して診断~他疾患の除外も大切
犬や猫が花粉症なのかどうかは、血液中のIgEを測定して診断します。
スペクトラムラボジャパン株式会社様の場合、92種類のアレルゲン(ブタクサ、ニホンスギ、食物やカビなど)を検査することが可能です。
ただし、仮に陽性と出たとしても、必ずしもそれが原因となって症状が出ているとは限りません。
また、「IgE量が高い=症状が強い」というわけでもありません。
IgEの量とアレルギー症状の相関
SPOT TESTに代表される血液検査はアレルゲン特異的IgEの有無を検出しております。
アレルギー症状を呈する動物と無症状の動物を比較した場合、検出されたIgEの数と症状には相関性が必ずしも認められないこともあります。
それでは何のための血液検査かという事になりますが、「今、その動物の体がどのようなものを異物と認識してIgEを産生しているかを検査し、それに対処する事」を目的としております。
また、アレルギーの発症にはIgEの他に環境因子なども大きく関係していて、何が引き金になっているかなど未だその正確なメカニズムは解明されておりません。臨床的な判断を十分に加味し対処してくことが大切です。
また、他の疾患を除外することも重要です。
つまり、鼻水やくしゃみなどの呼吸器症状や皮膚のかゆみなどは、感染症や腫瘍など他の原因によることもあり、これを除外することは極めて大切です。
花粉対策をして快適に過ごそう
犬と猫の花粉症の対策は、「花粉に触れ合わないこと」が一番大切です。
- 服を着せて散歩に出かけ、なるべく草むらに入らない
- 花粉の飛散が少ない時間(早朝、午後、夜)に散歩に行く
- 花粉情報を参考にする
- 皮膚保護服を着せて散歩する
- 散歩から帰ったら、体を濡れタオルで拭く(特に顔・足・お腹)
- 花粉除去ができる空気清浄機を用いる
- 飼い主様の帰宅時も、服をはたいてから入る
- 飼い主様も花粉の付きづらい洋服でお出かけする
- 洗濯物もきちんとはたく(室内干しも考慮)
- 適度にブラッシングして花粉を落とす
- シャンプーや療法食を用いる
薬による治療
人と同様に、アレルギーを抑える薬を飲む(塗る)ことで治療することも多いです。
- 抗ヒスタミン薬
- 抗ロイコトリエン薬
- ステロイド
などで治療をしていきます。
また、呼吸器症状に対しては、ネブライザー(噴霧療法)で治療する場合もあります。
全身投与と異なり、病変部に直接的に薬剤が作用するため、副作用の心配も少なく効果的な方法です。
減感作療法【症状を抑えるのではなく「治す」治療法】
減感作療法とは、アレルギーの原因物質(抗原)を少しずつ体に入れることで、体を抗原に慣らすという治療法です。
抗原を特定したら、オーダーメイドで治療薬(注射薬or舌下スプレーor点鼻薬)を作ってもらいます(米国にて)。
治療効果が7割程度と高いものの、治療期間が長いことや通院回数が多いといったデメリットがありました。
最近では、チリダニ(ハウスダスト)が原因のアレルギーでアトピー性皮膚炎になっている犬については、アレルミューン®HDM 0.1/0.5/1/2/5/10という「日本唯一の犬用として認可された減感作療法薬」にて効果的な治療を行うことが可能です。
その効果は、海外でも証明されております。▼
減感作療法には即効性がなく、早くても数週間、多くの場合は効果が見られるまでに数か月かかります。
リスクとして注意すべき点は、アナフィラキシーショックと呼ばれる急性の副作用です。
発現率は非常に少ないですが、減感作療法の初日は入院することで経過をみていく動物病院もあります。
【まとめ】犬と猫の花粉症~症状や対策法
犬や猫も人と症状は違えど、花粉症になります。
「毎年ある時期に変な症状が出るな…」という場合には、体が花粉に反応している可能性もあります。
動物病院で検査を受けて、環境改善や薬によって改善することが可能です。
春はワクワクする季節。
しっかり対策をして、快適な生活を送りましょう!