「昨日家に来た子猫が、元気だけどエサを食べないです…」
「わがままなのか、最近食べムラがあります…」
「おやつは食べるけど、エサはあまり食べない…」
など、猫がエサを食べないということはよくあります。
先日、以下のツイートをしました。▼
猫は温かい食事を好みます😺
理由はネズミなど小動物を捕まえてその場で食べていたから。
またエサを投げたり、隠したりしても狩猟本能で食欲が出ることも。
ネオフィリアという新しいものを好むという特性もある。
食欲がないときは
・温める
・遊びながらあげる
・餌の種類を変える
などして対応😊— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) March 18, 2021
猫は温かい食事を好みます。
理由はネズミなど小動物を捕まえてその場で食べていたから。
またエサを投げたり、隠したりしても狩猟本能で食欲が出ることも。
ネオフィリアという新しいものを好むという特性もある。
食欲がないときは
・温める
・遊びながらあげる
・餌の種類を変える
などして対応
■本記事の内容
- 猫が餌を食べない理由【わがままなのか、病気なのか】
- 何日まで様子をみていいのか
- おいしく食べてもらう10つの方法
愛猫の食欲がない…というときには、是非読んでみてください。
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目次
愛猫がエサを食べない6つの理由
猫がエサを食べない理由は、「偏食(わがまま)」 もしくは「病気のため」です。
偏食(わがまま)の場合、
- エサに飽きた、エサが古くなっている
- 他に美味しいものが出てくるのを待っている
- おやつでおなかいっぱい
- 食に興味がない
- エサより遊びたい
- 何かしらのストレスがある
などの可能性があります。
以下で分けて説明していきますね。
①エサに飽きた、エサが古くなっている
エサは開封したときから、酸化が始まり、風味が落ちてしまします。
あけたてのときは食べたのに徐々に食べなくなってきた…という場合は、この可能性もあります。
猫はにおいによって食事を判断しているため、小分けタイプの食事を用意したり、きちんと密封する必要があります。
猫は味を感じる舌にある「味蕾(みらい)」が人間の1/10程度しかありません(人:約9000個、猫:約780個)。
そのため、食事の味は主に「におい」で感じ取っています。
嗅覚は人の20~30万倍発達していると言われています(嗅上皮の面積:人→約4平方センチ、猫→約40平方センチ)。
約500m先の獲物のにおいが認識できるレベルです。
②他に美味しいものが出てくるのを待っている
エサを食べなければ、もっと美味しいものが出てくると知っている子もいます。
かつお節や煮干しをトッピングしたときの味を覚えていて、
「エサを食べなければ違うのが出てくる!」と思っています。
③おやつでおなかいっぱい
コレ、すごくよくあります。
ご飯を食べないから、おやつをあげる飼い主様は多いです。
おやつは小さくてもカロリーが高いものが多いので、それによって食事を食べないということはよくあります。
④食に興味がない
もともと食が細い子もいます。
まずは、いろんなドライフードやウエットフードを試してみましょう。
⑤エサより遊びたい
特に子猫の時に多いです。
エサを食べている時間があったら、飼い主様とおもちゃで遊びたい!という子もいます。
存分に遊んであげれば、おなかがすいて食べるようになることが多いです。
家に来たばかりの子猫がエサを食べないときの対処法はコチラ▼
⑥何かしらのストレスがある
食事をする場所が嫌いになったり、器が嫌いで食べなくなることもあります。
食事内容や環境が突然変わったり、雷や暗闇・留守番が多いなど不安なことがあっても、食べなくなります。
ストレスになっている原因を考えて、取り除いてあげて下さい。
【猫の習性】ネオフィリアとネオフォビア
猫には、突然食べなくなるということがよくあります。
それには、
- ネオフィリア
- ネオフォビア
という2つの習性が関係しています。
ネオフィリアとは新しいものを好むことで、猫では特に顕著に現れます。
その理由は、いろいろなものを食べたほうが生存に有利と考えられているからで、異なった形状や食感のものを常に求めています。
猫はこのネオフィリアのために、突然今まで食べていたフードを食べなくなるということがよくあります。
一方で、ネオフォビアとは初めてのものを嫌うことで、ネオフィリアとは反対の現象です。
これは警戒心からくるもので、例えば一度合わないご飯を食べて吐いてしまったことがあると、以降新しいご飯を受け付けなくなることがあります。
偏食(わがまま)の猫にエサを食べさせるには?
猫は食については頑固なので、たとえ空腹であっても嫌いなものは頑として食べないという一面があります。
そんな猫に食べるようになってもらう方法はたくさんありますが、
- 体温程度に温める
- 手から与える
- ウエットフードをあげる
- 遊びながら(隠したり、転がしたりして)食べさせる
- いつもと違う場所であげてみる
- いつもと違う人があげてみる
- エサを変える
- トッピングをする
- ささみや胸肉などのゆで汁をかける
- おやつを完全にやめる
などがおすすめです。
分けて説明していきますね。
①体温程度に温める
猫は温かい食事を好みます。
というのも、猫は小動物を捕まえてその場で食べる動物です(新鮮肉食者)。
そのため冷たいものよりも、体温程度に温かくなったものを好む傾向にあります。
また、温めることで食事中のにおい分子がよく飛ぶので、鼻の粘膜を刺激して食べるようになることはよくあります。
ただし、温めすぎるとやけどしてしまうので注意しましょう。
猫は猫舌です!
②手から与える
飼い主様の手から直接あげると、興味を示して食べてくれる子もいます。
また、特に高齢の子では、首が痛くて下を向いて食べることに嫌悪感を覚え、食欲がなくなることがあります。
猫の口元に食事を持って行って食べる場合には、もしかしたら首が痛くて食べられていないのかもしれません。
食器台を使ったり、高さのあるフードボウルを使ってあげるといいかもしれません。
③ウエットフードをあげる
嗜好性においては、テクスチャー(食べ物の歯ざわり・舌ざわり・口当たり)も重要です。
テクスチャーは脂肪量と水分量で決まり、基本的には脂肪量と水分量が高い方が食欲が増す傾向にあります。
ただ、脂肪分が多ければ多いほど食欲が出るか?といえばそういうわけでもなく、脂肪含量が15%と45%とでは嗜好性に有意差がなかったと報告されています。
また、脂肪含量が10%であっても粉状の食事は好まないが、脂肪含量が0%でも水を加えて練るとよく食べます。
猫は脂肪含量が10%程度で、水分含量が60~70%程度の食事、要するにネズミの体組成に近いものをよく好むと言われています。
④遊びながら(隠したり、転がしたりして)食べさせる
猫は小動物を捕まえながら生活をしていたので、ドライフードを投げたり、隠したり…など狩りを模した食事方法を取り入れることで食欲がわくこともあります。
パズルフィーダーや知育玩具などを使って、狩猟感覚で食事を楽しんでもらうというのもおすすめです。
⑤いつもと違う場所であげてみる
これも猫の狩猟本能をくすぐります。
「あれ?今日はなんでこんなところにエサがあるのだろう?」
といういつもと違った体験から食事を食べるようになってくれる場合もあります。
⑥いつもと違う人があげてみる
いつもと違う人があげてみるのも効果があるかもしれません。
というのも、猫は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)という明け方や夕暮れ時に活発になる動物です。
なので、食事のタイミングを変えると、本来の性質に合った時間帯に食事をとることができ、食欲がわくことがあります。
例えば、ママが朝あげたごはんは食べないけど、学校から帰ってきた子供があげると食べるなんてこともあります。
食事のタイミングや誰があげたかなども関係するのかもしれませんね。
⑦エサを変える
単純ですが、上記で説明した「ネオフィリアとネオフォビア」の理由のため、様々な餌をあげるというのは重要です。
また、餌の販売が停止してしまったときや災害時、療法食を食べさせないといけないタイミングなどに、なんでも食べてくれる子の方が生存に有利です。
食事に強いこだわりがある猫用に「エクシジェント」という、うまみ・香り・食感・栄養面の全てを考慮した嗜好性の良いフードもおすすめです。▼
⑧トッピングをする
最近では、ふりかけタイプのトッピングが多く売られていますね。
そのにおいで食欲が増すこともあるので、試してみる価値はありそうです。
⑨ささみや胸肉などのゆで汁をかける
ゆで汁を少々えさにかけることで、肉のにおいがうつって食べてくれることもあります。
日本のネコにおいては肉よりも魚を好む傾向にあるので、かつお節や煮干しのダシでもいいかもしれません。
ただし、塩分が多くなってしまうのはNGなので、そこは気をつけるようにしましょう。
⑩おやつを完全にやめる
おやつばっかり食べていて食事を食べない場合には、おやつを一度抜いてみるのも方法です。
フードを食べないから→おやつをあげる→さらにフードを食べなくなる→そしてまたおやつ…
という悪循環になっている場合が多いです。
基本的にはおやつはカロリーが高いものが多いです。
おやつは一日に必要なカロリーの5%程度にとどめるようにしましょう。
病気で食欲がない場合もある
もちろん病気でエサを食べないこともあります。
この場合、エサを食べないだけでなく、
- 元気がない
- 下痢や嘔吐をしている
- おやつも食べない
- ずっと寝ている
など、他にも症状があることが多いです。
病気の治療をしないと食べるようにはなりません。
試しに、「大好きなおやつ」や「味が付いているもの」などを与えてみて、それにも興味がなければ病気の可能性があり、早めの受診をおすすめします。
猫は何日までエサを食べなくても大丈夫なの?
偏食(わがまま)で食べてない場合は、元気があって、排便排尿がしっかりあれば、数日様子をみてもいいでしょう。
わがままで食べない場合は、ある程度「根競べ」も必要です。
おやつや好きなものをホイホイ出すと、「食べなければ美味しいものが出てくる!」と覚えてしまいます。
病気で食べない場合(もしくはその可能性がある場合)は、すぐに動物病院に行きましょう。
【まとめ】猫が食べないときは、わがままか病気か見極めることが大事
偏食(わがまま)で食べてないのか、病気で食べてないのか、見極めが大切です。
わがままで食べてない場合は、ある程度の根競べも必要です。
食べてくれない場合は、ご紹介した方法をひとつずつ試してみてください!
【参考書籍】
- 左向敏紀他,臨床栄養学,interzoo,2015
- 今泉忠明,猫脳がわかる!,文春新書,2019