「愛猫のよだれや口臭がひどいです…」
「シャリシャリ歯ぎしりをするけど、大丈夫かな…」
「全部抜歯と言われたけど、他に方法はないのかな…」
など猫の口内炎について、疑問や不安を持っている飼い主様は非常に多いです。
先日以下のツイートをしました。▼
【猫の口内炎の症状】
👉痛み
👉よだれ、出血
👉口臭
👉食べづらそう
👉柔らかい餌を好む
などが主な症状で、それに伴い元気・食欲の低下が見られます。
痛み止めや抗生剤では完治しないので、歯石除去や抜歯が必要です。
歯磨きが予防になりますが、無理な場合は大きめのカリカリをあげて予防😊#猫— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) January 10, 2021
【猫の口内炎の症状】
- 痛み
- よだれ、出血
- 口臭
- 食べづらそう
- 柔らかい餌を好む
などが主な症状で、それに伴い元気・食欲の低下が見られます。
痛み止めや抗生剤では完治しないので、歯石除去や抜歯が必要です。
歯磨きが予防になりますが、無理な場合は大きめのカリカリをあげて予防
■本記事の内容
- 猫の口内炎の原因とは?
- 猫の口内炎の症状~当てはまるものをcheck!
- 治療法と予防法7選~おすすめ自宅ケア
愛猫が口内炎かも…治療法には何があるんだろう…と思われる飼い主様は、是非読んでみてくださいね!
目次
口内炎は中高齢の猫でよくある病気
猫の口内炎は中高齢の猫では非常に多い病気です。
有病率は0.7~7.1%と報告によってまちまちですが、診察時によく遭遇する病気の一つです。
猫の口内炎の3つの原因
猫の口内炎の原因は大きく分けて、
- 歯周病
- 感染症
- 免疫力の低下
の3つがあり、これら原因が複雑に絡み合って発症していると言われています。
以下で分けて説明していきますね。
①歯周病
歯周病とは歯肉や歯槽骨など歯を支える部分の病気のことです。
2歳以上の80%以上の猫で何らかの歯周病の兆候が認められます。
猫の歯周病は、歯垢(プラーク)内の細菌と細菌が作る毒素が原因で発生します。
また、歯石(歯垢が硬くなったもの)によって、さらに歯垢が付きやすくなるといった悪循環になってしまいます。
歯周病が悪化すると歯を支える骨が溶けてしまったり、全身に菌が回って腎臓や肝臓などの臓器に悪影響を及ぼします。
②感染症
細菌やウイルス感染などが原因で口内炎になることもあります。
- 猫カリシウイルス感染症(猫カリシウイルス)
- 猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス)
- クラミジア
- マイコプラズマ
- パスツレラ
が代表的なウイルスや細菌です。
ワクチン接種で予防できるものもあるので、定期的なワクチン接種は有用と言えます。
③免疫力の低下
免疫力が低下する病気によって口内炎になってしまうこともあります。
具体的には、
- 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
- 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV、猫エイズ)
- 糖尿病
- 腎不全
などがあり、いずれも免疫力が低下してしまう事により口内炎を発症します。
また、猫の口内炎は「そもそも歯があること自体が原因」のこともあります。
猫の口内炎の症状は痛みや口臭などたくさん!
我々人間も口内炎になることはありますよね。
たった一つできるだけでも、めちゃめちゃ口が痛くて食欲は落ちてしまいますよね…
猫の場合、その口内炎が何個もできたり、広い範囲に炎症が及んでいたりと、物言えず過ごしているかと思うとつらいだろうな…と思ってしまいます。
猫の口内炎の症状はたくさんあります。
- 痛み
- よだれ、出血を伴う時もあり
- 口臭
- 歯ぐきが赤い、腫れている
- 食欲がない、元気がない
- 食べづらそう、こぼす
- 食事中に変な声で(ギャオギャオ、ワオワオ)鳴く
- 痛いので食事を途中でやめる
- よだれで顎や前足が汚れる
- 口が気になるので、手で口をこする
- 口が痛いので、毛づくろいをしなくなる
- 柔らかい食事を好む、カリカリを残す
- 痩せてくる
- 痛みでイラつき、性格がきつくなる
シャリシャリ歯ぎしりをするな…というので気づかれることも多いです。▼
猫が食事中にしゃりしゃり歯を鳴らすときは、
👉噛み合わせが悪い
👉歯の抜け変わり
👉口が痛い
が考えられます。病気でしゃりしゃり言うイメージがありますが、正常でもするときはあります😊
よだれや口臭など他の症状もあるなら注意⚠️#動物病院 #猫好きさんと繋がりたい
— トラまりも@まりも動物病院 (@toramarimo_blog) January 8, 2021
猫の口内炎の診断
猫の口の中を見れば「口内炎です!」と診断をつけることは容易ですが、何が原因で口内炎になっているのかを特定することは難しい場合があります。
そのため、血液検査や抗体検査などを行い、他の全身性疾患を除外していく必要があります。
また、レントゲン検査で歯の根っこや顎の骨の状況を観察していきます。
猫の口内炎の治療法と予防法7選【自宅ケアも解説】
猫の口内炎の治療法は、薬による内科療法と麻酔をかけて行う外科療法があります。
内科療法で経過を見て行くことが多いですが、完治させるためには抜歯が必要な場合が多いです。
また、治療と同時に予防を行っていくことも重要です。
- 薬
- 歯石除去+抜歯
- 食事療法
- 炭酸ガスレーザー治療
- サプリメント
- 水を飲ませる
- 歯みがき
では、それぞれ説明していきますね。
①薬~痛み止め、抗生剤など
痛み止めや抗生剤などの内科療法では、一時的な改善は見られますが、完治は望めないことが多いです。
ただ、抜歯をあまりしたくないな…という飼い主様の場合は、内服薬やサプリメントなどを併用しながら経過を見て行くこともあります。
- 抗生剤(ジスロマック、グリンダマイシンン、ビブラマイシンなど)
- ステロイド
- 免疫抑制剤(シクロスポリンなど)
- インターフェロン(口腔内投与や皮下投与)
- ラクトフェリン
②歯石除去+抜歯
猫の歯石除去や抜歯は、全身麻酔をかけて行います。
ただ猫の口内炎においては、歯石があまりついてなくても口内炎が重度である場合があります。
猫の口内炎においては、抜歯による治療が唯一完治を望める治療です。
- 部分的抜歯
- 全臼歯抜歯(改善率6割)
- 全顎抜歯(改善率9割)←歯を全部抜いちゃう!
ただし、抜歯をしても5~10%の症例では症状が残ることもあります。
全部の歯を取ってしまっても、特に不自由なく生活できる子がほとんどです。
③食事療法
一般的にはウエットフードの方が歯石が付きやすいと言われています。
なので口内炎の予防のみを考えた場合には、大き目の粒のカリカリがおすすめです。
ヒルズプリスクリプションダイエットt/dは粒が大きく、特殊な層構造の粒なのため、噛むだけで歯のケアができるキャットフードです(85%の歯垢除去効果)。
また、唾液には口の中の細菌を洗い流す作用があるので、よく噛むような硬いフードは口内炎予防に有益と言えます。
④炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザー治療は、人間の皮膚科でもシミやほくろ取りなどで行われます。
猫の口内炎でも炭酸ガスレーザー治療を行うことがありますが、これのみでは完治はしません。
全臼歯抜歯や全顎抜歯後に肉芽(炎症時などにできる肉の盛り上がり)の改善が認められない場合に使用すると効果があるといった報告があります。
⑤サプリメント
猫の口内炎用のサプリメントは多くの種類があり、成分や値段も様々です。
- eFace-V(イーフェイスV)(エステル化脂肪酸炭素による抗炎症・鎮痛作用)を塗る、舐めさせる
- アンチノール(PCSO-524®脂肪酸を含む万能サプリメント)を飲ませる
- デンタルバイオ(ラクトフェリンと口腔内善玉菌)を飲ませる
- 1-TDC(1-テトラデカノール複合体による抗炎症作用、新サプリ)を塗る、舐めさせる
あくまでもサプリメントの位置づけですが、効果があるものも多く、試してみる価値はありそうです。
⑥水を飲ませる
口の中が渇いていると細菌が増えてしまうので、十分に水分を摂ることも重要です。
ただし、猫の場合は積極的に水分を摂ってくれないですよね…
そんな時はこちらを参考にしてください。▼
⑦歯みがき
口内炎予防に歯みがきを行うといいですが、猫で歯みがきが得意な子はなかなかいません。
いきなり歯ブラシを口の中に入れるとびっくりして大嫌いになってしまう子が多いので、まずは歯みがきシートなどで口の中に物を入れることに慣らす必要があります。
歯みがきは毎日じゃなくても大丈夫!
歯垢が歯石に変わるのに3日かかると言われているので、3日に1回行えれば十分です。
嫌がる場合は無理にやるとお互い怪我をするのでやめましょう。
猫の口内炎にはちみつ!?
人間では口内炎にはちみつがいい!とはよく聞きますが、猫の場合はよく分かっていません。
また、カロリーが高いことから毎日与えることはおすすめしません。
猫の口内炎はうつる?
口内炎の原因が感染症だった場合はうつる可能性もあります。
ただ、猫の口内炎はあらゆる原因が複雑に絡み合って発症するので、一概に何とも言えません。
【まとめ】愛猫の口内炎の治療・予防法7選
猫の口内炎や歯周病などを口の中の炎症を治療・予防するためには、
- 薬で痛みや感染の管理
- 歯石除去+抜歯で完治!
- 食事療法~カリカリがおすすめ
- 炭酸ガスレーザー治療
- サプリメント~効果効能は様々
- 水を飲ませて口腔環境を清潔に!
- 歯みがきをできれば3日に1回
を行うといいです。
また、早期発見・早期治療は極めて重要です。
愛猫の様子が何となくいつもと違うかも…と感じた場合には、すぐに動物病院にうかがうようにしましょう。