腎臓や膀胱など排尿に関わる器官、子宮や卵巣、精巣や前立腺などの生殖器についての病気を診療します。腎不全や尿路結石は非常に多く、中にはおしっこが出ないなど緊急性があることも多々あります。

生殖器の病気の中でも、犬の子宮蓄膿症は未避妊犬の多くがなる病気で、命に関わることもあります。ペットの異常に気付いたら、すぐにご相談ください。

こんな症状は
ありませんか?
  • おしっこが出ない
  • 何度もトイレに行く
  • おしっこに血が混ざる
  • 排尿痛がある
  • 粗相するようになった
  • 水をすごく飲む
  • おしっこの量が多くなった
  • 陰部から膿が出ている
  • 陰部をよくなめる、気にする
  • おしっこがキラキラしている
  • 元気や食欲がない
  • 吐く
  • 便が出づらい
  • やせてきた
どんな検査をするの?
問診・触診

排尿の様子や回数、被毛や脱水の有無など全身状態の確認をします。腹部を触診し、腎臓や膀胱の形態や大きさも確認します。

尿検査

尿検査は、腎臓泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の状態を調べるために欠かせない検査です。自然排尿、カテーテルや膀胱穿刺にて尿を採取して行います。

  • 試験紙で、糖やPH、タンパクなどの一般検査
  • 比重計で尿の濃さ
  • 顕微鏡を用いて結晶や炎症・腫瘍細胞の有無

などの確認をしていきます。

血液検査

血液中の尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cre)値、電解質などの変化を確認します。SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は、クレアチニンよりも早期に腎臓病の発見ができる重要な検査項目です。

画像検査(レントゲン検査・超音波検査など)

レントゲン検査

腎臓や膀胱の大きさや形態、結石の有無などを確認します。

超音波検査

腎臓や膀胱の内部を確認することができます。腎臓や膀胱の形態や結石の大きさや位置、腫瘍の有無などの確認をします。また、尿管や尿道、生殖器の評価も可能です。

尿路造影検査

静脈性尿路造影

静脈から造影剤を投与して、造影剤の尿中への排泄時間を確認する方法です。腎臓や尿管の構造、結石の尿路への影響などの評価を行うことができます。

逆行性尿路造影

陰部(尿道)から造影剤を投与する方法で、尿路の狭窄や損傷の有無、膀胱の奇形や腫瘤などを観察できます。

血圧測定

高血圧になっていないかを確認します。慢性腎不全の犬の60%、猫の20~60%の症例で高血圧と言われています。

どんな病気があるの?
尿管結石(SUBシステム)

腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に貯められます。猫の尿管は非常に細いため、尿管に石や炎症物質が詰まってしまうと、腎臓で作られた尿が膀胱に行くことができず、老廃物が体に貯まってしまいます。腎臓や尿管は体に2つあるので、片方のみが詰まった場合には症状は出ませんが、両方同時に詰まったり、片方の腎臓の機能がすでに落ちていた場合などに、一気に症状が出ます。

吐いたり、元気や食欲が低下したり、場合によっては痙攣など、様々な症状を引き起こします。特に猫では、膀胱や尿管、尿道に石ができやすく(詰まりやすく)、緊急の処置や手術が必要となる場合があります。レントゲン検査や超音波検査、造影検査などで石や炎症物質が詰まっている部位を確認し、外科的処置を行います。

尿路結石症

尿路結石症とは、腎臓から尿道にかけての尿路に結石ができる病気です。体質や食事、感染や炎症などが複雑に絡み合って結石は生じます。

結石の種類は、

  • ストルバイト
  • シュウ酸カルシウム

がほとんどで(約9割)、治療法は結石の種類によって異なります。結石の有無を診断することは簡単ですが、結石のミネラル成分(結石の種類)を特定するのは難しい場合もあり、外科的な摘出により確定することもあります。

ストルバイトの場合は食事療法で溶けることが多いので、療法食を用いて治療します。一方でシュウ酸カルシウムは溶けない結石なので、外科手術で対応します。いずれの場合も、再発防止に努めることが重要で、食事や飲水に関して適切な環境を整える必要があります。

尿道閉塞

尿道(おしっこの出口)に結石や炎症産物が詰まってしまって、排尿ができなくなる緊急疾患です。完全に閉塞してしまうと、時間経過とともに腎機能が障害されます。最悪の場合、急性腎不全や膀胱・尿道の破裂を生じ、尿毒症へと進行して死に至ることもあります。

排尿ができないことにより、

  • 何度もトイレに行く
  • 嘔吐や食欲不振
  • 変な声で鳴く

などの症状が出て、次第にぐったりしていきます。治療は場合によっては鎮静下で行い、尿道カテーテルや生理食塩水を用いて、尿道の詰まりを解除します。膀胱内にカテーテル挿入ができ、尿路が確保されたら点滴治療を行います。これらの治療により改善が得られた場合でも、再発防止のため食事や飲水などの環境を整える必要があります。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、子宮の中に膿が貯まる病気で、中年齢の未避妊メス犬によくみられる病気です。発情出血開始後1~2か月の頃に発症することが多く、黄体ホルモンが関係しています。

ほとんどの症例では外科療法(卵巣子宮摘出術)によりすみやかな術後の回復を認めます。内科療法で治療する場合もありますが、再発する場合が多いので(0~48%)、動物の状態が麻酔をかけられないほどの重篤な場合でなければ外科手術が推奨されます。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は腎臓の障害がゆっくりと進行し、腎機能が半分以上失われてはじめて症状が出ます。猫のほうが犬に比べて腎臓病にかかる割合は多いです。

治療をしても腎機能は回復しないので、治療の目的は出ている症状を抑えて、少しでも病気の進行を遅らせることです。完治する疾患ではないですが、早期発見で適切なケアを行うことにより、多くの症例で長期的な予後が見込めます。