「猫の真菌症って何?」
「カビって言われたけど、どうやって飼っていけばいいのかな?」
「真菌って人にもうつるの?」
など、猫が真菌(皮膚糸状菌)に感染してしまったら、どうやって過ごせばいいのか不安ですよね。
この記事では、猫の真菌(皮膚糸状菌)症について、
- どんな病気なの?
- うつる病気なの?
- 治療法や自宅での対処法を教えて!
などを解説するとともに、皮膚糸状菌の予防方法もお伝えいたします。
目次
猫の真菌症とは「カビ」が原因の病気のひとつ
猫の真菌症とは「カビ」が原因で起こる病気です。
カビが原因で起こる病気には、
- 皮膚糸状菌症
- クリプトコックス症
- カンジタ症
- ヒトプラズマ症
などがありますが、この記事では猫でよくある皮膚の病気「皮膚糸状菌症」について解説いたします。
皮膚糸状菌は人間にうつる真菌(カビ)
猫の皮膚糸状菌症は、人獣共通感染症といって人にうつる病気です。
皮膚糸状菌は毛のケラチンに感染し、増殖するカビです。
そのうちのMicrosporum.canis(犬小胞子菌)という真菌が原因の多くを占めます。
一般的には、ある程度免疫力がある場合には感染しませんが、
- 子猫やシニア猫など免疫力が弱い子
- 何かしらの病気で弱っている子
- 長毛種(ペルシャなど長毛種で好発)
などの場合は感染して症状が出ることが多いです。
症状はかさぶたを伴う皮膚症状
皮膚糸状菌による皮膚症状は、かさぶたを伴う脱毛がみられることが多いです。
- 頭部
- 足まわり
などに主に発生しますが、腹部や背部に生じる事もあります。
人の場合は、「リングワーム」という皮膚に赤い円形の皮膚炎が起きることが特徴です。▼
また強い痒みを生じる事もあります。
抜毛検査により診断
皮膚糸状菌症は、毛を抜いて顕微鏡で観察することで診断できます。
診断が難しい場合には、特殊な培地で培養して診断することもあります。
また、ウッド灯という特殊な光を用いた検査が診断の補助となる事もあります。
猫の真菌症の治療法【シャンプーと隔離が大事!】
猫の真菌症の治療法は、
- シャンプー療法
- 塗り薬
- 飲み薬
による治療とともに、隔離をすることが非常に大切です。
以下でそれぞれ説明していきますね。
あわせて、皮膚保護服を着ることで、被毛の飛び散りを防ぐことも可能です。
シャンプー療法【頻度は週1~2回】
皮膚糸状菌症には、抗真菌作用があるシャンプー(マラセブなど)が有効です。
週に1~2回程度のシャンプーを行うようにしましょう。
シャンプーを行う際のポイントとして「擦り込んで洗うこと」が極めて重要です。
また、シャンプーを擦りこんだ状態で5~10分「漬け置き」することも重要です。
ただ、猫の場合はシャンプーが苦手なことが多く、
嫌がる場合は行わない、中止すること
が極めて重要です。
また、皮膚糸状菌は毛に感染するので、毛刈りをすることも重要です。
ただし注意点もあって、
- 毛刈りした毛が環境に飛び散らないようにすること
- 特に子猫やシニア猫は、毛刈り後の体温低下に注意
するようにしましょう。
塗り薬による治療
症状が一部の場合には、抗真菌作用のある塗り薬を使用することもあります。
- ケトコナゾール
- テルビナフィン塩酸塩
などの塗り薬を使用します。
飲み薬による治療
抗真菌薬を飲むことで治療する場合も多いです。
飲み薬での治療は最も効果が高いですが、投与が長期(8~12週程度)に渡るので、副作用が出る場合もあります。
皮膚糸状菌症で使用するイトラコナゾールという薬は肝臓で分解されるため、肝臓に副作用が出ることがあります。
投与前や投与中には血液検査をして、副作用が出ていないかをチェックします。
また、下痢や嘔吐などを生じる場合もあります。
部屋の消毒、掃除も重要!
皮膚糸状菌は毛にたくさんついているので、掃除をすることが極めて重要です。
- 部屋のすみっこ
- カーペットや寝具
- エアコンのフィルター
など隅から隅まで掃除をする必要があります。
その際、掃除機によって毛が舞い散らないように、コロコロや水拭きなどがおすすめです。
猫の真菌症の予後と経過
猫の真菌症は、基本的には命に関わる病気ではありません。
ただ、真菌が完全にいなくなるまでは数か月かかることもあるので、定期的な検査(抜毛検査や血液検査)が必要となります。
猫の真菌症の予防法
猫の真菌症(皮膚糸状菌症)は、子猫として家に来た時点ですでに感染していることが多いです。
また、外に出る猫の場合は、真菌に感染している猫と接触することでうつってしまいます。
そのため感染自体を予防することは難しいかもしれませんが、
- 多頭飼いの場合は他の猫と会わせない
- ブラシやベッドなどは猫それぞれ別のものを使用する
- 部屋の掃除を徹底する
ことで被害を少なくすることは可能です。
【まとめ】猫の真菌症は人にうつるカビ!症状や自宅での衛生管理を徹底解説!
猫の真菌症(皮膚糸状菌症)は人にも感染するカビです。
シャンプーや投薬での治療を行いますが、治療期間が長期にわたる事もあります。
症状や血液検査をしながら、経過をよく見ていく必要があります。
それと同時に室内をきれいに保つ(毛の始末をしっかりする)必要があります。