猫の高所落下症候群とは、猫が突然マンションなどの高いところから飛び降りてしまう病態のことです。
猫は運動能力が高いため、通常は少々の高さから飛び降りてもケガをしないです。
ただ、あまりにも高いところから飛び降りると、当然ながらケガをするだけでなく命を落としてしまうこともあります。
猫には高所落下症候群;キャットフライングシンドロームという、高所から飛び降りてしまう原因不明の病気があります。
基本的には、あまり高い場所に上ると怖くて動けなくなりますが、この病態だとマンションや家の2階から急に飛び降りてしまう事が…
窓を開けっぱにしない、油断しない事が大切です pic.twitter.com/9JEqLn8VqE
— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) July 26, 2021
猫には高所落下症候群;キャットフライングシンドロームという、高所から飛び降りてしまう原因不明の病気があります。
基本的には、あまり高い場所に上ると怖くて動けなくなりますが、この病態だとマンションや家の2階から急に飛び降りてしまう事が…
窓を開けっぱにしない、油断しない事が大切です
この記事では、猫の高所落下症候群の原因や3つの対策を解説しています。
「高所落下症候群ってなに?」「どういった対策をすればいいの?」という飼い主様は、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
猫の高所落下症候群の原因とは?
猫の高所落下症候群の原因は分かっていません。
- 高さを認識していなかった
- 鳥や虫などに気を取られていた
- 雨や汚れなどで滑った
といったことが考えられますが、理由は不明なのです。
ただ、若齢猫(平均年齢2.7歳)に多く見られるといった報告があるため、恐怖を感じていない、何かしらに興味を抱いて…といったことなのかもしれません。
ケガをするだけでなく、命を落とすことも
猫の高所落下症候群における障害としては、
- 胸部の外傷(症例の約90%)
- 頭部や四肢の外傷や骨折
- 肺挫傷(肺の打撲)
- 気胸(肺から空気がもれる)
- 脱臼
- ショック
などが報告されています。
ただ、生存率は思ったよりは高く、高所落下症候群の猫83匹で行ったある研究では、平均2.65階建てから転落してしまった猫の94.0%が生存していたようです。
また、飛び降りた階数と受傷率の関係については以下の報告があります。▼
落下した階数の落下速度と受傷率の関係について,5階からの落下の終末速度がプラトーに達し,総受傷数,胸部外傷,骨折の率が5-7階で最も高くなっており,それ以上階数が増すと逆 に減少すると報告されている。
いずれにしても、症例の約90%は胸に大きなダメージを受けているので、気をつけなければいけません。
猫の高所落下症候群~3つの方法でしっかり対策
猫は高いところからぴょーんと飛び降りて走り抜ける印象がありますが、高所からの落下や不意の転落を防ぐためにはしっかり対策をすることが重要です。
また、猫はある日突然飛び出してしまうことがあるということを肝に銘じておくことも大切。
そのためには、「いつものことだから~」と油断しないこと、避妊・去勢手術を受けさせておくことが重要です。
手術をすることで猫の行動範囲は狭くなりますし、窓から見える外猫の様子も気になりづらくなります。
以下で、今日からできる3つの対策をお伝えいたしますね。
①家具の配置を見直す
家の中でも落下事故が起きることはあります。
飼い主様の方に飛び乗ろうとして落ちてしまった…
タンスから転落してしまった…
いつもはそんなことないのに、その日の体調や何かに引っかかってしまったりということで事故は起こります。
特に、太っている子や子猫・シニア猫では、思った通りの動きができないこともあります。
家の中でも危険はいっぱいと認識し、家具の配置や猫にとって危険なものを取り除くようにしましょう。
②窓を開けっぱなしにしない
暑さや換気のために窓を開けっぱなしにしないことも大切。
網戸も簡単に開けてしまうので、テープなどで補強することも考えましょう。
また、家の中だけではかわいそう…という思いから、ベランダやバルコニーに出す方もいらっしゃいます。
厳重に囲いがしてあればいいですが(←坂上忍さんちのように)、そうでない場合には危ないのでやめましょう。
③脱走防止柵を設置する
いつもは大丈夫でも、玄関や窓からぴゅーんと飛び出してしまうことはよくあります。
「もっと安全対策をしておけばよかった…」と思う前に、猫用の脱走防止柵を設置しておくことも重要です。
うちでは『にゃんがーど』という脱走防止扉を使用しています😊▼
【まとめ】猫の高所落下症候群の原因や対策
猫の高所落下症候群の原因は分かってはいません。
そのため、飛び降りないようにするためには、人が対策をしてあげる必要があります。
窓を開けっぱなしにしない、脱走防止柵をつけるなどと同時に、室内においてもあまり高いところに行けないよう家具の配置を工夫をする必要があります。
【参考資料】
- 丸尾幸嗣,山下敦子,飼沼亨,小松哲郎,田中綾,山根義久,高所落下症候群(High-Rise Syndrome)による若齢猫の骨折の2例,獣医麻酔外科誌,第33巻,第1号,15-18(2002)
- Whitney, W. O. and Mehlhaff, C. J.(1987): High-rise syndrome in cats. J. Am.Vet. Med. Assoc. 191 : 1399-1403
- Bonner, S. Retiter, AM.Lewis, J.2012. Orofacial manifestations of high-rase syndrome in cats: a retrospective study of 84 cases.J Vet Dent. 2012 spring;29(1):10-8